《引きこもりLv.999の國づくり! ―最強ステータスで世界統一します―》への熱い視線

「お、お兄ちゃん」 

ロニンが慌ててシュンの隣に並ぶ。

「あ、あの人、王様の娘さんなんでしょ? あんな態度で大丈夫なの?」

「別にいいっての。別に俺は出世とか考えてねぇし」

「え……勿ない」

「は?」

「お兄ちゃん、絶対に人の上に立つの向いてると思うんだよね。なんかそんな気がする」

「…………」

こつっ。

シュンはおもむろにロニンの額を小突いた。

「あいたっ」

「テキトーなこと抜かすな。俺がめんどくせーこと嫌いなのはわかってるだろうよ」

「で……でも、本當に、そう思うんだもん」

おうおう、魔王になった途端に意味不明なこと言いやがって。

シュンはぶつぶつ言いながら、足早に會場へと急いだ。

巨大なホール會場。

そこが學式の行われる場所だ。

すでに大勢の新生たちが著席しており、かなりの賑やかさを呈している。

「あーっと、俺たちの席はっと……」

もらっていた書類を確認しながら、シュンは指定席に腰を落ち著かせた。その隣にロニンも座る。

気づけば、教師たちの列にセレスティアも混じっていた。あそこが彼の指定席か。さすがは皇というだけあって、その待遇は一般の學生とは一線を畫している。よくよく見れば、セレスティアに頭を下げている教師まで見られる。

ーーまったく、どいつもこいつも……

ただし、注目を浴びるという意味では、こちら側も負けてはいなかった。

シュンは小聲で囁いた。

「ロニン、気づいてっか」

「えっ?」

「男たちの視線だよ。だいたいの男がおまえに熱い視線を向けてるぜ」

その言葉は事実だった。

いくらエリートといえど、新生たちは気盛んな思春期。抜群の容姿とプロポーションを持つロニンに興味を示さないわけがなかった。なかにはあからさまに巨を凝視する者もいる。

「は、はぅ……」

ロニンは萎したようにシュンの指を摑む。魔王になってもこういうところは変わらないようだ。

そのような波えながら、退屈な學式は開會された。學園長の言葉、生徒代表としてセレスティアの言葉などが延々と続き……終了した頃には晝過ぎになった。

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