《引きこもりLv.999の國づくり! ―最強ステータスで世界統一します―》同棲生活みたいな?

見上げると満天の星空だった。

いくつもの星が大小さまざまな輝きを放ち、夜空のしさを演出している。

ここ數日は多忙すぎて、空を眺めている時間なんてなかった。

そんなことを思いながら、ロニンはシュンとともに王都を歩いていた。

さすがは世界最大の都。なにもかもに圧倒されてしまう。

まず、すべての建築が豪勢である。レストラン、商店、家屋のいかんを問わず、ほとんどの建が大きい。さまざまなのレンガをほどよく用いて、かな建造が並んでいる。

また地面も綺麗に舗裝されている。等間隔で花壇や植木が設置されているが、それ以外の地面はすべて人の手がっている。

そして、なにより人間の數が段違いだ。さまざまな年齢層の男が、談笑しながら通り過ぎていく。ときおり警備中の騎士に出くわすが、ロニンの正に気づく者はいまのところいない。

王都の中央部分には王城もあった。あそこに、おそらく人類で最大の権力を持つ者が住んでいる。

「はうぅ……」

思わず嘆の息を発してしまうロニン。

モンスターの世界とはまるで次元が違う。ロニンの住まう魔王城周辺ですら、いまだに荒れ地のままだというのに。

やはり、このままではモンスターが人間に勝つことはない。そのことをロニンは改めて認識した。

なにか手を打たねば、私たちの種族は間違いなく崩壊する。でも、いったいどうすればいいのだろう……

「平気か」

そんなロニンの様子に気づいたのだろう、シュンがそっぽを向きながらも気遣ってきた。

「う、うん……。ねえお兄ちゃん……」

「んあ?」

「私、魔王だから人間にいっぱい迷かけることになると思う。それでも……お兄ちゃんだけは、私のこと嫌いにならないでほしい」

「はっ」

シュンは鼻を鳴らし、ロニンを見下ろす。

「ばーか。俺ゃずーっと前から迷かけられっぱなしだぜ? いまさら嫌いになるかよ」

「そっか……。ありがと」

すこしだけをなで下ろしながら、ロニンは王都を進み続ける。

學生寮に到著した。

シュンは男別に分けられるのかと思っていたが、そうはならなかった。シュンとロニンは同じ部屋を割り當てられ、またも共同の生活を送ることになった。

まあ、そのほうがシュンとしては助かる。

もしロニンが別の部屋で赤の他人と同居することになり、尾を見られでもしたら。

ロニンが魔王だと知られたら。

それこそとんでもないことになる。

當然ではあるが、部屋そのものは簡素なつくりだった。

キッチンと風呂、それから正方形の居間。そこにベッドや本棚、テーブルを置いたらもうぎゅうぎゅうである。

「やったね、また一緒だよお兄ちゃん!」

シュンのそんな心配なぞ知らず、ロニンはベッドに飛び込む。

「新しい部屋。新しい土地。なんか私たち、け、結婚したみたい……?」

「……はぁ?」

なに言ってるんだこいつは、とシュンは眉をひそめた。

「な、なんでもないよ! 私ご飯つくるから、お兄ちゃんはくつろいでて!」

赤くなったロニンがキッチンへと逃げた。

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