《神の加護を持つ死神》旅の支度 2
アルとヘーニルが食材を買いに行ってから、俺はソラと一緒に馬車を買いに出掛けた。
一店舗目での著いた店では、気前の良いおっさんが店主で、とても早く話が進んだ。
しかし、俺が良いと思う馬車は無かった。
因みに、俺が良いと思う馬車は、安定があり酔わない、快適に過ごせる、荷が多くる、それにヒスイへ行くまでに砂漠を通るらしいので、砂漠の強い嵐にも耐えられる、という條件があるのだ。
だが、この條件は難しい様だった。
あの後も四軒近く回ったが、どこにもこの條件に當てはまる馬車は置いていなかった。
キラリは狀況が狀況なので既に諦めていた。
だが、それはソラの一言によってかき消された。
「ここまで無いとなると、條件を変えるか、キラリ様が作るしか無いですね。どちらにされますか?」
「その方法があるじゃん!? なんで思い浮かばなかったんだ、俺は」
俺の職業は忘れがちだが、錬師。
を作る職業だ。
この職業ならば、馬車を作る事など最も簡単だ。
それに、俺の條件を好きに付ける事が出來る。
「んじゃあ、まぁやってみるか。ソラ、馬車の素材は何が良い?」
「この世界でのオーソドックスですが、アリステルという金屬です。それでも耐久は優れているのでよろしいかと」
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「じゃあ、それにするか。どこでどれるそれは? もし採れないのならここで売ってるか調べてくれ」
「はい。この村ではヴァルスという鍛冶屋の人が使っている様です。その店では売られているので、そこでよろしいかと」
「そうか。じゃあ、そこに行くか」
「はい。かしこまりました」
俺は、ソラのいうヴァルスという人の元へ行く事にした。
今いる公園から然程遠くは無いとの事なので、俺たちはのんびりとしながら歩いた。
途中にあった、クレープ屋で、クレープを買い、ソラと歩きながら食べた。
ソラとだと自然に會話が弾み、クレープがより一層味しくじた。
丁度、クレープを食べ終わった頃に、ヴァルスという名の人がやっているという鍛冶屋に著いた。
外見は、鍛冶屋というならば暑苦しいじかと想像していたが、全くそんな事は無く、良い意味で普通の店だった。
し、安心した俺は肩の力を抜き、店の中へと足をれた。
「いらっしゃいませ。今日は修理ですか?」
「いえ、金屬を買いに來ました。アリステルというのなんですが」
奧から出てきたのは、まさかのだった。
それもお姉さん系の人だ。
「そうなの、ちょっと待ってね……おーい、あんたー」
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お姉さん系の人がそう言うと、奧へと戻って多分ヴァルスという人だと思うが、大聲で呼んだ。
し、経つとお姉さん系の人が戻ってきた。
「直ぐ來るから、もうし待ってね」と言い、俺たちを端に置いてあったイスへと座らせた。
お姉さん系の人が言った通り、イスに座ってから數分後に奧から一人の男が出てきた。
出てきたのは、何気に初めて見る亜人族だった。
多分、ドワーフだろう。
拠は無いが、まぁ言うならばここが鍛冶屋だからだろう。
「ふわぁぁ〜……客か? お前が相手しといてくれたら良かったのに。何で俺を起こすんだよ」
「はぁ〜……あんたが、金屬を買いに來た人がいたら呼んでと言ったんでしょうが。まぁアリステルを買いに來た人達だよ」
「アリステルをか? あんなの馬車にしか使えないだろうに。その馬車もお前みたいなのには作れねーよ。それとも何か他のにでも使うのか?」
『殺してもよろしいですか』
『駄目だよ! こんな事で怒るな。ただ、俺がしディスられただけなんだから』
『ですが……キラリ様をあんな風に!』
『俺が良いと言ってるんだから従う。じゃないと、ソラを怒るよ』
『かしこまりました。怒りを押し殺します』
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ソラが《念話》をして俺の頭に問いかけてきた。
このドワーフにはディスられたし、怒りがあるが、しだ。
これごときで俺は怒ったりしない。
ましてや殺すなんてのは。
「……馬車に使うのですよ」
「そうか……まぁ俺は客の私まで聞いてまで売りたくない訳ではないし、売ってやるよ。どれぐらいの馬車を作るんだ」
「四人だが、多めに五人分ぐらいの広さの馬車が作れるぐらいですかね」
「分かった。それぐらいなら、大、三百四十萬だな。しかし、そんな大金持っている様にも見えないのだが」
「それぐらいありますよ。はい、大金貨三枚と金貨四枚」
意外にもアリステルという金屬は高かった。
金屬というならば結構安いと思っていたんだがな。
まぁこれぐらいの出費、痛くもくも無いんだがな。
「丁度だな。だがアリステルはどうやって運ぶのだ? あれは結構な重さがあるぞ」
「そこは大丈夫です。信用が無いのなら見せるので、アリステルを出してください」
「へいへい、分かったよ。おい、アリステルが置いてあるところまで案しに行ってくるから店番頼むぞ」
「分かったよ。さっさと戻って來るんだよ」
どうやら、アリステルがある場所に案してくれるらしい。
そっちの方がこちらも楽なので良いだろう。
店の奧へと通され、そして裏口から外へと出た。
ドワーフのおっさんに著いて行くと、一つの古びた家に著いた。
ドワーフのおっさんは躊躇なくっていったので、俺たちも慌てる様にしてその後ろを著いて中にった。
中には、魔法陣があった。
ソラに聞くと転移の魔法陣らしい。
「一個人が使用して良いレベルのものなのかこれは」
「いや、駄目だな。俺はちゃんとした許可を貰ってるからな。お前はこれが何か分かるのか?」
「まあ。転移の魔法陣ですね」
「ハッ、正解だよ。お前やっぱり強いな。初めは弱いから覇気が無いのかと思ってたが、違うな。強いから、それも神だからだろう」
「良く分かったな。あの村長といいギルマスといいあんたといい、この村には強い奴しかいねーのかよ」
キラリは、自分が神だとこの村の人達からは直ぐバレるので、もしかしたらこの村の人達自が強いからなのではという結論に至った。
そんな事は微塵も無いのだが。
ただ、今まであったこの村の人達が強かっただけだ。
「ハッ、そんな訳ねーだろ。自分で言うのもなんだが、お前が言った面子が濃すぎるんだよ」
「だよなー」
キラリとドワーフのおっさんは上機嫌に笑った。
だが、ソラは違った。
完全にアリステルの事を忘れている、はぁーというのを思ったのか、疲労が溜まったような顔をしていた。
これを見て、俺はソラのためにもと、ドワーフのおっさんにそれでこれが転移の魔法陣ならどこかにこれで行くんだろ、さっさと行こうぜと言った。
すると、そうだなぁ、と言いこの魔法陣をおっさんは起させた。
白く輝き、俺達は転移した。
転移した先は、野原。
ソラに調べてもらうと、ここは何でも迷宮の中らしい。
そこの安全地域に転移したと。
「ここの奧にアリステルはある。離れずに付いて來いよ」
おっさんはそう言うと、さっさと歩き出した。
俺とソラはその後を景を見ながらゆっくりと付いて行った。
野原をひたすら歩いていると、ある崖の近くへと著き、おっさんは立ち止まった。
それに合わせ俺達も立ち止まった。
そして、この崖の壯大な姿を見上げた。
頂上を見る事は出來ず、見える所は雲があるところまで。
それ以上は全く見えない。
「何故、雲が迷宮にあるんだ?」
「ハッ、これを見て最初の一言がそれかよ!」
「悪いかよ! 別に良いだろう! それで何で何だ?」
「それはだなーー」
おっさんの話だと、この崖自がアリステルらしい。
アリステルはないが蒸気を出す質があり、この崖自がアリステルなので、大量の蒸気が出る。
それが雲の正なそうだ。
他にも水の空があるのもアリステルの質で起こっているそうだ。
の反の関係とか何とか。
「で、これからどうやって正確な量のアリステルを採るんだ? 適當では無いだろうし」
「それはだな、こうやってやるんだ」
おっさんはアリステルで出來た崖に真っ直ぐとばした手でれた。
手全がれた瞬間、辺り一面を照らす程のがおっさんの手から出て、俺はを塞ぐために咄嗟に目を閉じた。
しだが、目を閉じていてもをじていたのだが、急にそれが消え、暗闇へと変わったのを気に、俺は目をゆっくりと開けた。
そこで見えたものは、赤く輝く石の塊だった。
いや、これこそが俺が探し求めていただろう。
「これがアリステルだ。ちょんと金を貰った分はある。文句はねーだろ」
「ああ、だがこれは今どういう仕組みで出てきた。何となく予想はつくんだが、あっているかが分からん」
「ハッ、これはだな、この石の最後の質だ。管理者が命じるとその分増えるってな。お前がやろうとしても無駄だ。この崖自が俺の管理元だからな」
タングステンの劣化版ってところだろう。
管理という點で考えれば、こちらのアリステルの方が良いのだろうが。
「戻るぞ。さっさとしねーと俺が怒られちまう。お前らさっさと付いて來い」
「嫁のに敷かれてるのか……」
「うっせー! 否定はしないがな」
「しないのかよ!?」
こうはなりたく無い。
絶対にだ。
まぁ俺のパーティーにこんな奴はいないがな。
そもそも、俺にいた彼はあの甘々神だけだからな(笑
俺達は、またあの店へと戻ってきた。
言い忘れた気がするが、あのアリステルは無限収納アイテムボックスにれている。
おっさんにれる瞬間を見せた時「それは人前ではあまり見せるな」と注意された。
何も、この世界には無限収納アイテムボックスを持っていたのは初代の賢者だけなそうで、知られたら面倒な事になるからと。
これには、ちゃんと従う事にする。
だって、目立つなどは嫌いだ……英雄とか呼ばれるのは嫌いじゃねーけどな。
矛盾してるって……細かいことは気にすんな。
「じゃあ、まいどな」
「おう、ありがとな、売ってくれて。機會があったらまた來るわ」
「一応覚えておいてやるよ」
「ハッ、じゃあな」
俺達はおっさんの店から出て、今日の朝に宿の部屋は売りはっらたので、どこか誰にも見られず馬車が作れるところを探しに出掛けた。
數十分だろうか、歩き回り続けて見つけた良い場所はーー森だ。
森ならば、誰にも見られることは無く、それに場所も広いので馬車が作れる。
それに、ししたいことがあるしな、こればかりは見られては絶対にいけないというのだが。
森の中は木が押し茂様に生えているので、まずは開拓からしないといけない。
これは、魔法で全て出來るだろう。
まず、風屬魔法で木を切り、倒れていく木は無限収納アイテムボックスに回収。
それを繰り返していく。
この作業をするだけなのだが、凄い速度で木が無い地面が出來ていった。
約50坪、例えると五十メートルプール分の敷地が出來た。
これだけでは凸凹していて、馬車が出來る環境では無い、なので、次は土屬魔法と次元屬魔法を使って土を平らにする。
水がブクブクと溢れる様なじで土を盛り上げていき、全ての地面がモコモコとなったところで、次元屬魔法の重力を使い、下に圧し潰すようにして土を平らに固める。
これでやっと、馬車を作る敷地が出來た。
「よし、行くぞ〜!」
「はい」
「………どうやって作るの? この世界の馬車の基準知らないのだけど」
そもそもの問題だが、俺はこの世界の馬車を見たこと……いや、あるわ。
そう言えば、馬車売ってる店回ったんだった。
あの時ので良いのか?
「はい。あれが基準の馬車の形です。ですが、本來馬車は貴族方が乗るもの。怪しまれないじの馬車にするのが良いかと」
「いや、ここは貴族が乗っている馬車みたいにする。それの方が俺たちの強さとかを疑われにくいだろう。貴族が乗るような馬車に乗るやつだしそれぐらい當たり前だろ、とか思われた方が後々、楽だろう」
「それは……そうですね。キラリ様の案でいきましょうか。アル様やヘーニル様が何を思われるかは分かりませんが」
「気にすんな。あいつらなら俺が何とかする!」
「全く安心出來ない言葉ですね。キラリが言うとですが」
「全く否定できないのが、悔しい」
と、そんな雑談をしている間に、俺は形を何個か考えた。
まずは、何と言われているかは全く知らないので、形だけで言うと、バスだ。
馬が二匹でひいていて、後ろはバスみたいになっていて、ちゃんと屋も付いているし壁もあり、中が外からは見れない様になっている。
因みに、タイヤ付いてるからね、ちっこいやつ。
知ってるかも知れないけど……俺は知らなかった。
まぁそれが一つ目だ。
二つ目。
一般的には、まぁ地球では幌馬車と言われていた種類だ。
幌とは、風雨や砂埃などを防ぐために用意られるで馬車以外にも、トラック、オープンカー、鉄道車両、馬車などにも用意られている。
とまぁ、結構便利なで、そしてゴムで出來ているので、耐久力が高い。
例えるならば……いや、実際に地球でも使われていたのだが、新幹線の車両間の間に落下防止として付けられていた。
何故か……それは新幹線の速さでも千切れないからだ。
分かりにくいかも知れないが、要するに、本當に耐久力が高い、それも新幹線の速さでも千切れないほどに。
これが、馬車に付いており、結構安心して乗れると思われる。
まだ々考え付くが今はこれぐらいにしておこう。
変えたかったらその時にすれば良いし。
「ソラはどっちが良い?」
「一般的には貴族方でも幌馬車なのですが、さっきのキラリ様の案で行くならば、やはり前者の馬車でしょう。分が高い貴族方はあの様な馬車が多いので」
「そうか、ならそれで行くか。ソラが言うならばそっちの方が良いだろうし」
「さっきはキラリ様の案で無理矢理通されたのですが……」
「…………」
無言。
ソラには何も歯向かえないな、マジで。
だからと言って、俺の意見を貫き通さない訳ではない。
そうじゃないと、俺の存在が消えるからな……(汗
「想像頼んで良いか?」
「はい。この様なので良いかと」
俺は職業の錬師と言うのを未だ良く分かっていない。
材料にって、想像した姿を、材料に移す、するとその姿になるらしい。
やった事ねーからマジで分かんねよ。
まぁ馬車の想像は俺では無理。
寫真で見た事があるだけで、中の細かい事などは全く知らない。
なので、こいうのは全部ソラ任せだな!
「サンキュー。これを俺は作るんだよなぁ。取り敢えずーー《錬》」
ソラから頭に送られた想像を、材料に移した。
すると、それはこの場から消えた。
ーーどこいった。いやガチで。
本當にアリステルが俺の前から消えた。
これ、もしかしてまたあのパターン?
「はい。無限収納アイテムボックスの中ですね。出しますか?」
「ああ、頼む」
「かしこまりました」
そう言って、ソラは出してくれたのだろう。
だが、あまりにも急過ぎる。
目の前に急に現れると心臓に悪い。
「すみません。そこまで考えておりませんでした」
「いや、油斷していた俺も悪いし今回はどっちもどっちだな」
ソラとはちゃんと和解出來た。
なら、こっからが俺の本領だ。
ーーこの馬車を、最強にしてやる
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