《引きこもりLv.999の國づくり! ―最強ステータスで世界統一します―》シュンの部 【神へ】

うっすらと意識が回復してくる。

視界が元に戻りはじめる。

どうやら寢ていたようだ。天高くびる木々が、所狹しと視界に並んでいる。

「ここは……」

呟きながら、シュンはゆっくりと上半を起こした。

アグネ地帯。悪魔……もとい元神族が住まう場所。ディストに殺されかけたシュンとロニンを、アリアンヌがこの場所へ連れ出してくれた。

そう、たしか俺は神聖水とやらを飲んで、それで――

思考がそこまで至ったとき、シュンはふうと息を吐き、改めて寢ころんだ。

なんだろう。

うまく表現できないが、なんともいえない靜かな気持ちだ。

の無駄なものがすべて排出されて、心ともにクリアになったかのような……

シュンは試しに、寢そべったまま全に力をれてみた。

瞬間。

すさまじい轟音が発生した。

大地そのものが揺れ、木の葉のこすれ合う音が響きわたる。枝に止まっていた鳥たちが鳴き聲をあげて逃げ出していく。

――すげえな。

さして本気を出していないのにこのパワー。

これが神の力ってやつか。

「目、覚ましたようですね」

ふいに聲をかけられた。

シュンが目を向けると、相変わらず無表のアリアンヌと、その隣には心配顔のロニンもいた。

「よかった……シュンさん、無事だったんだね」

「……なんだおまえ、俺より早く目覚めたのか」

「ええ」

と答えたのはアリアンヌだった。

「ロニンさんは最初こそ苦しそうな顔をしてましたが、すぐにシュンさんの名前を呼びだして……そこからの目覚めは早かったですね」

「ち、ちょっと」

恥ずかしそうにロニンが顔を真っ赤にする。

「言わないでよ、そんなこと!」

「どうしてですか? 夫婦なんだからいいでしょう」

「むう……」

そうやってを尖らせるロニンに、シュンは苦笑をじ得なかった。

――俺だって同じだ。

ロニンがいなければ、きっといまだにうなされていたに違いあるまい。

そんなシュンの心境を見越したかのように、アリアンヌが意味深に頷いた。

「……あなたたちは良い関係を築いているようですね。互いが互いのトラウマを補完しあっている。神聖水を飲んでから、まだ一時間と経っていません。なのに二人とも、もう起きるなんて」

の人形のような顔つきからは、まるでが読みとれない。だがたしかに驚いているようだ。ほんのすこしだが、嬉しそうに目元を緩ませている。

「シュンさん、そしてロニンさん。あなたがたは晴れて神となりました。自のステータスを確認してごらんなさい」

そう言われ、シュンはゆっくりと上半を起こすと、「ステータス・オープン」と唱えた。

たしかにあった。スキル欄のところに、《神の霊気》という表示が見て取れる。ロニンも同様のものを発見したようで、嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている。

「いまのあなたたちなら、ディストでさえステータス作ができません。これで神族を倒すのに一歩近づいたといえるでしょう」

「……だが、まだ充分じゃねえんだな?」

シュンの問いかけに、アリアンヌはこくりと頷いた。

「今度は《神の霊気》を自在にれるようになってほしいのです。それにより、初めて創造神に立ち向かえるようになりましょう」

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