《引きこもりLv.999の國づくり! ―最強ステータスで世界統一します―》圧勝劇
「やれやれ……」
シュンはぽりぽりと後頭部を掻いた。
ーーやっぱ戦う羽目になったか。
めんどくせぇ。
シュンは寢ぼけ眼をこすりながらも、《勇者》アルスの鬼気迫る眼を真正面からけ止めた。
自分が間違ったことをしているとは思っていない。
いくらモンスターといえど、問答無用で殺すのは間違っている。
それでは人間もモンスターと同様だ。
ふいに服の裾を引っ張られるがあった。
振り向くと、うつむいたロニンが、控えめにシュンの服を摑んでいた。
「なんだよ?」
「なんで……お兄ちゃんは私を守ってくれるの?」
もじもじするロニンに、シュンは肩を竦めてみせた。
「さあ。知らん」
「へ?」
「とにかく下がってろ。巻き込まれて死なないようにな」
「う……うん」
言われた通り、ロニンは數歩下がった。そのまま逃げ出せばいいものを、律儀にシュンを見守っている。
それだけ、ロニンはこの村人に興味が湧いていた。
かつて自分にこれほど優しくしてくれた者なんていなかったから。
そりゃあ魔王の娘だし、ちやほやされたりはしたが、どこか他人行儀のようなものをじていた。父でさえロニンをそのように扱っているようにじた。
けれど、シュンは違う。
態度はかなりそっけないけれど、自分のことを真に気にかけてくれている。
そんな気がした。
ーーだから、勝って。お兄ちゃん。
という迫は長く続かなかった。
まさに一瞬の出來事だった。
猛然と振り下ろされた勇者の剣を、シュンは軽々と避けきってみせた。
そして。
シュンは人差し指だけを立てると、勇者の額にそっとれた。
それだけ。
たったそれだけだった。
勇者のはビクンと痙攣けいれんした。
そのままガクンと膝を落とし、白目を剝いて倒れた。
そうして、あまりにも呆気なく、村人と勇者の戦いは終わったのだった。
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★書籍化★コミカライズ★決定しました! ありがとうございます! 「セリス、お前との婚約を破棄したい。その冷たい目に耐えられないんだ」 『絶対記憶能力』を持つセリスは昔から表情が乏しいせいで、美しいアイスブルーの瞳は冷たく見られがちだった。 そんな伯爵令嬢セリス・シュトラールは、ある日婚約者のギルバートに婚約の破棄を告げられる。挙句、義妹のアーチェスを新たな婚約者として迎え入れるという。 その結果、體裁が悪いからとセリスは実家の伯爵家を追い出され、第四騎士団──通稱『騎士団の墓場』の寄宿舎で下働きをすることになった。 第四騎士団は他の騎士団で問題を起こしたものの集まりで、その中でも騎士団長ジェド・ジルベスターは『冷酷殘忍』だと有名らしいのだが。 「私は自分の目で見たものしか信じませんわ」 ──セリスは偏見を持たない女性だった。 だというのに、ギルバートの思惑により、セリスは悪い噂を流されてしまう。しかし騎士団長のジェドも『自分の目で見たものしか信じない質』らしく……? そんな二人が惹かれ合うのは必然で、ジェドが天然たらしと世話好きを発動して、セリスを貓可愛がりするのが日常化し──。 「照れてるのか? 可愛い奴」「!?」 「ほら、あーんしてやるから口開けな」「……っ!?」 団員ともすぐに打ち明け、楽しい日々を過ごすセリス。時折記憶力が良過ぎることを指摘されながらも、數少ない特技だとあっけらかんに言うが、それは類稀なる才能だった。 一方で婚約破棄をしたギルバートのアーチェスへの態度は、どんどん冷たくなっていき……? 無表情だが心優しいセリスを、天然たらしの世話好きの騎士団長──ジェドがとろとろと甘やかしていく溺愛の物語である。 ◇◇◇ 短編は日間総合ランキング1位 連載版は日間総合ランキング3位 ありがとうございます! 短編版は六話の途中辺りまでになりますが、それまでも加筆がありますので、良ければ冒頭からお読みください。 ※爵位に関して作品獨自のものがあります。ご都合主義もありますのでゆるい気持ちでご覧ください。 ザマァありますが、基本は甘々だったりほのぼのです。 ★レーベル様や発売日に関しては開示許可がで次第ご報告させていただきます。
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