《神の加護を持つ死神》聖の護衛 10
キラリの言葉を聞き、部屋が靜まり返った。
だが、數秒後。この空気を壊す様に護衛隊長が笑い聲をあげた。
「はは、あっはっははは!! 誰がクズだ。それに俺たちを倒すだぁ? ただの護衛の依頼をけた者がかぁ?」
「あ? そうに決まってるだろ? もしかして言葉理解できないのか?」
「ぐぐぅぅ……貴様ぁあ!!」
そう護衛隊長はキラリに向けてんだ。
だが、何故キラリはばれたかを分かっていない。……そもそも、あの護衛隊長に向けての言葉は揶揄いなどではなかった。いたって真面目だったのだ。
キラリは超真面目にあの言葉を言っていたのだ。
この場にアル達がいたら「またやってる」とでも思われただろう。
だが、そんな事を知らない護衛隊長たちはどんどん怒りをわにしていく。聖なんて護衛隊長がムキになって怒っているのを見て、聞こえないぐらいの聲でくすくすと笑っている。
まぁ、それはキラリには聞こえているわけだが。
「お前達、あの小僧をーー殺せ!」
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その言葉とともに、護衛を任されていた者達は腰に掛けている剣やら槍やらの武を手に取る。それをキラリに向ける。
だが、キラリはそんなは気にしていなかった。見ているのは、護衛隊長だけである。いや、護衛隊長の事を視ていた・・・・。
キラリが行なったのは【鑑定】であった。その結果にキラリは眉間に皺を寄せる。
護衛隊長は朝じた力とは、全くもって違う力を持っていた様にじたからした事ではあったが、それは間違えではなかった。
護衛隊長の能力は……いやステータスは、初めて會った時よりも10倍以上に膨れ上がっていたのだ。
キラリはステータスを見て、それ以外にもじた事が二つあった。
ひとつは魔人との結託者という稱號である。
ソラに調べてもらった所、人間族が魔人族と手を組んだ時に出てくる稱號なのだそうだ。そしてこの稱號を習得した時、永遠に稱號の欄からこの稱號を消せないという能力があるそうだ。その所為で、稱號の欄にこれがあるらしい。
もうひとつはステータスに記されている《魔王の加護(仮)》と書いてある部分である。
さらに【鑑定】をして分かったかが、魔王本人から付けられたものではないから(仮)というのが記されているらしい。
ただ、魔王本人から付けられたでないとはせよ、能力は劣る訳ではないようなのだ。なので、通常の《魔王の加護》と能力的にはなんら変わりがないという事になる。
その加護によって能力のそこ上げがさらているという事が考えられる。
つまりは、この護衛隊長は魔人族と手を組み、能力のそこ上げをして聖を襲い、何かを奪おうとしていた訳なのである……とやっとキラリは気づいた。
「あっ、そう言えば」
キラリは今思い出したかの様に、向かってきている護衛たちに向かって言う。
「俺にはそんな攻撃効かないぞ?」
その言葉と共に、振り下ろされた武とキラリの間に、目でギリギリ認識出來るぐらいの明な結界が現れた。
ーーダメージ軽減攻撃
キラリがアルのを見て取得したスキルの効果である。レベルが最高値まで上昇しているこのスキルであれば、そんな武の攻撃など効く訳ない。
そしてもうひとつの効果である攻撃が、攻撃を仕掛けてきた護衛たち全員に當たる。
全員がハリ◯ッドの映畫並みに超アクロバティックなじで吹き飛んでいった。壁に辺り、の中の臓がどこか逝ったのだろう。口から大量のが出ている。
ーー々やり過ぎたかもしれない
キラリは頬に冷や汗を流しながら思った。スキルを発するにつれて、手加減のスキルも発はしていたのだ。
しかし、手加減と言えど、キラリの中のスキルだ。
並みの手加減のスキルと比べることは出來ない。本當にギッリギリの場所に止める事しか出來ないのだ。
こう言う場合の対人戦では全くもって向いていないスキルだろう。
「貴様ッ!! 何をしたっ!」
護衛隊長がキラリに向かってそんな大聲を出す。キラリは「あー、うるせ」と言いながら、耳を塞ぐ。
その態度に更に怒りを覚えたのか、護衛隊長は腰から剣を抜いた。
「何? やっとお前のお出ましか?」
「あぁ。テメェをこの手でぶった斬ってやるッ!!」
そう言いながら、護衛隊長はキラリに向かって剣を振ってきた。
ーー護衛隊長と言う名も伊達ではない
キラリはそう評価した。何かの流派という訳ではないだろうが、研ぎ澄まされた剣をしている。怒りをわにしてはいるが、意外と冷靜さを保っている様だった。
(銃で撃っちゃって良いかな?)
などという事をキラリはし考えたが、やっぱり剣相手には剣で相手してやろうと思い、腰から神度剣を引き抜く。
技……というよりもただ抜刀しただけ。
だが、その抜刀の威力だけで向かいくる護衛隊長を吹き飛ばした。
護衛隊長のステータスは10倍以上に膨らんでいる。だが、そんなのは圧倒的なるステータスの差の前には敵わない。
しかし、それでも護衛隊長は怯まずに攻めてきた。
魔力がいた、そうキラリは知した。護衛隊長は剣で攻撃をしようとしながら、魔法を放とうとしているという事が分かれば、対処など簡単である。
まぁ、キラリの考えの中だけであるが。
ーー魔法には魔法を放って止めれば良い
そんな馬鹿げた答えを出す。
護衛隊長が攻撃してくる剣を神度剣で防ぐと、一瞬にして魔力を足元に集中させる。
そして、護衛隊長が剣を持っていない片手に魔力を集中させると、火屬魔法の魔法を放った。それと同時にキラリも魔法を発した。
護衛隊長が放った火屬魔法と同じ屬の火屬魔法を。
それも同じ技を、何倍もの威力で。
「うわァああああっっっっ!!!」
そんな雄びとも言える聲を護衛隊長はあげた。どうやらキラリの火屬魔法の魔法が護衛隊長の魔法を飲み込み、左側腹部にった様だ。
護衛隊長の左側腹部はキラリのとてつもない威力も持った魔法により燃え、そして消えた。魔法が當たった部分が護衛隊長のからごっそりと無くなっている。
だが、臓が出てきていない。地面がの海の様になっているのを考えると、はさっきまでは出ていたのだろう。だが、今は出ていない。
完璧に止まっているのだ。
キラリ、それに聖も思った。
……彼はもう人間ではないと。
「はは。はははははぁあああああ!!!」
そんな乾いた聲を護衛隊長は上げる。
聖はその景を見て聲ともなっていない聲をらす。キラリでさえ可笑しいとじる。
それもそうだ。
護衛隊長があげた乾いた聲と同時に、どんどんと護衛隊長の傷は治っていった。
「……あー、こりゃ面倒なパターンだ」
護衛隊長のステータスはさっきの10倍。いや、それ以上。もしかすると桁さえ違うかもしれないぐらいまでに上がっていたのだ。
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