「はっ……んっ……あっ……」

意識が覚醒し、聴覚保護が切れる。

するとどうだ、こんな聲が聞こえてくるではないか。

「…………？」

とりあえず目を開けてみるが、眼前にはフェリの背中だけが広がる。加えてなぜか金縛りにあったかのようにきが取れない。

魔サキュバスとはいえ、長年生きているとはいえ子、こう著してるとなんかいい匂いがするッ！！

……まぁ要するに、すげぇ目覚まし効果があったわけだが。

目覚まし効果の理由はもう一つ。

俺の掌の中にあるふわとろな何かだ。いやまぁ分かってるんだけどさ、そこはほら比喩的表現に留めとこうかと思ったわけで。

ただ、そのを得ている腕、掌は俺の意志とは関係無くいている。これは比喩ではなく直接的な事実だ。

確実に俺の手の自由はフェリによって奪われている。

ていうかコイツ、三人ひとつのベッドに川の字で寢てる間にナ・ニ・してくれてんだ。使ってくれてんだ。

あ、ちなみに俺が真ん中に寢ています。

パッと見外はまだ暗いから、余程運が悪くなければユイは寢てるだろうが……。まぁ、下・に使われなくてよかったと思うべきなのか。

前世から現界までの人生(キャリア)三十年間貞を貫いた俺(そのせいで魔法使いになってるわけじゃないよね！？)では、百戦錬磨の魔を満たす事など出來ぬだろうに。

ああくそ、フェリのやつ魔力供給も兼ねてしてやがるな。段々また眠くなってきやがった。

こうなったら最後くらい俺の意思で思いっきりんだろ……。

と、魔が差して。

俺はフェリのたわわに実ったそれを力いっぱい鷲摑みにした。

……し、膝の辺りがっぽくなった気がした。

＿＿＿何時間か後。

目が覚めたわたしは、どういう訳だかショー君を後ろから羽い締めにしていた。仮にも王様が男の子と著して寢たってなったら、結構マズいことになるかも(ショー君が、だけど)！？

……、とりあえずサッと顔を洗ってフェリさん(起きた時には姿が消えていた。朝日が駄目だとかそんな質があるのかな？)が殘していった冷たいお茶を啜った。

壁に掛けられた時計を見ると午前七時半。

普段の自分だったら寢坊の部類にる。

とりあえず、一人大きなベッドで眠る年を起こす事にした。

「お兄ちゃん、起きて」

「ん〜？　ロ……ユイか。……zzzzz」

肩を揺すると返事はしたが、一瞬で寢落ち。ショー君もまだまだ子供だなぁ。

「もう……、わたしも二度寢しちゃうよ？　ほらちょっと、そっち詰めて？　もう、仕方ないからお姉さんが添い寢してあげよう。ん、……案外これはこれで、フェリさんがいないから二人で丁度いい大きさなのかも」

背中合わせに寢てみると、そんな想を持った。

王宮ではこうやって好きな時間に寢るなんて出來ないし、まして日付をいでから寢ることの方が多い。二度寢なんか以ての外だった。

「學生生活かぁ、一度でいいから行ってみたいなぁ。……、行っちゃおうかな。いやいや、警備上の問題とか々あるし？　でも騎士學校に攻め込んでくる輩なんていないもんね……」

あれ？　今日は火曜日だからショー君も學校がある。いっそついて行ってしまおうか。決定。

王宮へは騎士學校から転移してしまえばいいか。探しに來たフィーナには悪いけど、その方がずっと楽だし。

でも金曜日には祝賀會で顔を合わせることになるんだし、學校に迎えに來る時について行っちゃうのもアリかな。

どっちにしよ〜。

でも來週の火曜日にルナさんの魔屋に行く約束もある……。またこっちまで來るのは來週でいっか。事務仕事は無いけど、々とこなさなきゃいけない雑務はあるし。

考えてたら頭痛くなってきたし、寢ちゃお。

ここ數年で二度寢なんか初めて。なんか楽しみ、いい夢見れそう。

＿＿＿暫くして。

「よく寢た……」

おあっ！？　なんで目の前にユイの顔が！？

俺の背中側で寢てたはずじゃ……。

「十一時っておい……學校行くどころじゃないじゃん。もうサボっちまって、このままユイをどっかに送ってやらないと」

寢過ぎじゃねえか俺？　いやでも、フェリが俺から力吸い取っていったわけだし、仕方ないのか？

「え？　ちょ、ユイっ！？」

寢惚けてるんだろうか抱き枕にされる。

が、かん……。

って、ユイの力マジで強いんだった！！

ルナさんの店のドアぶっ壊すくらいだしな。

そんなことより、このままじゃれる、ヤバい！！

「(ナビ子、助けて！　家のトイレの座標固定頼む！！)」

「(お任せ下さい！)」

一日ぶりに呼んだからか、どこかご機嫌そうなナビ子の聲が脳に響く。

「『転移魔法(テレポート)』！！」

……なんとか、俺の神的、社會的尊厳は保つことが出來た。