《神の加護を持つ死神》聖と妖族 5
ふかふかで一人で寢るには充分過ぎるほどの大きさを持つ二つのベットの上に、アルとヘーニル、そしてイリスが乗っている。
向かいに置いてある椅子にはキラリとソラが。
キラリの部屋における場の空気は迫した様子であった。
……し違う迫なのだが。
「……引くぞ?」
「こいなのじゃ!」
「おりゃぁ! ……よっしゃぁー! 一番は俺が上がりぃ!」
「ず、ずるいのじゃ! 不正なのじゃ!」
「いや、いくら何でもそれは駄目だぞ、アル」
「そうですね、アル様。勝負というのは正々堂々とやってこその勝負ですよ」
「俺の脳にアクセスして人の手札見たのは誰でしたっけ?」
そんな會話が行われていた。
……言って仕舞えば、トランプをしていたわけである。
ただ。
この流れには一人付いて行けてない方がいらっしゃったが。
「……あの……話し合いをされるのでは、無かったのですか?」
イリスらしからぬ、おどおどとした聲を口に出した。
それも聞いても意味が全くない方に。
「さっきので終わったのじゃ。ほら、次はイリスの番じゃよ」
「あっ、そうですね……って、さっきので終わりなんですか!?」
「そうじゃよ」
アルは何の躊躇いもなく、そうイリスに告げる。
イリスは未だに頭が混しているようで、捨てることが出來るのに、そのまま捨てカードを手札に加えてしまっている。
その様子からどれだけイリスが混しているのかが見て取れるが、その様子にちょっぴりと可さをじてしまったキラリはしっかりと説明するのをやめた。
『最初からする気は無かったですよね?』
『あった、あった。超あったから、』
ソラさんにそんな事を言われているので、どんな理由でやめたのかは定かではない。
……面倒くさくてやめたや最初からそんな気持ちがなかった。
というのが現在の最有力候補である。
その他の方々も混を解かないのは、可さをじているからなのだろう。
……いや、もしかしたら全員キラリと同じ理由かもしれないが。
そうしてイリスが混しているのを放っておき、キラリ達はトランプを続ける。
キラリが上がってから數分後にはソラがあがった。
アルと良い勝負をしていて、アルがどう見ても先に上がるという時、右のカードを取れば勝ちが決まったのに、何故か左の方のカードを取ったのだ。
本人曰く、自分では右のカードを取った気がしていたらしい。
それが勝ちたいが為に行った、誰かさんの最上級のスキルだとは、キラリは絶対に思わないことにしておいた。
知られたら……されてしまうから。
ーー気付いてますよ?
そんな聲が聞こえた気がしたが、無視をするキラリ。
というか、聞こえたなんていう認識をしてしまったら恐怖で疼いてしまうからだけど。
そしてそれから數分も経たないに、アルが上がった。
アルが上がった事で、殘りはヘーニルとイリスに。
と言っても、神のステータスは異常である。
神と言って仕舞えば普通の人が殘った場合、勝てるのはどう考えても神なのである。
そして、それは覆される事なく、すぐさまヘーニルがイリスに打ち勝った。
という事で、ヘーニルが四番、イリスが五番という順番になった。
神に打ち勝てるはずもないので、イリスが負けたのは可笑しくない事であるのだが、それでもイリスは結構悔しがっていた。
だが、キラリ達がめたりしたりなどしたおからか、悔しがる様子はなくなり、次第にイリスは笑顔になった。
「だいぶ疲れが取れただろ?」
キラリは不意を突くようにイリスに言う。
あのトランプゲームや今までのくだりは全て、キラリが考えた事で、あの事件の後からずっと肩に力がっていたイリスを、どうにか癒したあげようと思ってした事なのだ。
だから、大事な話し合いも早急に終え、トランプゲームを始めたのだ。
その意図に気付いたアル達もしっかりと乗ってくれたから、この作戦は功したと言えよう。
なので、これは全員でイリスの張を取ろうとしてした事なのだ。
それが分かり、イリスは「えっ?」という言葉を出したげな表から、らかい表へと変化した。
「はい! お様で!」
「そうか。なら良かった」
キラリは、ほっと息を吐くように言った。
あまりこういう事は慣れていなく、キラリは「これで大丈夫なのかな?」という心配がしあったのだ。
やった経験と言えば、流奈をめる時ぐらいで、流奈の場合はゲーセンに連れて行って、一緒に遊んでいれば自然と普段の様子に戻って行ったのだ。
その経験からこれを計畫したのだが、役に立ったようで良かったと、キラリは思う。
「キラリ様」
ふとソラがキラリの名を呼んだ。
キラリはソラが座っている隣の椅子の方向を見る。
「もう直ぐ著きますよ」
「そうか」
短い言葉でだがキラリは答えた。
「じゃあ、そろそろ準備を始めるか」
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