《進化上等~最強になってクラスの奴らを見返してやります!~》第二十話 つ、強い……ッ!
「私と戦ってもらいます♪」
何故だ。なぜこうなったッ!?
確かに、力をつけるのに実戦形式の訓練の方が効率がいいのは認める。認めるが…………。
さすがにこれはないんじゃないんですかね?
「えっと、本當にしないといけないのか……?」
俺の質問に、何言ってんのこいつ? みたいな顔をされた。いや、その表俺のでしょう。
「実力をつけるなら、実戦訓練の方が効率がいいでしょう」
「確かに俺もそういう考え方には賛派だが、ステータス差を考えろよ」
俺と彼の差。
それは単純なステータス差である
いくら俺が半分だけ神なったとはいえ、相手は【四帝神】の中でも最強の神である。
いくらなんでも無理ゲーすぎるだろう。
そして、彼が裝備している武。
彼にそれはいったい何なのかを聞いてみると、満面の笑みで
「ロッドです」
「いやどうみてもメイス「ロッドです」…………メイ「ロッドです」…………メ「ロッドです」…………もうロッドでいいです……」
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彼はロッドと主張しているが、どこからどう見てもメイスである。しかも持ち手の先には鋭い針が。完全にロッドの域を超えていると思ったのは俺だけじゃないはずだ。
というか、あれ絶対重いだろ。片手持ち上げてるけど絶対重いだろ。
「さて、準備はいいですか? 先手はあなたに譲ります」
よくねぇよ。俺は開きかけた口を、再び閉ざす。いくら文句を言ったところで無理矢理理攻撃を仕掛けてきそうだし。何も言わない方がのためである。
俺は無言で腰に吊っている雪雫の鞘を摑み、親指で鍔をしだけ押し上げる。
腰を落とし、軸足を前に出す。
お気づきだろうか。そう、皆さん大好き『居合抜き』の構えである。
居合抜きは、刀の中でも最速の一撃を誇る斬撃である。
さらに言えば、鞘に納刀している狀態から、放てる攻撃であるため、初撃の先手にはもってこいの技なのである。
まあ、ミルティスさんに聞くかどうかはわからんが、やってみる価値はあるだろう。
いざ、尋常に―――――
「參る」
―――――勝負だ!
*
*
*
*
*
俺とミルティスさんが衝突してから約5秒。
結果として、俺は負けた。
いやね、これはあれだ、所謂無理ゲーというやつだ。
最初の、ステータスに言わせて初速からトップスピードで突進からの抜刀の流れまではよかった。実際に、ミルティスさんもかなり驚いていた。
だが、そこからがダメだった。
何がダメって、普通なら避けるのは無理だろうという速度のはずなのに、ギリギリで回避され、避け際にトーキックで真上に蹴り上げられ、墮ちてきたところをメイスをバットのように使い、俺を毆り飛ばしたのだ。滅茶苦茶痛い。
常人なら死んでますよこれ。
俺? 俺人辭めちゃったし、今更だろう。
「ふむ、なるほど、わかりました」
ミルティスさんは何か納得した顔でこちらに近づいてくる。
「何がわかったんです?」
「あなたの戦闘スタイルですよ」
戦闘スタイル?
というか、今のでわかったのか。流石神。
「ほ、褒めても何もでませんよ……///」
ああ、そういえば神って心読めるんだっけ。
「こ、こほん。では、一つ一つ確認していきましょうか」
咳払いをしてごまかしつつ、ミルティスさんは俺の長所と短所を上げていった。
「まずは能力ですね。種族が半神聖霊となっているだけあって、ステータスは表示されず、それでも怠ることなく鍛えられていますね。のかし方がやけに人間っぽくないのは、【強王】によるステータス奪取に、【暴食王】によるスキル奪取を繰り返した結果ですね。おそらく無意識のうちに相手のきを自分でも再現できるようにしていたのでしょう」
すらすらを俺のことを解析していくが、そんなことまでわかるんだな。
「あそこまでステータス任せのスタートダッシュは見たことありません。おそらくですが、いくつかの魔法の併用ですね?」
その通りである。
俺は仕掛ける直前、スキル【天歩】【武神】そしてダメ押しで【霆魔法】による電気信號の超活を図った。
まあ、結果は覧の様なのだが。
「いえ、ステータスに加算するようなスキルの使い方。それに魔法を一切の躊躇もなく自分のの中で発させるなど、たとえ神でも一瞬躊躇うほどのものです」
意外と勵ましてくれる。優しいなミルティスさん。
「ですが、使う武が刀だけというのはいただけません。あなたは半分とはいえ神です。使えるスキルも【武神】【剣】【刀】【暗】しかないではありませんか」
言われ見ればその通りなのだが、俺は刀やナイフしか使ったことがない。
そうミルティスさんに言うと、彼は俺に諭すように言ってくる。
「確かにその通りかもしれませんが、ある程度武の種類を使いこなしていれば、いざというときに困らないのでしょう?」
それは、その通りかもしれないが…………
「私ですらある程度の武は使いこなせます」
マジか萬能神だなミルティスさん。
「というわけで、あなたにはこれから自分専用の武を作っていただきます。その後、それぞれのスキルを習得してもらい、そのスキルを最上級狀態にしていただきます」
「最上級狀態?」
俺が疑問を示すと、ミルティスさんはしだけ考えるそぶりを見せてから
「それに関しては、また後程説明します」
そう言った。
そして、この瞬間から、俺とミルティスさんによる、地獄の特訓が始まったのであった。
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