《引きこもりLv.999の國づくり! ―最強ステータスで世界統一します―》いざ、創造神へ

「《殺し合いなんてやらない》……ふふっ、いつまでそんな余裕かましていられるかな?」

ふいにミュウが暗黒的な笑みを浮かべた。

――くる!

ミュウの攻撃を察知し、ミュウは咄嗟とっさに防の構えを取る。

だが相手のほうが一歩先んじていたようだ。

ロニンが勢を整えるより數秒速く、連続の突き技が放たれる。

その速度たるや、文字通り神速――

燃えさかる流星のごとく、次々とレイピアが差し込まれてくる。なんらかのスキルを使用しているのか、レイピア全が漆黒の芒をまとい、魅的なの軌跡を引きながら、容赦なくロニンに襲いかかる。

「うっ……」

相手のきを必死に目で追い、ロニンはひたすら防に徹する。

だが、それでも間に合わない。

ときどき天使の剣がロニンのをかすめ、じりじりとHPを削り取ってくる。

速い……!

さすがは熾天使か。敵ながらあっぱれというしかない。

だがこちらとて、やられっ放しはに合わない。ロニンはミュウのレイピアをなんとかけ止めると、左手を背中にまわし、新たに出現させた剣を握る。そのまま、抜きざまの剣をミュウに振り下ろす。

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「えっ……!」

さすがに驚愕したのか、ミュウは大きく目を見開く。さすがの超反応で、直撃には至らないまでも、ロニンの剣はミュウの頬をかすめていった。

ミュウは大きく後方に飛び退き、著地すると、またしてもニヤリと笑った。

「へぇ。《闇の雙剣》か……たしか引きこもりのスキルだったよね」

「そう。彼が私にくれた、最強の力」

職業・引きこもりにより得られるスキルのひとつ――闇の雙剣。

相手に與えたダメージ分、自分のHPを回復させることができる。アリアンヌの持つグングニルと効果がまったく同一であることからも、《引きこもり》がいかにバランスを崩壊させているのかがわかる。

漆黒の剣を差させながら、ロニンは決然と言い放った。

「あんたなんかに……私は絶対に負けない! さあ、いくよ!」

殘り時間 ――0:23――

ひたすら長い廊下を進んでいた。

ほぼ一直線。

迷う道理はない。

深紅の絨毯じゅうたんの先には、金に輝く大扉が見て取れる。

シュンの直が告げていた。

あの扉の部こそが、終點であると。

そこに諸悪の元――創造神ディストがいるのだと。

周囲に天使は一もいない。靜かなものだった。

シュンは気を引き締め、神へと至る道を走り続ける。

――この戦いは、いったいいつから始まっていたのか。

自然と自分の半生が脳裏に浮かんでくる。

魔王の娘、ロニンと出會ったときか。

それとも、人間軍を打ち負かし、シュロン國を立ち上げたときからか。

いや。違う。

この世界に生まれ、生を授かった瞬間から、ディストとの戦いは避けられなかったのだ。

悪な創造神のことだ、いつか必ず、世界を滅ぼしていたに違いない。

そしていまも、自の娯楽のためだけに、世界の人々・モンスターを全滅に至らしめようとしている。

そうはさせない。絶対に。

シュンは立ち止まった。 

――とうとう辿り著いた。

神の居座る最奧部に。

シュンは右手を突き出し、扉の中央部分を軽く押した。

あとは、扉自がまるで意思を持っているかのように、ギィィィィ……と重い音を立てながら勝手に開いていく。

シュンは意を決して部屋に足を踏みれる。すると、同じように重い震を響かせ、大扉がひとりでに閉じられた。

そうして曬け出された室を見たとき、シュンは思わず放心した。

「なんだ……こりゃ……」

あまりに綺麗だったのだ。

まるで夜空のなかに放り込まれたような――そんな覚だ。

四方八方で、強弱さまざまなを放つ星々が見て取れる。暗黒に包まれた室には、その星々の輝きが照明代わりになっているわけだ。

目を凝らしてみると、壁面にはいくつもの白い靄もやが浮かびあがっていた。

その靄のうちのひとつに、見覚えのある風景が映し出されていた。

懐かしきシュロン國の景だ。

天使に追いかけられ、逃げまどう人々のようすが映っている。

「――どうだね、圧巻だろう」

不意に、神的な――あるいは悪魔的な男の聲が聞こえてきて、シュンは警戒心とともに振り向いた。

「ディストか……」 

創造神ディストはシュンからすこし離れた位置にいるようだった。

玉座かなにかに座っているらしい。足を組み、頬杖をつきながら、余裕の笑みを浮かべている。

「すごいだろう? ここは星合せいごうの間。下界のようすが手に取るようにわかる、まさに神にふさわしい場所さ」

「はっ。くだらねえ。テメーはずっとここで覗き見してたってわけか」

「その通り。君が《この子》を可がっていた様子も、しっかりと鑑賞していたよ」

「この子……?」

「見えないかい? ここだよ」

ディストの橫に視線をずらしたシュンは、驚愕のあまりぎそうになった。

息子トルフィンが、敵対心のこもった雙眸そうぼうで、シュンを睨んでいたからである。

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