《進化上等~最強になってクラスの奴らを見返してやります!~》第二十七話 あの列……長くね?
街に向かって歩きながら、俺たちはいろいろな話をした。
「なんと! ではあなた様は最近噂になっていた勇者様たちのお一人であったのですか」
「別にあいつらの仲間ってわけじゃないんだがな…………」
あくまで友人であって、仲間ではない。
「あの……ヒカルさ……勇者様」
一緒に乗っていた男の子が俺に何か聞きたそうにしていた。
というか勇者様って呼ばれるのはしっくりこないな…………。
「テッド、俺のことは勇者様じゃなくてヒカルって呼んでくれ。それで、どうしたんだ?」
今更ではあるが、ここで馬車に乗っている人たちの紹介をしようか。
俺にお禮を言ってきた男がドロル・グリンファーヴァ゛―。
その妻であるアフレア・グリンファーヴァ―。
そして娘にして長であるフラム・グリンファーヴァ―。
フラムの弟であるテッド・グリンファーヴァ―。
グリンファーヴァ―家は、王都でもかなりの大きな商會を持っている貴族であり、商人のまねごとをしている、かなり変わった貴族なのだそうだ。
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「ではヒカルさんと。一つ聞きたいのですが、あなた様方がやってきた異世界、ヒカル様の言葉を借りるなら地球という世界では魔法ではないものが発展していると本では記述されていました。それは本當なのでしょうか?」
「うーん、まぁ確かに魔法は発展していなかったけどね。でもこの世界の人たちから見たらあれも十分に魔法だと思うよ」
俺の質問の答えに、テッドは?マークを浮かべている。
「魔法に見えるとは、実際は魔法ではないと?」
「その通りだ。俺たちの世界では魔法の代わりに科學というものが発展していたな」
「科學、ですか?」
科學という言葉に聞き覚えがないのだろう、疑問が盡きないような顔をしている。
「科學って言うのは、簡単に言えば電気や火を使ってモノをかしたりすることのできる力のことだな」
「その電気や火は魔法ではないのですか」
「ああ。電気も火も、どうして火は燃えるのかなんてことを先人たちは考え、仮説を立て、実験して、確証を得ていった」
そこで言葉を區切る。俺の言葉を理解しようと必死に頭を回転させているのだろう。テッドの顔が若干赤い。
このままだと知恵熱がでそうだな。
「このまま話してもいいけど、この話の続きはまた今度。そろそろ頭を冷やさないと知恵熱を出すぞ」
俺がそういった瞬間殘念そうな顔をしたが、自分もそろそろ頭がパンクしそうなことに気が付いているのだろう。文句は言わずに素直に引き下がった。
「そろそろ街に到著いたしますぞ!」
馬車を引いていたドロルが聲を上げる。もう到著か。思ってたよりも意外と早かったな。
「おーいリーナ。起きろー。著いたぞー」
俺の言葉に唸り聲をあげながら、ゆっくりとを起こす。
「おはよう、よく眠れたか?」
まあ、よく眠れたといっても三十分程度しか寢ていなかったのだが。
「おはよ、もう著いたの?」
俺が頷いて見せると、眠たげな目をこすりながら窓から顔を出し、辺りを見回し始めた。
恐らくだけど十年ぶりの外の風景に心が昂っているのだろう。
そんなことよりも、確認することがある。
「街にるのには金がいるのか?」
俺の質問にキョトンとした後、ああそういば知りませんでしたねと話してくれた。
「たいていの街にはるのに大銀貨一枚くらいかかります」
ここで通貨の話をしよう。
この世界の通貨は
銅貨・大銅貨・銀貨・大銀貨・金貨・大金貨・白金貨
に分類することができる。
これらを日本円に換算すると、
銅貨 = 百円
大銅貨=五百円
銀貨 = 千円
大銀貨=五千円
金貨 =一萬円
大金貨=十萬円
白金貨=一億円
という風になる。
銀貨一枚となると、日本円で千円か。し高いような気がするが。
まあ、気にしてもしょうがないか。
「ふむ、あいにく今手持ちがなくてな。魔の素材とかならあるんだが、それって換金してもらえたりするのか?」
俺の言葉にし考えたそぶりをした後
「おそらくですが大丈夫でしょう」
と話したので、考えないようにした。
しばらく進むと、人の行列が見え始めてきた。
なんだあの行列は?
俺の視線をたどって何を思っているのか分かったのだろう、テッドが誇らしげに言う。
「この時期はこの街でお祭りが行われているんですよ」
「お祭り?」
日本人としてお祭りと聞いて黙っちゃいられねぇな。
「ええ。なんでも今日はこの街を統括している領主の誕生日だそうで」
領主の誕生日だと?
それだけでこんなに賑やかになったりするのか?
「ここの領主はかなり良い人格者だそうで、町の住民の殆どから支持されているそうですよ」
ほう。それほどの人なのか。
「あ、そろそろ自分たちの番ですよ」
お、そろそろインベントリの準備をするべきだな。
しばらくすると長蛇の列が見えてきた。……なんだあれ。
「あれは一般人が通るための門ですよ」
ほう。つまり俺たちが通るのは一般人ではない人が通るもんなのか。
まあ、早くれるなら何でもいいけど。
「とまれ! ギルドカードを見せろ」
門番の兵士たちが槍をバッテンにして通せんぼする。
てか曲がりなりにも貴族に対して敬語じゃないのはどうなんだろうか。不敬罪で処されたりしないのかな?
「はい。これでよろしいですか?」
「ああ、通って構わない」
そういって兵士たちは槍をどかせ、中にらせてくれた。
最後まで上から目線だったな…………ってあれ?
「俺たち、金払ってなくね?」
確か街にるのにはお金が必要なのではなかったのか。
「ああ、確かに分を確認できるものがないとお金が必要になりますが……」
そういって門番に見せたカードを俺に見せてくれた。
「これは?」
「これはギルドカード。全世界共通の分証明書であり、冒険者ギルド・生産者ギルド・傭兵ギルドと三つのギルドで発行できるものです」
へぇ~。やっぱりギルドカードなんてものがあるのか。
「ちなみに聞くけど、ドロルさんはどこのギルドに所屬しているんだ?」
「私は生産者ギルドですよ。戦闘職のスキルは護衛程度しか持っていませんし」
 へぇ~、と相槌を打ちながら街を見渡してみる。
確かに見たところきれいな街であり、どこの店も活気づいている。
だが、こういった街には大抵黒い部分があるというのが世間一般の常識であるが、そこら辺はどうなのだろう。
「なぁ、この街の孤児院ってどういった場所なんだ?」
俺の質問にすこしだけポカンとして、ああなるほど、と納得したような顔をした。
「孤児院の子供たちも、特に暴力を振るわれたりとか、貧しい思いをしているわけでもありません。私が使えるつてを使って徹底的にこの街を調べてみましたが、この街は本當に後ろめたいところもない街のようですよ」
そんなこともあるもんなんだな。
てっきり孤児の子たちにはひどい扱いをしているのではないかと考えたが、それは俺の思い違いだったようだな。
「さて、この街まで案してもらったついでなんだが、冒険者ギルドの場所を教えてもらっていいか?」
「別にそれは構いませんが……冒険者になるおつもりで?」
「ああ、どのみちギルドには登録しに行かなきゃらないし、三つのと言われたら冒険者の方がまだいろいろ自由にできそうだしな」
「わかりました。それでギルドの場所ですが、大きな館のような外観で看板に剣と盾が描かれています。かなり目立つ建なのですぐにわかると思いますよ」
「了解した。いろいろとありがとう」
「いえ、こちらこそ助けていただいて謝しております。では機會があればまた」
「ああ、じゃあな」
そういって俺たちは別れた。
では早速、冒険者ギルドに行ってみるとしましょうか。
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