《進化上等~最強になってクラスの奴らを見返してやります!~》第三十三話 これ以上強くなる必要あります?

真っ暗な空間。どこを見渡しても闇が広がる世界に、俺は一人ぽつんと佇んでいた。

闇は辺りに広がり、自分のを満足に見下ろすこともできない。

「いったい何処なんだよ、ここ……」

俺はそう一人愚癡る。

「ほう、貴様が次の主であるか」

「若い」

突然後ろから聲がかかったのでゆっくりと振り返る。

そこには隨分と年の離れた男が立っていた。男は40前半、っていうかの子はたぶん7,8歳くらいかな?

「誰だアンタら?」

男はしまったという顔をしてから、鋭い目で俺を見つめる。

「まだ名乗っていなかったな。私の名はベルゼブブ。暴食之神ベルゼブブを司る者だ」

「マモン。強之神マモンを司ってる」

……あ~、つまりなんだ? こいつらは俺の持っているスキルの管理者ってわけか。

「その通りである」

……また心を読みやがるし。最近出會う奴は心を読むやつが多すぎじゃないか?

「それほどでも」

褒めてねぇよ。

「そんな冗談はさておいて」

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アンタ無表だから冗談かどうか判斷しにくいな。

「一々茶々をれるでない。話が進まんだろうが」

ウイッス。

「さて、本題だ。貴様をここに呼んだ理由、それはある封印を解くためだ」

あ、いやな予が………。

「ちなみに聞くけどさ、封印ってなんの?」

「何が封印されているかは我の口からは言えん。ただ、複數の力が封印されているということだけは理解しておけ」

複數あんのかよ。

「あ~、それで? 力が封印されていると言われて俺は一どうすればいいんだ?」

「特に何も」

「は?」

「貴様の言いたいことはわからんでもない。だが封じられている力ばかりに気を取られ目の前のことにうつつを抜かしていれば必ず足元をすくわれるぞ」

とても実験のように聞こえるのは気のせいか?

「…………言うな」

なるほど。実験なわけですね。

「…………そんなことはさておくとして」

あ、スルーした。

「貴様には封印が解放されるまで気軽に待っておけばいいだけだ。なにかあれば、また我らからこちらに呼び込むことができるのでな」

なーる。

「では、そろそろ時間だ」

あ、もう目が覚めるんですね。

「最後に一つ忠告しておこう。邪神と戦うならば覚悟しておくことだ」

「覚悟だと?」

どういったものだ?

「貴様が貴様でなくなるということだ」

おれは思わず目を細める。

自分が自分でなくなる。どこかで聞いた話だな。

「気づいておるかもしれんが、貴様の中には封印された力の中に、しばかり邪悪なものが混ざっておる」

邪悪なもの、ねぇ………。

正直なところ心當たりしかないのだが、どうしようか?

「アレは私からみても相當なモノ。下手をすれば邪神なんて片手で捻り潰せるくらいの闇」

俺が悩んでいると、先ほどまで空気だったマモンが話にはいってくる。

「…………それを一俺にどうしろと」

「コレに何か持ちかけられたりしてない? もしくは注意されたりとか」

確かに、何か言っていた気がするが思い出せない。

あいつは、俺に何を言っていた―――――――――?

「無理に思い出そうとする必要はない。無理をすればそれをきっかけにして闇に支配されるかもしれんからな」

洗脳みたいなものか?

「そんなところだ」

「さて、注意する點はそのくらいか」

ん、じゃあもう戻ってもいいのか?

「ああ、構わない。先ほども言ったが、何かあればこちらから呼び出すからな」

その言葉を聞いて、俺の意識はゆっくりとフェードアウトしていった。

微睡から覚めた俺は、ゆっくりとを起こす。

窓の外はもう暗い。眠ったときは確か夕方だったからもうそろそろ飯の時間かな?

そう思った直後、ドアをノックする音がした。

「お休みのところ失禮します。お食事のご用意ができました」

「ああ、わかった。今行く」

そう返して、隣で睡しているリーナを揺りかす。

「ほら起きろリーナ。飯の時間だぞ~」

そう言いながらを揺らすと「ん……ご飯…………」と呟きながら起き上がった。

「ほら、ご飯なんだからシャキッとしろ」

「んみゅ~」

最近コイツの保護者だと勘違いし始めてるんだよな……もう末期だよ…………。

すこしばかり項垂れていると、クイッと袖を引っ張るが。

「ご飯」

キラキラした目でこちらを見るリーナ。どんだけ腹減ってたんだよ。

まあ、俺も腹が減ったから早く行くか。

というわけで宿の一階に來た。

店の外見とは裏腹に食堂はかなり綺麗だった。店の裝だけ見たら喫茶店と言っても過言ではないのではないだろうか。

これは飯も期待してもいいかもしれない。

「こんばんわ。それで何にしますか?」

「そうだな…………何かお勧めはあるか?」

「うちのお勧めはグリンボアのステーキですね」

グリンボア?

「はい、グリンボアはボア種の中でも一番弱い魔なんですけどとても素早くて捕まえられないんですよ。まあその分ほかのおとは比べにならないくらいに味しいんですけどね」

「そんな特殊な魔を使って赤字にならないのか?」

「ええ、あんまりお客様がこないので普段は冒険者として稼いでいますし、これでもランクBなんですよ?」

へぇ、ランクBか。

俺は素直に心する。

恐らくだがこの子はまだ9、10歳ほどのだ。

年齢らしい華奢な付きからBランクとは想像もできないだろう。

やはり人は見かけによらないらしい。

まあ、それを言うならリーナにも該當するんだけどな。

そう思った瞬間、一瞬だけだがリーナから途轍もない殺気をじた。

ハイハイ、悪かったからその殺気をしまえ、が怯えているじゃないか。

俺はリーナを軽く宥めつつ、そのお勧めのステーキを頼むことにする。

「じゃあ、そのボアのステーキを頼む。リーナはどうする?」

「私もヒカルと同じのでいい」

「かしこまりました」

そう言ってパタパタを廚房の方に走っていった。

「で、昨日の話だが、何か手掛かりは見つかったのか?」

俺はそう小聲で問う。

リーナは俺が何を言っているのかを察し、小聲で答える。

「うん、あの子がスキルを持ってる確率はほぼ100%間違いない」

リーナが言うには、同じ系統のスキルは惹かれ合うらしい。

ふむ、こうなれば―――――

々考えていると、メリルがの乗ったプレートを持ってきた。

「お待たせしました~グリンボアのステーキです。焼きたてなので火傷しないように気を付けてください」

「ああ、ありがとう」

俺はそういってプレートをけ取る。

その際、俺はリーナに魔眼を使用する。

――――ステータス――――

名前:メリル

種族:人間

職業:Bランク冒険者

Lv50

HP:3200/3200

MP:9300/9300

STR:3121

DEF:2099

AGI:4804

MGA:6881

MGD:6984

INT: 543

LUK: 102

スキル

魔法Lv9】【土魔法Lv7】【水魔法Lv4】

【俊足Lv3】【怪力Lv3】【鑑定Lv6】

【短剣Lv4】

ユニークスキル

【勇気之大天使ウリエル】

稱號

勇気の熾天使にされし者・慈に満ちた者

俺は思わず目を見開く。

スキル自ないもののスキルのレベルは高く、組み合わせ次第でいろいろな戦い方ができる、所謂萬能型だな。

それに一番目を引いたのが徳スキルである勇気之大天使ウリエルだ。

勇気之大天使ウリエルのスキル効果異常だ。

比較対象として、之熾天使ガブリエルのスキル効果を見てみよう。

之熾天使ガブリエル

ガブリエルにされた者が得ることのできるスキル。

自分の周りにいるメンバーのステータスを任意で最大5倍まで上昇できる。

狀態異常や神汚染、即死といった効果はすべて無効化することができる。これはパーティーにも付與可能。

これが之熾天使ガブリエルのスキルだ。

リーナ曰く効果はまだこれだけじゃないらしいから、やはり徳スキルが特別なスキルだということが窺える。

そしてこれが勇気之熾天使ウリエルのスキル効果だ。

勇気之大天使ウリエル

ウリエルにされた者が得ることのできるスキル。

自分よりも強者に相対した場合、ステータスを大幅に上昇させる。

勇気を伝染させてスキルや魔法の効果を大幅に上昇させる。

といったものだ。

パッと見たじそこまですごくなさそうなスキルだが、これがもとから持っているスキルと相乗効果で発すれば、敵に対して圧倒的なアドバンテージが得られることになる。

例えるなら、大罪スキルが個人的な力に特化しているに対して、徳スキルは他人と協力することを前提として使われるスキルと言ったところか。

どうりで魔都の奴らも聖都の奴らもスキル所持者をしがるのかよく分かった。これほど即戦力になり得るならしがるのも同然だな。

そんなことを考えながら俺は廚房に戻っていくメリルを目に、グリンボアのステーキを頬張った。

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