《進化上等~最強になってクラスの奴らを見返してやります!~》第三十九話 攻めてくる敵が一つだと誰が言った?

~晃side~

皇國に近づくにつれ、戦闘音がだんだん激しくなっていく。

まだ數十キロ離れているというのにこの音となると、かなり戦闘が激しいようだな。

ただこのじだと戦闘というより、一方的に攻撃されているだけのようなじがするな。

この距離で煙が見えないってことはまだ皇國部までは侵略されてないようだ。

「援軍するにも向こうに疑われたら元も子もないしな…………どうする」

「私、親が皇宮で働いているので、そちらに連絡できれば誤解を招く心配もないと思います」

そう進言するのは、子供パーティーの中で唯一のの子。

確か名前はローザ・バルザップだったか。

おっとりとした、おとなしそうな印象をける彼だが、使う得はキリングサイス。所謂大鎌というである。

鎌捌きも大したもので、先のオーク戦でもかなり善戦していたように見けられる。

そんな彼の父親は皇宮で働いているという。ということはその父親は武か何かか?

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「連絡できる手段はあるか?」

「すみません。私の魔力ではこの距離での念話魔法は無理かと…………」

くそッ! やっぱりさっき休ませておいた方が良かったか……。

「俺の魔力を使うことができれば、念話は可能か?」

「は、はい! 十分可能です!」

「よし、すぐさま魔力を送る。できるだけ簡潔に伝わるようにしてくれ」

「はい!」

―――――お父さん! お父さん! 聞こえてたら返事して!

―――――ローザか。なんだ?

―――――今強い人と一緒に皇國に向かってるの! 後ろから帝國兵を奇襲するから、間違っても私たちに攻撃しないように他の部隊の人たちに連絡しておいて!

―――――は? おいちょっと待てそれは一どういう…………ブチッ

「連絡終わりました!」

「いや、まぁうん。とりあえず急ごうか」

ローザのお父さん、なかなかに苦労人のようである。

とりあえず連絡はできたということなので、こちらも容赦なく進撃を開始できるというものである。

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まず手始めに…………

「ご挨拶と行こうか」

俺は全力で走りながら両手に雷を纏わせる。

バチバチッという音を響かせながら、両手にどんどん魔力を注ぎ込んでいく。

だんだんと雷が激しくなっていくのをじながら、前方を見據える。

ここからの距離なら向こうに気付かれることはないだろう。

「弾けろ、【オクタ・クライシス】」

【オクタ・クライシス】

雷魔法の最上級魔法であり、八つの雷が使用者の指定した方向に放出されるという魔法である。

説明を聞く限りではたいしたことはなさそうなのだが、雷魔法の最上級となれば、たいしたことがないわけがない。

恐らく、八つのうちの一つでも直撃すれば、劣等竜レッサードラゴンなど一瞬で蒸発させることができる威力である。

そんな威力があるものを、俺は容赦なく帝國兵たちの真上に打ち上げた。

落下した瞬間に足元に転がっていた石を全力で投げつける。

雷が石にぶつかると、再び八つに分裂する。

それをひたすら繰り返し、帝國兵全に攻撃が行き渡るように調節する。

そして幾多にも分裂した雷は帝國兵たちを無慘にも躙する。

その様は言うなれば――――――

「まさに天罰ってところかな」

「ヒカル。私たちも」

後ろを見ると子供たちがキラキラした目でこちらを見つめてくる。

「……仕方がない。參加してもいいが、絶対に死ぬなよ?」

「「「「「「「わかってます」」」」」」」

俺がゴーサインを出すとみんなが一気に戦場に躍り出た。

いくら武力で有名な帝國の兵士とはいえ、子供たちの実力はすでにランクCはある。簡単には負けないだろうし、リーナに至っては相手するほうがかわいそうである。

この戦爭、思ったよりも早くに決著がつきそうだな…………。

俺がそう思っていると――――――

ズガアアアァァァァァァンッッッ!!!

向こう側から発音が響いた。

「おいおいまさか……」

俺の頭に最悪のシナリオがよぎる。

「敵は一つじゃない・・・・・・・・ってか……誰がこんなの予想できるよ」

俺はリーナに殲滅次第國って防衛の手助けをするよう伝言し、俺は音のした方へと足を向けた。

~南海side~

私は今、咲の部屋の前に立っている。

隣には親友である靜香がいる。

この世界に來てから無理をし続けている咲にこんなことを頼むのは気が引けるのだが、今はそんなことを言っていられる余裕はない。

「咲ー、いるかー?」

コンコンとドアをノックをして問いかけると、しばらくしてから扉が開いた。

「うにゅ……みっちゃん、しーちゃんおはよー…………」

部屋から出てきた彼は寢間著姿でこの大忙しの時には似ても似つかない恰好だった。

まあ別にそこにいちゃもんをつけるつもりはない。

咲だって咲なりにいつも頑張っているのを私は知っているからな。

「寢起きで悪いんだけど、咲、あんたに頼みたいことがある」

「なに?」

「あんたのその弓の力を貸してほしい」

私がそう言った瞬間、咲の表しだけ固くなる。

「…………そんなに私の力が必要なのかな?」

「ああ。今、隣國である帝國がこっちに戦爭を仕掛けてきてる」

そう言うと咲が無表になった。

…………やばい、スゲェ怖い。

「………それで? みっちゃんは私に人殺しをしろと、そう言いたいわけなのかな?」

無表の咲が私を見つめる。その無機質な目で見つめられるのは正直かなり怖い。怖いが、それでも言わなければならない。

そうしなければ、私たちの命はないのだから。

「端的に言えば、そうなる」

咲は無機質な目でじっとこちらを見つめる。

しばらく見つめたと、ゆっくりと瞼を閉じ、そして―――――

「仕方ないにゃ~。みっちゃんの頼み事とあれば無礙にするのもなんだかな~てじだしね」

いつも通りの、活発でおちゃらけた雰囲気に戻った。

「それで? 私はどうすればいいのかな?」

「私が指示する場所に言って、弓で攻撃してくれたらいい―――――」

私がそう言いかけた瞬間。

バチバチバチ!!

そんな、まるで雷が落ちたかのような、そんな轟音が辺りに響いた。

靜香が一人目を瞑り周囲を見ている・・・・ようだ。

靜香の持つスキルの一つ。天眼。

詳しい効果は知らないけど、靜香曰く自分を中點として周りの狀況を把握することができるスキルらしい。

千里眼に近いものだという。

なるほどわからん。

私にも似たようなスキル自はあるけれど、天眼とは全くアプローチが違う。

まあ、そのことは置いておくとして。

「どうなってるか分かった?」

私は靜香に問う。

靜香はゆっくりと目を開いた。

「誰かわからないけれど、この國を囲んでる帝國兵を攻撃してた。たぶん味方なんだろうけど……倒し方がすごい」

「倒し方?」

「うん。すっごい大きな雷を全方位に叩き落しているじ。こんなことできるんだね」

私もしだけ思い浮かべてみるが、そんなことができる人が思い當たらなかった。

「まあ帝國兵を倒そうとしているなら仲間ってことでいいだろ」

私は咲に目を向ける。

「というわけで、頼めるか?」

「何がというわけなのかわからないけど、とりあえず頑張ってみるにゃ~」

「よし、じゃあ早速準備して「準備ならもうできてるよ~」……ってはや!」

え? さっきまで寢間著だったよね? 何でもう著替えてんの? 早くない?

ま、まあ今突っ込んでもしょうがないし、非常事態だからさっさと向かおう。

そう言いかけた瞬間。

ズガアアアァァァァァァンッッッ!!!

そんな轟音と、激震が走った。

「ッ!? おいおい今度はなんだよ!」

靜香は再び目を瞑り、周りを確認しているようだ。

そして目を開き―――――

「な、なにこれ…………」

「おい、どうした!?」

靜香がを震わせる。

「敵は帝國兵だけじゃなかったんだ…………魔族が、魔族がこの國に攻めてくる!!」

私は絶句した。

魔族。

それは、人類・亜人共通の敵であり、人など歯牙にもかけないような、強大な力を持った種族。

を従えるその姿は、まるで悪魔そのものとも呼ばれている。

本來魔族たちは人類や獣人に興味がない。自分たちの脅威にならない存在として見下しており、滅多にほかの國に進行などしない。

それなのに。

なぜ魔族たちはこの國戦爭を仕掛けてきたのだろうか。

疑問は盡きないが、とにかく騎士団長に連絡しなければ。

そう思いこうとすると

「!!? 伏せて!!」

咲の聲に咄嗟に反応し、床に伏せる。

次の瞬間、

ズパァァァァァンッッッ!!

そんな音が辺りに響いた。

ゆっくりと視線を上にあげると―――――

城が、橫方向に真っ二つにされていた。

おいおい、いったいどこから攻撃されたんだよ……。

とにかく移しなきゃ、瓦礫に飲まれてお陀仏になっちまうッ!

私はすぐに起き上がり、咲と靜香の腕をつかんで外に出る。

外に出ると、そこは地獄絵図だった。

大通りは逃げる人でごった返し、周りの家や店は倒壊している。

空には劣等竜レッサードラゴンが飛びい、その更に向こうには魔族の軍団と思われし黒い影がこちらに向かってゆくっりと進んでいる。

さらには帝國兵たちと思われる聲も屆いている。

敗戦濃厚ってか…………まあでも

「だからって諦めるつもりはさらさらないけどな……ッ」

私は【思考通信】を使って幸希に連絡する。

(幸希、聞こえてるか)

(ばっちり聞こえてるよ。で? どうすんだこの狀況)

(何も)

(は?)

(だからも何も考えてないって。とにかく出會った敵を全部叩き潰す。靜香曰く壁の外側には味方がいるらしいから、そっちは何とかなるでしょう。だからあんたはこっちに來なさい)

(…………了解。今相手してるのが終わったらすぐに向かう)

(なるべく早く來なさい)

(わかってる)

私は【思考通信】を切り、そっと息を吐く。

この狀況下でまだ諦めきれていない自分に私は苦笑する。

まったく、いつから私はこんなにも諦めが悪くなったのだろうか。

ま、諦めていないのは靜香も咲も一緒なんだけどね。

私は腰にぶら下げていたガントレットを腕に裝著。

咲は背中に背負っていた折り畳み式の弓を展開し、劣等竜レッサードラゴンに狙いを定めて弦を引き絞っている。

靜香は靜香に腰にさせた刀を引き抜き、こちらに向かってくる帝國兵たちを見據える。

既に町の人々は避難完了している。

さあて、今までの人生で最悪の悪足掻き、始めるとしましょうか

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