神の加護を持つ死神》最終日ぐらい楽しもうぜ

「今日が最後だったけ……」

「そうじゃな……」

「そうなのです〜……」

「そうだな……」

「そうなのだな……」

そしてソラ以外の全員は、はあ〜と大きく溜息を吐いた。

ちなみにソラはいつもと同じような顔をしていた。

それに溜息を出していないので、俺達と同じような気持ちなのかが分からない。

そもそも、何を考えているのかがいまいち摑めない。

きっとこれは全員が思っていることだろう。

「こいう時って、最後だから楽しもうぜ! 的な事を言う奴いるけど、最後だからこそ何もしたくないっていう思いがあるんだよなぁ」

「分かるのじゃ、それ」

「だよな」

珍しくアルと心が通じ合った。

こんなこと、二度とないだろう。

これも最終日の船の思い出としておこう。

「……ですが、思い出をつくりたいという気持ちあるんですね」

「そうなんだよな。流石、ソラ。わかってるぅ」

「キラリ様のことは全て知りえてますので」

このテンション最悪の気分でも、その従者? が重いとじてしまう。

ある意味、流石はソラだな。

「いえいえ。それ程でもありませんよ」

「褒めたわけじゃないんだが……」

「いえ。私にとっては今のキラリ様の発言は、全て褒め言葉ですので」

もう、ソラの域が信者とかまでなってる気がする。

「楽しい雰囲気のところ悪いが邪魔するのじゃ」

「楽しい雰囲気とじたのなら邪魔するなよ……で、なんだ?」

「さっきじゃがソラが言ったのじゃが、キラリも思い出をつくりたいのじゃろ」

『も』というのは自分達もそいう意見っていう意味なのだろう。

「ああ」

「じゃあ、早いこと決めようなのじゃ。こんな余裕ぶっこいているが、この船降りるまでもう半日なのじゃ。急がないと何もすることなく終わってしまうのじゃぞ」

アルが降りるまで半日無いという事を言ったので、俺は本當かどうか、次元魔法で今の時間を確認してみた。

次元魔法なのは、これが唯一の時を知ることが出來る魔法だから。

時計を見れば良いじゃ無いかと言われるかも知れないが、これはそもそも近くに時計が無いので無理だからだ。

「けどな、思い出づくりって何をするんだ?」

俺、思い出づくりなどあまりしたことがなかったから、分からん。

「船でしか出來ない事をするのが一番良いのじゃが……」

「無理だろ、それ。船限定のことなんて知らないぞ俺は」

「私もじゃ」

…………

「じゃあそんなアイデア出すなよ!!」

俺はアルに怒鳴った。

だって、自分で考えついていないことを言うから。

「そう、怒鳴るでおるな」

「怒鳴ってないし」

「何故にそこで意地を張っているのかは分からんのじゃが……まぁそれは良いとして、船で出來ないことが無いからってしないことが無いわけじゃあるまい」

そう言われればそうかもしれない。

別に船でしか出來ない事をしないといけないわけでは無いのだから。

「そこでの提案じゃが」

「なに?」

アルは溜めた。

言葉を溜めた。

そこまで凄い事なのだろうか。

ここまで溜めているんだからそうなのだろう。

「……寢るのはどうじゃ」

「まともな案出せやっ!!」

結局あの後は、いつものようにゴロゴロ過ごした。

アルとエルは、魔法でつくられたカードゲームを。

意外とこれが有名なのだと。

これは、乗組員さんの話を聞いてしった。

ヘーニルとロタンは何やら料理対決をしていた。

お題はサラギュリカというこの世界の料理対決の定番料理で勝負したらしい。

このサラギュリカは地球でいう炒飯的な料理なのだと。

ソラから聞いた。

で、判定はソラがくだしたのだが、二人ともまあまあな出來だったらしい。

だが、「その程度の料理ではキラリ様の口にさせれません」と言ったらしく、ヘーニルとロタン……俺達全員が、ソラの本気の料理を食べた。

ーー想。

言葉が出せなかった。

味すぎた。味すぎた! 味すぎた!!

俺は數秒したら言葉が出せたのだが、それは「はぁはぁはぁ」という息切れだった。

味すぎていつの間にか息を吸う事を忘れていたのだ。

怖い。

ソラは料理で人を殺せる。

それが俺の正直な想だった。

こんなのんびりしたじで俺達の豪華客船の旅は終わったのだった。

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