《神の加護を持つ死神》聖の護衛 6
ソラに叱られてから一時間も経たないに、馬車は港へと著いた。ここまで來るのにかなりの時間が掛かったなぁー。それで次は船とか思うと、超辛い。
どうせなら聖とか連れて、飛んで行きたい。……というか転移でぶっ飛ばしたい。もうそれなら一瞬で行けるからね。
それが出來たら楽なんだけどなぁー。
「駄目に決まってるだろ。主人も分かるだろ。もしも、それで聖に何かあったらどうするつもりなのだ」
「それもそうだけどさぁー……長くね? やっぱ」
「まぁ、それもそうじゃが……というか私もそれが出來たらしたい所なのじゃ」
「では一度聖様の所にでも渉をしてきましょうか?」
「いや、ソラが渉とか、怖いことになりそうで駄目だろ」
買いでの渉ならば確実に俺達のパーティーで任せるとしたらソラという風に一致はするだろう。
……だが。
買いに置いての事である。こういう渉の事ではない。
多分ではあるが、これはこれで皆一致するだろう。
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ソラがこういう場合での渉をするとか、もう本當に怖い。何をして渉するのかが全く分からないから。
ソラは俺達が、というか俺が最終的に良くなる方向に行ったらそれで良いと思っているような奴だ。
そんな奴に任せては、戻ってきた時には、向こうがこちらを見る目が変わったり、呼び方が変わったり、もしかしたらそれ以上のこともあるかも知れない。
まぁ、つまりはソラにだけはこういう場合の渉は絶対に任せられないという訳なのだ。
「むぅ。酷い扱いですね、キラリ様」
「相當なる評価だと思うんだけど」
「確かにキラリ様が良い様になる方にきはしますが」
「いや、すんのかよ!」
もう、自分でも認めちゃってるからな。
まぁ、俺が良くなる方向にかしてくれるのは良いんだけど……流石に限度はねぇ。
「聖様が馬車を下りられます。私達も下りましょう」
「話を逸らしたな」
「早く行かれないと、聖様に置いて行かれますよ」
「……まぁ、仕方ないか。じゃあ、俺達も行くか」
「そうじゃな。しゅっぱーつ! なのじゃ!」
「だな。……れっつごー! の方が良くないか?」
「しゅっぱーつじゃろ」
「れっつごーだ」
ううう〜〜!! という様に二人は見つめ合いながらバチバチという激しい音がする雷の様なものを醸し出す。
別にどっちでも良いだろとか言い出せない。言ったら、絶対に俺がとばっちりを食らうからな。
こういう時にでもエルかロタンがいれば楽なんだけどなぁ。
エルがどっちでも良いと言ったら。二人はそれで怒らずに認めるだろうし、ロタンが言ったら、そっちに矢先が向いてすぐに終わる。……ロタンの方だと、このしょうもない喧嘩が終わるというのとロタンが終わるという意味なのだが。
まぁ、どちらにしろ、二人がいてくれればこんなしょうもない喧嘩はすぐ終わったのだけどな。
……今出來ないことを嘆いても仕方ないか。
はぁー。面倒だなぁー。
「馬鹿二人ともさっさと行くぞ」
「なんじゃ、馬鹿とは! キラリの方こそ馬鹿じゃろ!」
「いくら主人と言えども、馬鹿発言はやめてくれ」
ほら、こうなった。
……ソラさんなんとかしてくれ。
「二方とも、急がなければ」
その一言だけ、ソラが言った。……すっげぇ笑顔で。
二人ともその瞬間に固まった。一瞬だけだけれども固まった。
そして俺が気付いた時には、馬車の外に二人とも、もう下りていた。どうやってそのスピードで行ったのかと疑いたくなる。
……ビビりすぎたろ、なんて言葉は言えないものの、それでも神かとは思う。
まぁ、俺もめっちゃビビってたけど。あんな笑顔見せられたらねぇー。
本気で怒っている時よりも、怒っているというじであった。……何言ってるのか理解されそうにもないが、本當にそうじたのだ。
多分、アルとヘーニルは共してくれると思う。
「早くするのじゃぞ、キラリ!」
「そうだ! 早く馬車を下りろ!」
まったく、調子のいい奴だ。
「じゃあ行きましょうか、キラリ様」
「は、はいっっ!」
俺も同じだったらしい。……あの笑顔で言われたら、素直に答えちゃうね!
馬車を下りると、鮮やかな青で海底まで見渡せる明さもある海の景が、そこには広がっていた。
周りには人が沢山いる。多分だが聖に対しての歓迎をする者と、聖が來るというから集まった者が大半だろう。
ここまで人が集まっている事などを思うと、それ程まで聖の影響力が高いという事が分かってくる。……俺のファンもしかしたらいねぇ〜かなぁ〜なんてのは思ってない。決して思ってはいない。
ちなみに橫には馬車がある。朝早くだったからか久しぶりに見た様にじる馬車だ。
そして、海の上には、船がある。あれが俺たちが乗る船なのだろう。特別デカイというわけではないが(この前乗った豪華客船と比べてだが)聖、それに俺たちが乗るにしてはデカすぎる思う。
こんな所でも聖の凄さがじられる。
「ご気分はどうですか、キラリ様?」
いつ現れたのか分からない、気品を発しているロリババア、もとい聖が俺の橫でそう言う。今馬車から出てきたにしてもどうやって一瞬で俺の橫まで移したのだろうか?
これだけの為にスキルとか魔法とか発していないと良いのだが。
「とても良い旅でしたので、良い気分です、聖様」
「そうでしたか。それと私のことはイリスと呼んでください」
「ご冗談を。それよりも聖様。私に引っ付くのを止めていただきたいのですが?」
いや、嬉しいよ?
ロリババアだろうがなんだろうが、超な聖が俺に引っ付いてきてくれてるんだから。むしろ、これで喜ばない男などいないだろう。
『それにしては、何故あんなキラリ様らしからぬ事を言ったのですか?』
『……分かってて言ってるだろう、お前。……いや、分かってんだろ、本當は』
『そうですね。な聖様が引っ付いていて、興しまくって下の方がげんーー』
『そこらへんでやめようかぁ! 言われてると恥ずかしくなって來るだろ!』
『認めている時點で、もう世間一般的には恥ずかしい人と同類ですけどね』
……地味に傷つく一言を言わないでほしい。
ソラさんは人を傷付けるのが得意な様だ。
『…………』
さいですか。
まぁ、そんなソラは置いといて、今は聖の方を気にするのが最優先だろう。
というか、答えるの遅いなぁ、おい。
「……やっぱり、私では、いや、ですか?」
「そう言うわけじゃないですけど……」
やりづらい。俺のパーティーメンバーとかもそうだけど、なんでというものはこう言う時に上目遣いで言うのだろうか。
もう超斷りにくいんだけど。だって、可いから言いにくいもん。これで斷ってショックけられて悲しまれたら、すっげぇむずい気持ちになる。
……まぁ、やめてしいと言うわけではないけど。やっぱ可い顔は見れた方が嬉しいしな!
『キモっ』
『黙ってろや、くそアル!』
一言でキモっと言われるのが一番ショックだわ!
『じゃあ次はもっと長い文章で言うのじゃ!』
『そういう反省はしてしくねぇわ! というか止めろや!』
短い文章が一番ショックけるからって、長い文章にすれば良いってもんじゃない。というか、どんな稚な発想だ。見た目通りの頭脳なんかよ!
……見た目通りの頭脳だったわ。
猛獣の様な目で見て來るアル。
……はぁ、もう。
あれを見習ってみろ。聖は超キラキラした目をしてるぞ。……キラキラした目?
「で、では! 引っ付いていてもよろしいと言うわけですね!」
どの発言で嬉しく思ったのか輝かしい目を向ける聖は、さっきよりも更に強い力で俺の腕をぎゅぅ〜っとしてくる。ましてや、の間に挾む様に。
その富なでされては俺が興でけないと言う事を察してしいのだが……この人には無理だろう。言っても無駄に気がする。
「あの〜、聖様? マジで止めていただいてしいのですが。周りをし考えていただけると……」
「へ?」
……無自覚でやっていた様だ。
護衛の者達からは「貴様、何してるんだ!」という聲を上げられ、向こうの歓迎してくれていた人たちも「あ、あの男は何をしてるんだ!」という言葉を言われ、野次馬どもからは「スクープかぁっ!?」などとばれ、最悪なことにアル達からは無表で見られている。
……あぁー、こりゃダメだ。完全に怒ってやがる。
ま、まあ、ここまで気付いてくれれば流石の聖でも離してくれるだろう。その後になんとか説得すれば良い事だ。
「〜〜〜〜〜」
どんどん聖の顔が赤面へと近づいていく。
……ふぅ〜。これでなんとかなるだろ。
ーーと思った矢先
聖は恥ずかしさで我慢できなくなったのか、俺に抱きつき顔を隠した。
……………………。
……………………。
……………………終わった。
そうじるしかなかった。
俺の隣には、もう我慢できなくなったのか聖とは違う意味で赤面されている方々がいらっしゃる。
……最悪だぁー。この聖めが!
そう思っても言葉には出來ないので、せめてもの思いで抱きついている聖を見下ろした。
ーーすると、聖は。
作戦通り、かと言いたげな様子で「ふふ」と小さく笑った。その顔はまるで小悪魔の様。
……あぁー、ギルマスが嫌っていた意味が分かったかもしれん。
これ無自覚とかなんでもないわ。
確実に分かってやってやがった。
「バレました?」
聖はそう俺にだけ聞こえる聲で言った。
……し思う。
俺は聖こいつが嫌いだわ。
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