《神の加護を持つ死神》聖の護衛
朝早く。
聖を迎える為の時間に間に合う様に、いつもよりも一時間早く起きた。と言っても自分で起きた訳でもなく、ソラに起こしてもらった。
その時にソラには「エルとロタンはこんな早くだし、起こさなくて良いぞ」と言ってたのだが……何故か家を出ようとしている俺達の所にはエルとロタンが立っていた。
エルとロタンの事を考えて言ったのに。これでエルの長に何かあったらどうするつもりなのだろうか。
「早起きは長には良いですよ」とか言われそうだし、口には出さないが。
「キラリお兄ちゃん!」「ご主人様!」
二人が口を揃えて言う。
いや、何だろねー。
俺は行く前に説教でもされるのだろうか?
まぁ、エルとロタンに限ってそんなことはないのだろうけれども。
「なんで挨拶せずに行くのですぅーー!!」
「なんで挨拶せずに行くのだぁーー!!」
近所迷、ということにはここは宿屋の一番最上階であり防音対策も萬全なのでならないのだが、普通の家であれば確実に怒鳴られてしまうような聲でエルとロタンはんだ。
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確実にスキルで上乗せまでしてやがる。鼓が死ぬわ。
なんて、呑気な事を思う前に、しっかりと返事をしなければな。
「朝早くに起こしたら迷かなって……」
二人の事をしっかりと考えての決斷だからなーーそう言おうとしたのだが、二人の顔を見て言葉がにつっかえる様にして出てこなかった。
そんな顔するなよ。そう言いたいのだが、ここは言わない方が良いだろう。
二人が思う事を言わしてあげる方が、全然大切だ。
「そんな訳ないのですぅうう〜〜!!」
「そうだぁ! 儂等は何も言われずに行かれる方が嫌なのだ!!」
「すまん。二人の気持ちまで考えてなかった……」
そうだった。俺の勝手な都合だけで判斷していた。
もっと二人の事を考えていたら、最初から分かっていたことだ。
朝早くに起こしたら迷などエルとロタンには関係ない。……むしろ、何も言わずに行かれる方が二人にとっては迷なのだろう。
完全に俺が悪い。
「許すのですぅ〜〜!」
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「儂もだ。ご主人様に謝られては儂が悪い様にじるのだ」
「ははは、そうか」
本當になんとも言えない様な顔付きをロタンはしているので、逆に悪いという様な思いがにあるんだろう。ないが。
……もうそろそろ時間だな。
「じゃあエル、ロタン」
「なになのですぅ〜!」
「なんなのだ」
そう言いながら二人ともこちらを見てくれた。
「なんなのだ」とか言いながらしっかりと分かってはいるのだろう。
「俺の頼み絶対に達してくれよ。俺達もさっさと聖の護衛を終えて帰ってくるから。あとお土産も買ってきてやる。だからーー」
「ーー二人とも頼んだぞ!」
「ハイなのですぅううう〜〜〜!!」
「分かったのだぁ〜〜っ!!」
よし、じゃあもうあとは行くだけだ。
「じゃあ行ってくる!」「行ってくるのじゃ!」「行ってくる」「行ってきますね」
玄関で振り返って俺たちが言った。エルとロタンは、笑顔で、
「「行ってらっしゃい!!」」
そう、言ってくれた。
じゃあ行くか。聖の護衛とやらに。
◇◆◇◆◇◆
時間よりもし早くに冒険者ギルドの前に著いた。
宿から出てし経ってはいるが、言ってもまで朝方。太が昇ってきたぐらいの時間だ。
……そもそもあれって太なのだろうか、という様な疑問があるが、その答えを知ってしまっては確実にファンタジーが失われてしまう可能があるので、止めておくことにしよう。
まぁ、そんな朝方という事もあってか、あの毎日、人で賑わっているこの國がとても靜かで、誰もいなかった。いたとしても、鳥ぐらい。
そのおからか、冒険者ギルドにはいつもより早く著けた。
ギルド前にはギルマス、それに付嬢さんがいる。
……付嬢さんの立ち位置ってどこなんのだろうか。前々から気になってはいたのだが、一回も聞いた事がなかった。
ギルマスの部屋に普通に出りを許されている所や、他の付嬢さんの中でもあの人だけほぼギルマスと一緒にいる所を見る限り、結構な立ち位置だとは分かるんだが……。
まぁ、今はそんな事を気にしても仕方がないだろう。
それよりもだ。
今重要なのはあの異様漂う馬車の方だろう。確実に普通の者、ましてや貴族であってもあそこまでの高価な馬車は乗らないだろうという程の馬車がギルドの前に置いてある。
確実にあれが聖の乗る馬車という認識で大丈夫であろう。俺の考えでは、聖というぐらいなのだし俺達以外にも護衛の馬車が沢山置いてあると思っていたのだが、まさかの聖が乗るだろうという馬車一臺だけであった。
……そこまで俺達を信じていてくれているというのからか。もしくは、信用出來るぐらいの強さの護衛が他にいるのかだか……まぁ、これはほぼないんだろう。
聖は流奈に俺を指名しろと言われたのだし、力の保証ぐらいはしっかりとあいつもしてくれてるだろうからな。……最悪の場合は、流奈に文句を言っておこう。
ギルドの前ぐらいまで來て、俺達が乗ってきた馬車を止める。
一応の為にパペットでも作って、パペットが引いている様にでも見せようかなとかも考えたのだが、ソラの意見からいつも通りの無人の縦にした。
ソラ曰く、馬車に者が乗っていない事で俺達の凄さを表すらしい。
普通では者がいないのに馬車がく事はない。
だが、それは俺が住んでいた地球での常識だ。ここは異世界である。魔法やら異能力やら加護やらとなんでもありの世界なのである。
そしてこの世界の住人でもある聖達は、何かの魔法、もしくは何かの魔道かという風に考える。そしてそう考えると自然に俺達の事を力のある者という風に考えるのだそうだ。
魔法であれば結構な大きさのある馬車をかそうと思ったら大量の魔力がいる。もしかそうと思ったら俺なら普通にどこまででもいけるが、普通の魔法使いであれば、最低でも10人以上はいないとこの馬車はかないだろう。ただ、これはくだけである。どこかまで行こうとか思うと、大陸中の魔法使いを集めてなんとかというぐらいだろう。
それを俺達だけでかしていると思ってもらえたら、俺達の強さは一目瞭然であろう。
魔道と思われたとしても、それを制している俺達には相當の力があると思われるだろうし、全然オッケーである。
というのが、ソラの考えらしい。……ソラさんは天才なのだろうか。
そう思って言ってみたら、「ふふふ。キラリ様は大袈裟ですね」と言われてしまった。
……ソラが謙遜し過ぎな気もするんだけれども、それを言ったらまた何か言われそうだしという思いから、言わずにいたけれども、やっぱりソラは天才だろう。
これを俺に付けてくれた流奈には謝しないとな。
謝、謝。
……適當過ぎだろうって? あいつはこれでも喜んでくれるので全然大丈夫だ。
馬車から俺、アル、ヘーニル、最後にソラの順番で降りると、ギルマスがこちらに駆け足で近づいて來た。
その顔は、どこか焦っている顔だった。にしては、小聲で俺に聲を掛けてきた。
「おい! 遅いぞ、キラリ」
「いや、まだまだ時間には余裕があるだろうが」
「見て分かるだろ。聖様が時間よりも早く來たんだよ。……あのやろ、絶対にワザとだな」
ギルマス、んな意味でお怒りの様。
聖と々あったのか、ギルマスは真面目に怒っていた。いや、昔に何があったんだよ。
そうは思うが聞かないでおく。なんだか、ギルマスの話って長そうだしな。
「とりあえず準備はしっかりと出來てるよな」
「ああ。大丈夫だ。ソラがしっかりとやってくれた」
「……まぁ、それは良いが……とりあえず聖様に挨拶してこい。そんでもって早く行ってくれ」
「了解」
一、どこまで聖様を嫌っているのだろうか、このおっさんは。
俺達はとりあえず聖が乗る馬車に近付く。
その時に付嬢さんに「ご失禮のない様お願いしますね」とか言われた。……俺達が失禮な事でもするかと思っているかの様な深刻な顔付きだった所為か、何も言い返せなかった。
……決して、思い當たる節があったとかではない。決してだからな!
そして、馬車の前に著くと、どこから現れたのか分からないぐらいの大量の人數の武裝をしている人達が現れた。……まぁ、スキルでどこから現れたのかは分かるんだけどな。
その中でも、極め付き大層な武裝をしている人が馬車の扉を開けた。あれが、護衛隊長とかなのだろう。……後でも挨拶しておこうか。
中からは數人の侍じじょと思われしき人がでてき、その後を聖と思われる人が出て來た。
……びっくりするぞ。
聖とか言っていたし、ギルマスとも結構な認識がありそうということから、俺はギルマスと同じ様な歳の人だと思っていた。
……けど、実際はだいぶ違った。
歳はエルと同じくらいで背格好もほぼほぼ変わらない程で、クルクルとしたカールが掛かったピンクの髪を當たりまでばし、シスター服とでも言うのだろうか、それらしき白の服を著ている、が聖であった。
いや、もうお兄さんびっくり。
そして最近ロリ屬が高い事に驚いてるよ。會う人會う人がなんだけど。
……もうそろそろ、本當にロリコンとか言われそうだ。
……もう言われてるって言う意見はけれませんから。
その聖様が俺達が立つ前まで出て來た。
ここは、このパーティーを代表する者として、俺は一歩前に出て挨拶する。
「聖様。今回の旅を護衛させていただきます、橫井キラリです。3週間という短い付き合いですが、よろしくお願いいたします」
……これで大丈夫だよな?
無禮者っ! とか言われて即刻死刑はやだぞ。……まぁ、その場合は直ぐ様逃げるのだけれども。
『大丈夫だと思いますよ。キラリ様にしては意外とまともでしたし』
『そうじゃな。キラリしてはまともじゃ』
『意外だな。我はてっきり主人は敬語など使えないと思っておったのだが……し考えを見直さないとな』
『お前らの俺の評価は最悪か!! ……まぁ、大丈夫だったなら良いんだけど』
暫くぶりの敬語でもあるので、若干俺も不安ではあった。
まぁ、出來たし良いか。悩んでいても仕方がないし。
とりあえず完璧な俺の挨拶を聞き、聖は何故か俺を見つめていた。
……俺の顔にでも何か付いてるの? とか言ってみようかな。
『頼みますから、おやめください』とソラが言ってくるので、それはやめておこう。
何を思っていたのかは知らないが、ふふっ、という歳相當の可らしい聲を出すと、やっと聖が口を開いた。
「初代から聖を務めております、イリス・サーリア・アデルでございます。キラリ様、護衛の程よろしくお願いいたします。それと……ルナ様からお聞きしていた方の印象通りな方なんですね」
なんか、笑われてしまった。流奈の奴は俺の事をそういう風に言っていたのだろうか……。
というかーー
ーー初代から聖を務めてるってどういうこと?
どう見たってなんだけれども。
「私の事で何か疑問にでも思われましたか? ……確か妖族の方々が消えられる前から聖の役目は務めていますよ」
……まさかの聖までもがロリババアなのかよ!?
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