《神の加護を持つ死神》馬車がいらない旅
「てかさ冒険者ってどれぐらいランクあんの?」
「そんなことも知らずに冒険者なりたいじゃとか言っていたのでおるか」
「じゃあお前知ってんの?」
「知らんわ。私はあまり世界に干渉していなかったじゃからな」
「俺の事言えんだろうそれって」
むぅと俺をアルは睨んできた。
ふっ、論破されて悔しいのかなぁ。
超良いぞこのじ!
「まあさておきじゃ。そのアルベルトってところは、どこにあるのじゃ?」
「俺は知らんぞ。ロタンが言ったんだし、ロタンに聞けよ」
「儂が知っている中だとここから近道だと海を渡るのが近いのだな」
「じゃあ船っていうやつになるのじゃな。今回の旅は」
船か。
異世界の船ってどんなのだろう。
俺は地球での船しか知らないし。
結構、気になるなぁ。
「船か。良いかもなぁ」
「どうじゃ、ヘーニルとソラとエルは。船でも良いのか?」
「エルは賛なの〜!」
「私も大丈夫です。キラリ様のおで神耐が付いているので酔うことはありませんから。ただ……」
「我は無理だ。船という乗りはソラの言い草だと酔うのじゃろう。酔うのは我は無理だ」
「そうだったのじゃ。たしかヘーニルは何かの呪いで、酔う様な作をすると直ぐに酔うのじゃったなぁ」
「そうだ。我は無理だ」
そうか。
ヘーニルは無理なのか。
「呪いじゃし仕方ないのじゃな」
「そうなのです〜! 最悪はロタンさんに乗れば良いのですぅ〜!」
「だな。儂に乗れば良いのだ」
「そうですね。ロタン様に乗るというのが懸命でしょうね」
「すまない。我の所為で」
……うん? 呪い?
呪いってことは。
「その呪いを解除すれば良いんじゃないか?」
「「「「「…………」」」」」
何故か全員黙り込んでしまった。
どうしてなのだろう。
俺は今、そんなにおかしな事を言ったか。
ましてやみんなが固まるほどの。
「そんな解決法があったのじゃな!!」
「そうじゃ。呪いなのじゃから解除出來るのじゃ」
「キラリお兄ちゃん、賢いのですぅ〜!!」
「中々やるな主人よ」
「よく思いつきましたね。流石ですキラリ様」
なんか褒められてるけど嬉しくない。
こんな當たり前のことで褒められてもうれしくねぇぇ。
「じゃあエル解除してやってくれ。多分、強い呪いかもしれないから帝級……もしくは超級ぐらいの特大でやってやってくれ」
「はいなのです〜!」
超級ともなると無詠唱とはいかないらしくエルは目を閉じ集中し始めた。
俺達はヘーニルをそこに殘したまま後ろに下がった。
三メートルぐらい離れたところでエルが目を開けたので準備が終わったのだろう。
「いくのです〜」
「こいっっっっ!」
はぁ〜〜〜!!! という、か◯は◯波並みの聲を出しながらエルはヘーニルに向かって手の平を向けるようにした。
呪い解除の魔法の影響だろうか。
エルの手の平から黃掛かったがブワッと出た。
それはヘーニルに當たるように出た。
なんていうか、この魔法絶対このはいらない気がする。
これ作った奴、ただの演出ぐらいの気持ちでやっただろうな。
手抜きすぎる。
カッコ良くなさすぎる。
まぁそんな事は良いか別に。
今は呪いが解けるかどうかだしな。
「キラリお兄ちゃん、ヘーニルさんの呪いは解けてるのです〜?」
「ちょっと待ってくれよ」
ーー鑑定
うん。
ヘーニルのステータスには呪い無い。
そもそも今までヘーニルのステータスに呪いがあること自知らなかったしな。
なんとも言えないわ。
「一応、ステータスには無いし、解けてると思うぞ」
「やった! 有難うなエルよ」
「どういたしましてなの〜」
とりあえずこれで船は乗れるな。
「みんなに質問」
「なんなのじゃ急に」
アルは呆れたように聞いているが他は全員俺の周りに集まってくれた。
ふっ、アルは子供だな。
「俺が作った船。もしくは豪華客船。どっちが良い?」
「「「「「豪華客船!!」」」」」
ガーンッ!
俺は崩れ去った。
みんな俺に投票してくれると思っていたのに。
ちくしょう! 豪華客船なんかよりも俺の方が良いのに!
「そう落ち込むでないのじゃ」
「そうなの〜」
「たったそれぐらいだぞ」
「そうなのだ、落ち込むでないご主人様」
いやだ。
俺を裏切ったやつの言葉など聞きたくもないわ。
「……みんなキラリ様の事を裏切った訳では無いですよ。キラリ様が作った船もみんな乗りたいはずです。ですがキラリ様が毎回何かをしてくれているのでこいう時は楽にしてもらいと思っているのですよ」
「……本當にか?」
「ええ、ですよね皆様」
みんなそんなことを。
「お、おうなのじゃ」
「今ぐらい楽してなの〜!」
「そうだ。今回ぐらいはな」
「儂はご主人様のも乗りたいんだがな」
「ほらっ、皆様こう言っておられるのですから気をとり直してください」
「そうだなっ! そうだよな。こいう時ぐらい楽して良いよな」
「そうですよ」
「じゃあ今回は豪華客船にしよう!」
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