《引きこもりLv.999の國づくり! ―最強ステータスで世界統一します―》トルフィンの部 【強敵】

「恐れったよ。トルフィン、おまえこそ確かに王子にふさわしい男だ」

シュロン學園。

かつてトルフィンたちが學んでいた教室。

世界中継を終え、トルフィンたちが一息ついたとき、アルスが開口一番そう言った。

結局みんな目を覚ましてしまったようだ。レイア先生や生徒たちはそっとしておこうと思ったのだが、セレスティアが世界へ向けてテレパシーを発するや、みな熱心に王の発信に耳を傾けた。

この発表が役に立ったのかはわからない。

それでも、トルフィンは世界中の人々を安心させたかった。

孤獨は辛い。

トルフィンはそれをを以て痛してきたから。

だから安心してほしかった。

たとえ一人に思えたとしても、どこかに必ず味方がいることを。自分の世界に閉じ籠もらないでほしいことを。

トルフィンは機に腰を下ろし、飄々と肩をすくめた。

「俺はなにもしてないさ。王に勇者……あなたたちがいたから出來たことだ」

「あら。そういうとこ……お父さんにそっくりね」

苦笑いを浮かべるセレスティアに、トルフィンはもう一度肩を竦めた。

「なんのことだか。さ、もう代の時間だろ? さっさと寢かせてくれや」

「……そうだな。今度は俺と王様で見張ろう」

「ええ。そうしましょう」

アルスとセレスティアは同時に立ち上がり、廊下へと歩き出す。二人とも経験富な大人だ。子どもは大人に任せてゆっくり睡眠にろう。

「さ、寢ようぜ、リュア」

呼びかけると、リュアは目を細め、ふわああっと欠をした。

「うん。もう私……すごく眠い」

「だろうな」

トルフィンもリュアも育ち盛りの年齢だ。夜中まで起きているのはに悪い。

そうしてトルフィンが橫になりかけたとき――

『おっと、寢かさないわよ?』

ふいに、聞き覚えのある聲が脳に響きわたり、トルフィンは思わず肩を震わせた。

これはセレスティアと同じテレパシー魔法……でもこの聲は……!

完全に寢そべっていたリュアも、困した表で首をかしげている。

『みんな。いまの演説で安心してもらっちゃ困るね。むかつくから殺しちゃうことにしたよ……この熾天使してんしミュウちゃんがね』

――ミュウ。

聞いたことのある名前だった。それだけじゃない、この聲、どこかで……

「ミュウお姉ちゃん……? まさか……!」

呟きながら、リュアが勢いよく上半を起こした。

「知ってるのか?」

「う、うん。孤児院にいたお姉ちゃんで……私も遊んでもらったことある……」

「孤児院……」

そのキーワードでトルフィンも思い出した。

そう、王セレスティアが管理している孤児院に、たしかそんな名前のの子がいた。

ということは、まさか……

たしかアルスが言っていた。天使たちは気づかないところで、シュロン國を監視・支援をしていると。黒幕はディストだけでなく、他にもいたということか……!

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