《進化上等~最強になってクラスの奴らを見返してやります!~》第二十六話 行くぜ、必殺の―――――

ミルティスさんと別れて降り立った場所は、俺が 『全てが記されし書アカシックレコード』にれた場所であった。

……ずいぶん懐かしくじるものだな。

実際には一か月程度なのだが、向こうでは五年ほど過ごしたのだ。

「懐かしんでないで、村か町に行こう」

「そうだな」

「どこの方角かわかるの?」

「まあ見てろ」

俺は意識を深く、深く沈めていく。

この『全てが記されし書アカシックレコード』は、知識を知り得るためという単純な能力ではあるが、その報量はありえないくらいに多い。

それこそ、人のでは耐えられないほどの知識量である。

なので、これを使用する際は慎重にする必要があるのだ。

もちろん、ただ単に知識を與えるだけではない。

まあ、今はそのことは置いておくとして。

―――――見えた。

「ここから南に行ったところにちょっとした街がある。冒険者ギルドもあるし、そこに行こうか」

コクリとリーナが頷いたので、街に向かうことにした。

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南に歩くこと三十分。狩りを続けながら森を歩いていると、悲鳴が森に木霊した。

俺とリーナは足を止め、互いに顔を見合わせる。

「ヒカル、もしかして……」

「ああ、たぶん面倒事だな」

俺たちはそろってため息をついた。

あのダンジョンから今まで、しイベントが多すぎではないだろうか。

もうおなか一杯である。

「ヒカル……助ける?」

リーナが上目遣い聞いた。

俺に判斷を委ねているように聞こえるが、この仕草で俺に何かを言うときはそれをしてほしいというおねだりなのである。

「…………助けに行くか」

俺がそう小さく呟いたのが聞こえたのだろう、リーナは満面の笑みになっている。

もしかして俺、リーナに対して相當甘いか?

そんな自問自答を繰り返しながら、俺たちは悲鳴の聞こえた場所まで駆けつけた。

ステータスがおかしいので、そこまで時間もかからずに森を抜けることができた。

森を抜けると、広い草原に出た。

あたりを見回すと、し離れたところに一臺の馬車とそれに群がっている人垣が見えた。

もしや、盜賊ではなかろうか?

「面倒なことこの上ないなぁ」

俺はそう愚癡を溢しながら、俺はゆっくりと馬車に歩み寄る。

ミルティスさんと一緒に創った武能が確認できていないからな。試させてもらうぞ。

「降臨せよ、『破砕の斧ディバイズ』」

 破砕の斧ディバイズ。

圧倒的な破壊力を誇る斧。その気になれば城を一撃で沈めることができる。

不壊であり、一応刃はついているものの切ることはできず、破壊することだけを目的としている。

ツーハンドアックスをモデルとしているので、相當でかい。

それを片手でぶん回しながらゆっくり盜賊たちに向かって歩いていく。

向こうからすれば化けにしか見えないだろう。自分でもそう思う。

まあ、悪いのは貴様らだからな。慈悲はない。

「な、なんなんだよあいつ!」

「あんなデケェ斧ぶん回してるぞ……」

「で、でもあんだけでかい斧持ってんだ! 先に仕掛ければこっちの勝ちだ!」

「そ、そうだな! 行くぞてめぇら!」

ウォォォォォォォッ!! と攻め込んでくる盜賊ども。

「まとめて塵にしてやるよ」

俺は斧に魔力を纏わせる。

斧に青白いがまとわり始めた。

行くぜ、必殺の―――――

「蒼天鬼斬ッ!」

斧をブンブン振り回し、勢いをつけながら地面に叩き付ける。

すると、地面から青白い髑髏が現れた。

髑髏は盜賊のほうに向かっていき、やがて盜賊を飲み込んで激しく燃えた。

燃え上がる蒼い炎を目に、俺たちは馬車のところへ向かう。

「襲われていたようだが、大丈夫か?」

馬車を守っていた護衛達や馬車の中にいた人たちが呆然としていたが、俺のことに気が付いたのか、慌てて頭を下げてお禮を言ってくる。

「お助けしていただき、本當にありがとうございます!」

馬車の中にいた男がペコペコと頭を下げる。

よく見れば家族なのか、男のほかにもがいた。家族なのだろう。

「禮は別にいい。助けたかったから助けただけだ」

「で、ですが助けてもらっていただいたのに何もしないなど、私のプライドが許しません!」

そう強く言うので、仕方なく禮をけ取ることにした。

「あ、そういやあの盜賊たちはどうする?」

蒼い炎は完全に燃え盡き、盜賊たちは完全に消し炭になっていた。

品を持ち帰りましょう。ギルドでは名の知れた盜賊ですし、懸賞金が貰えるかもしれません」

ならば盜賊たちが使っていた武を持っていこう。なんか派手な裝飾がされてるし、普通にわかるだろ。

「それで、お禮の方はどうしましょうか」

の方が聞いてきたので、リーナの方を見る。

リーナは

「街に案するだけでいい」

とだけ言った。

「そ、そんなことだけでいいのですか!?」

なんかすごい驚いているが、俺以外にも善意で人助けする奴くらいいるだろう。

「いえ、他の冒険者などは基本的に自分のことしか考えていないので、金を払わないと助けてくれませんよ。あなたも冒険者ならわかるでしょう?」

ここで気づいた。この人たちもしかして俺らのこと冒険者と思ってるんじゃね?

「悪いけど、俺たち冒険者じゃないぜ?」

「え!? そうだったのですか!? てっきり冒険者の方なのかと……」

「これから冒険者登録する予定だ」

「そうだったのですか…………」

俺たちは雑談をしながら、街に向けて歩き出した。

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