《引きこもりLv.999の國づくり! ―最強ステータスで世界統一します―》強くなりたい? なら引きこもろうぜ!

「え……」

勇者と村人の戦い。

その短い決著に、ロニンは驚きをじ得なかった。

あの村人が通常ありえないステータスを持っていることはわかる。

それはユグドラシル・デュアルを指二本で止めたことからもわかる。

けれど。

《勇者》だってただの雑魚ではない。

いまは力及ばずであれど、いずれ魔王に匹敵する強さを持つであろうと予想されていた。

なのに。

そんな勇者を、村人は一瞬で倒してみせた。

ひょっとしたら、魔王ですら不可能かもしれない離れ業を。

「気にすんな」

シュンは顔をロニンに向けないまま、聲だけをかけてきた。

「軽く気絶させただけだ。すぐ目ェ覚ますだろうよ」

「そ……そう……ですか」

思いがけず敬語になってしまう。

興味があった。

村人の強さの理由を。

そして願わくは、自分も彼のように強くなって、魔王の娘として恥ずかしくない存在になりたい。

だから自然と、ロニンは村人に聞いていた。

「教えてください……どうしてお兄ちゃんは、そんなに強いんですか?」

しかしながら、返ってきた答えは、あまりに予想外だった。

「んー? 簡単さ。ずっと引きこもってりゃいい」

「……え?」

「おまえも強くなりたいんなら、ずっとヒッキーしてようぜ。ビバ引きこもり」

「え……えっと……」

ろくな返答が浮かばず、ロニンはしどろもどろになった。

ふざけているのかと思った。

魔王も勇者も、強くなるために日々自を鍛えているというのに。

ロニンは知っている。

勇者に負けぬよう、毎日厳しい修行をしている父親を。

ずっと引きこもっているだけで簡単に強くなれるほど、甘いわけがないのだ。

「なんだその顔。信じてねえな」

シュンはむっとしたように顔を膨らますと、「ステータス・オープン・シェア」と唱えた。

文末に「シェア」と添えると、他人に自のステータスを開示できるようになるのである。

そうして空中に浮かんだ文字列を見たとき、ロニンは目が飛び出るかと思った。

《HP 60008/60010

MP 76690/76690

理攻撃力 80677

理防力 79566

魔法攻撃力 90007

魔法防力 88077

俊敏 70450

【職業】

引きこもり Lv.999

【スキル】

開示されていません 》

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