《シスコンと姉妹と異世界と。》【第175話】父と迷子なチビッ子と④
「はーい、お待ちどうさまー」
ガチャりとドアが音を立てる。
「違うじゃん! そーじゃない! 召喚って言ったら魔方陣的な何かが足元から出てきて、何も無いところからキラキラと現れるじじゃん!」
「そう言われましても……。お帰りのおおよその時間は、アリスさんとの會話の中で出ていましたから、それに合わせて帰ってきた次第です」
なんと事務的な……。
『あれ? ナビ子様さっき「二人のことが気になる」ってむぐっ』
フェリ子(フェリとナビ子の二心同モード)が自分の口を自分で塞いだ。
おい、どういうことだ。
「いえなんでもありません」
『実はねご主人様、ナビ子様が痛ぁ!?』
フェリ子は自分の二の腕をギュッとつねった。
「あー、もーいーわ。だいたいナビ子が何してたかは分かったから。なかなか見事な土下座だったろ?」
「よくお似合いでしたよ! あっ……」
「人に土下座が似合うなんて言うなよ! てか今「あっ」って言ったな!? ほぼ全部最初っからストーカーしてるじゃねえか!!」
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『こいつがやりました』
と言いながら自分の右手を挙げるフェリ子。
その手を下げようと左手で右腕を摑むフェリ子。
「今は右がフェリで左がナビ子なのか……。おもしれーな」
「『笑って見てないで手伝って下さい!!』」
なんかめっちゃ叱られた。
______
世にも珍しい本気の一人ジャンケンを見學し終え、ようやく本題の仕立て屋へ向かうことに。
「それじゃフェリ、案は頼んだぞ?」
「はい、おまかせあれご主人様!」
ナビ子は死闘の末にフェリに敗北し謹慎。
なのでフェリの両目は、
「綺麗なだよなぁー」
揃ってアメジストだ。き通るような銀髪に褐の。ザ・サキュバス。
「はわっ……」
「なぜ照れる」
「やっぱり、ご主人様に言われるのと他の人に言われるのとでは重みが違うというか……」
「人差し指合わせてモジモジするなよ……。なんでそんな純粋なの子丸出しなんだよ。てかそろそろ寮出るよ。出たら會話は脳伝達テレパシーで、な?」
「は、はい……」
んー、調子狂うなぁ……。
「(えっと……どっち?)」
『(とりあえず左ですね。曲がる回數は數える程ですので何かお話でもしていきましょう?)』
「(メインストリートを往くのな。どっかで通ったりしてるのかなその店……)」
『(ご主人様はここいらの飲食店は全制覇なさっているのですよね?)』
「(まあね。食べに行くってよりは働きにだけどな……。でも皆親切にしてくれてさ、賄まかないとか出してくれんだよね。んで、俺の料理のレパートリーが増える、と)」
『(それを私たちが頂けると。あっ、ここ右です)』
メインストリートを外れ、ちょっとした路地にる。
「(まぁ、そうなるわな……。誰かに食べてもらうのは嬉しいしね)」
『(ちょっと失禮します)』
「(えっ、ちょっ……)」
『(大丈夫です、私の姿は誰にも見えてませんから)』
「(だからって腕なんか組まなくても……)」
まぁ周りからはただ、俺がポケットに手突っ込んでるだけに見えてるかもしれないけど……。
『(契約者と私は一心同ですからっ。というより、たまには誰にも邪魔されずに、ご主人様とゆっくりしたいです)』
「(はぁ……。まぁたまにはいいか)」
腕に伝わる溫もり、も悪くない。むしろイイ。
「おっ」
またさっきとは違う広い通りに出てきた。
てか繋がってたんだな、こんな微妙な路地で。
『(もう一度……、こちらを左に)』
大通りを歩いて十分ほどして、再び裏路地に突。
「(何よ今の間、なんかあるの? つーかまた細い路地……。なぁ、ここは引き返して迂回しない?)」
連れられてきたこの區畫は、ちょっと大人向けだった。
所々に宿・屋・の看板があり、そこには『三時間三千円』などと書かれていた。
この値段設定が果たして良心的かどうなのか、俺には経験が無いので判斷するがなかった。
『(宿屋……ですよね? 三時間……? 普通、一晩宿泊するものではないのですか? 気になりますねー、りませんかー?)』
「(なんでそんな棒読みだよ。お前、ココの事絶対分かってて連れてきたな!? てか腕組んだのもこの為だな? 當てて変な気持ちにさせて連れ込もうとしたろ)」
『(ご主人様を連れ込むだなんてそんな。ちょっと歩き疲れたんじゃないかな、と心配になっただけで。それにこの値段なら私でも支払えますから)』
それ、俺があげてる小遣いジャスト三千円をアテにしてるよね。
ちなみにフェリの小遣いは週に三千円。
ナビ子と一緒に、俺が學校に行ってる間に遊びに行っているらしい。
さすがにその最中は周りの人間全員が認識出來るよう、何かしら調整しているらしい。じゃなきゃ飲み食いも困るとのこと。何も無い空間に食べが消えていったら怪しまれ過ぎるし。
ただ、周囲に見える化している間は結構魔力マナの消費が激しいらしく、ちょこちょこ周りの人から吸い上げているらしい。
ふと、フェリが手を差し出してきて。
「(前借りは絶対させないぞ)」
『(……)』
先手とったら黙っちゃったよ。
「(ほら、無理だと分かったらさっさと行くぞー)」
『(……、分かりましたよーだ)』
「(拗ねるなよ……)」
「ちなみに今、見えるようになってますよ」
「はうわ!?」
良かった。
微妙な時間だからか周りには誰もいなくて。
この服裝サキュバスコスの子が外で歩くのは事案モノだ。
萬が一人に見られようものなら、十中八九守衛のお世話になるだろう。
「ほら、これでも著ててくれよ。さすがにその格好見られるのはダメだ。俺制服著てるんだから、確実に元バレするわ」
ローブを一著、収納箱アイテムボックスから取り出し手渡す。何かしらの任務の報酬で貰ったものだったか。
フェリがそれを早速羽織った。
「ふふっ」
「なんだよ、急にニヤけて……」
「……、ご主人様の匂いがします」
「そういうこと気になっても言うなよ!」
「い、いえっ、悪い意味じゃないんです。なんというか落ち著くんです。自分の家の匂いみたいな……」
「なら……いいのか? って、フェリにも実家とかあるのか?」
『人間として集落に紛れ込んでいたことがありますので、その時の家ならありましたよ。さすがに寢てる間に無くなったり、他の人が住んだりしてそうな……』
「ま、そりゃそうだよな……」
『ですから、こうして拾っていただけて、とても謝しているんですよ?』
「うん。でもあれだぞ? 俺と契約した以上は、前にも言ったけど他の男とエロいことして力吸うのはナシだからな!?」
『お預けプレイ……』
「そういうつもりで言ったんじゃねえ!」
『じゃあ、ちゃんと責任持ってご主人様が私を抱いてくださいね? 魔を焦らすのですから、それ相応の覚悟をしてくださいね?』
「……………………な」
『これは私が一本取りましたね』
フェリはこの上ないドヤ顔でそう言った。
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8 101ヤメロ【完】
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