《銀狼転生記~助けたと異世界放浪~》011 ~俺、試練をけます~
視線は目の前の金狼に釘付けだった。
え、狼? なんで? どうして?
今までゴブリンしかエンカウントしなかったのにボスでいきなり狼?
そんな俺の疑問など気づいていないかのように狼は語りかける。
『ふん、今更驚きおって。サハラ様から試練のことは聞いておろう。』
は? 今とんでもないこと言ったよ。 この狼。
サハラ? 試練?
なんのこと?
『ん? 聞いておらぬのか? まああの方のことだ、私から説明せよ。とのことなのだろう。よかろう。心して聞け、犬』
……なんか初対面なのにめっちゃ見下されてるんだけど。
まあ犬なんだけどさ。
狼さん。
『貴様には、サハラ様から転生の犠を施してもらった際、3つの試練が與えられた。
第1の試練はここまでたどり著くこと。
第2の試練は我の不意打ちを防ぐ、もしくは躱すこと。』
あ、不意打ちって自覚あったんだ、あれ。
『そして第3の試練は我の依り代と命をかけて勝負し、見事勝利することだ。』
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……は? え???? この狼と勝負?
無理だって! さっき、さり気なく【鑑定Ⅲ】使ったけど”測定不能”って出たもん、こいつ。
ぜってー強えよ!
『それは我が神格化を果たしておるからだ。【鑑定】は使えん。それに心配せずとも貴様に勝ち目などない。まったく、なぜサハラ様はこのような輩を……』
最後のほうは雑念がって聞き取れなかったが、そうか。
神に【鑑定】はつかえねえのか。 殘念だ。
『まあいい、さっさと試練を始めよう。我が依り代にれば【鑑定】も使えるであろう。まあしたところで意味などないが』
そういって金の狼の姿が小さくなり、1人の男の姿へと変わる。
そんなに挑発してもいいのかよ。
しっかり対策組んで下馬評ひっくり返してやる。
そして俺は理不盡・・・を見た。
*****************************
名前 アーノルド・ヴィンヘルム(エルビス)
種族 人間(古狼:金)*神格化解除
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裝備 絹のローブ
狀態 呪い♡ 危険度:測定不能
魔眼 領域  *使用中
LV MAX
HP 600/600(制限)
MP 600/600(制限)
攻撃力:1000(制限)
防力:1000(制限)
抵抗力:1000(制限)
俊敏:1000(制限)
魔法力:1000(制限)
運 :-1050
:ユニークスキル:(制限)
【神獣化★】【金電★】【帯電★】【鳴神ナルカミ★】
【爪技★】
:パッシブスキル:(制限)
【全狀態異常無効化】【魔力知】【全攻撃神汚染】
【邪神の眷屬】
:ノーマルスキル:(制限)
【天アマノ雷イカズチ》★】【神楽ミカグラ★】【咆哮】
【瞬歩シュンポ★】【威圧★】【眷屬召喚★】
:稱號:
〖神獣〗〖魔獣〗〖転移者〗〖昇華せし者〗〖試練の主〗
〖元宗教國家SSランク冒険者〗〖邪神の従者〗
〖殺戮者〗〖デーモンキラー〗〖エンジェルキラー〗
〖ドラゴンキラー〗〖妻子持ち〗etc…
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な……んだよこれ…。
ステータス差ありすぎだろ。
しかもかなり制限(呪い♡)が掛かってるのにも関わらずだ。
さっさと逃げ出したい気分だが、奴が言うにはこれはサハラから與えられた試練。
つまり、この場から逃げればダンジョンから出れないどころか、あいつに負け犬や弱蟲チキンの烙印を押されて、笑いにされる未來が見える。
それだけは斷じて嫌だ。
やるしかねえか。 覚悟を決めよう。
柊を怒らせた時よりはるかにましだ。
多分。
はは、足が武者震いしてやがる。
落ち著け。
先ずは報分析だ。
奴の攻撃をまともに食らえばそれだけでアウト──ゲームオーバーだ。
最も気をつけるべきなのは【鳴神】。
たぶんさっきの先制攻撃だ。
それと移用スキルと思われる【瞬歩】。
ソウルソサエティに住んでる某死神さん達みたいな技だろうな。(魔眼も気になる)
『ふむ。その目…。やる気か、犬。命知らずなことよ。だが安心しろ。我はここから30秒間この場をかん。好きに攻撃するがいい。』
ちっ。
相変わらず見下しやがって。
だが言ったな? これなら勝てるかもしれん。
目にもの見せくれよう。
『では、試練を始める。かかって……っ!!』
開始の合図と共に(若干フライング)、無數の刃がエルビスへと殺到する。
これで反撃の暇なく押し切ってやる。
こっちの攻撃は【武創造Ⅲ】の複製でストック無限! 永遠に打ち出せる。
その筈だった……。
『ふん、つまらん。なんだこの攻撃は、珍しいことには珍しいが、いかんせん威力が低い。避けるまでもない。』
無傷だと!! クソッ!
ありえねえ!! あの數を裁くだって!? どんな化けなんだよ!
いや、違う。確か奴のスキルに……。
ドシュン!
試しに1本だけエルビスへと放つ
エルビスは避けようともしない。放たれた刃がエルビスに刺さったと思った瞬間。
バチィィィ!!
火花が散り、弾かれた。
やっぱり、【帯電★】か。
エルビスはとても涼しげな顔だ。
『ほう、気づいたか。犬にしてはいい目をしている。そうだ。我のは【帯電】している。魔法や普通の刃を弾くのは勿論、我にれるだけでダメージを被こうむる』
マジか。
チートじゃねーか。
これで俺の必殺技、及び遠距離攻撃は封印された。
いや、牽制や電撃の迎撃には使えるか?
『次はこちらの番だ【鳴神】』
バチィバチィバチチィ!
來た! やっぱりさっきの攻撃が【鳴神】だったか。
向かってくる電撃の束、心なしかさっきより多い!?
あせるな!!
すぐさま【空間魔法】を展開。
電撃はさっきと同様、虛空に吸い込まれる。
『ふむ。不思議な防魔法だな。初めて見る。ならこれはどうだ?【天の雷】』
ガラピシャーン!!
突如、上空から高度の雷が落ちる。
やっべ!! あれは収まりきらねえ!
迫る雷を橫っ飛びで回避。
ドシャーン!!!!
おわぁ!! ぎりぎりで避けることができたが、余波で吹っ飛ばされる。
痛っつ~、HPは!?
HP 540/600
ゲッ!? 余波でこの威力かよ、60も削られてんぞ!?
だがこれで分かった。
奴に正攻法で挑んでも勝ち目などない。
ここは奴に攻撃しながら、いったん逃げ──
『させると思うか?』
【魔力知】【危険察知】共に反応、奴の気配が近く…いや、俺の背後…!!
──【瞬歩】か!!?
脊髄反でを反らし、前進。 【三角飛びⅡ】を発。
間一髪、奴の貫手が俺の脇腹を抉る。
「ガウッ!!」
痛え……。
だが止まれば殺られる。
既に奴が俺に與えた攻撃時間フリータイムは過ぎてる。
これ以上攻撃を待ってくれる道理はない。
ドシュドシュン! ドシュシュシュシュシュ!!
【三角飛びⅢ】で距離をとりながら奴へ刃を放って牽制。
バチィバチィバチィ!!
それに対しエルビスは【鳴神】で応戦。
しかもさっきより更に數が多い。
野郎! まだ手ぇ抜いてやがったのか!!
俺とエルビスの間で繰り広げられる刃と雷撃の押収。
手數は奴が上、威力も奴が上。
はは。 詰んだか? これ?
しだいに展開していた格納庫シールドにも処理しきれなかった雷撃が俺の腹をるようになる。
バチッ!!
HP 380/600
やばい
バチィ!!
HP 280/600
やばい!
バチバチィイ!!
HP 180/600
マジヤバイ!!!
急遽、短剣の矛先を迫る雷撃へと変更し、迎撃する。
ギャガン! ガアン!!
火花が散る。
『しぶといぞ。駄犬。そろそろ諦めろ』
を表に出さず、冷酷な表を顔に浮かべて「死ね」と言い放つエルビス。
諦められっかよ!
生きてやる!
ここまで來たんだ! 魔神にでもなんでもなってやる!
だから、こんなとこで死んでたまるか!!
天哉に會いてぇ!
菜に會いてぇ!
柊に會いてぇ!!
っ!!
まだ……サハラあいつに文句言ってねぇええ!!
「ガォオオオオオオオオオオオ!!!!」
(死んでタマルカーーーーーー!!!!)
【吠える】
心の底から【吠える】!
その時だった。
《條件の達を確認 【魂のび】を取得》
《條件の達を確認 【怒る】が【覚醒】に変質します》
《スキルによる練度上昇を確認 【空間魔法★】になりました》
《【空間魔法★】から【次元魔法】が派生】
《スキルによる練度上昇を確認 【武創造★】になりました》
《【武創造★】から【スキル創造】が派生》
天の救いとはこのことだろう。
もしくは”神は存在する”か。
どちらでもいい、今だけは邪神に謝しといてやる。
これなら……奴に勝てる!
俺は振り向き様にエルビスの足元に向かって、今まで格納庫に溜めに溜めた雷撃を放つ。
目眩ましと更なる牽制だ。
『くっ! 小賢しい!!』
よし、攻撃がやんだ!
これが最初で最後のチャンス!
この目眩ましはもう使えねぇ!!
──【次元魔法】〈転移《テレポート〉!!
俺は急いで新スキル【次元魔法】の1つを使用する。
俺の姿が一瞬で掻き消え、部屋のり口、俺がエルビスに不意打ちをけた所へ〈転移〉する。
視界の端には心底驚いた表のエルビスが。
初めて表崩しやがったな。
『な! 【転移魔法】だと!? そんな高度な魔法を犬風が!?』
このまま驚いた奴の顔を眺めていたいが、そうもいかねえ。
チャンスは今しかねぇんだ。
俺は【武創造★】の解放された能力を使った短剣を複製し、必殺技と同じ要領で奴に放った。
『はっ、馬鹿め!! またその技か! 効かぬと言ったであろう。せっかくのチャンスを無駄にしよって!』
と、こちらを嘲笑するエルビスへ、天井の一部を覆うほどの短剣の雨が降り注ぎ……。
ドッガァァァアアアアアアアン!!!!
発・・した。
『ガハッ!! 破屬の短剣だと!? そんなものが!! バカナッ!!』
よろめくエルビス。
口からを吐きながらわめいている。
そう、はなから俺は破屬なんてとんでもな効果の短剣なんて持っちゃいなかった。
そこで、俺は【武創造★】の解放された力”屬付與”を使ってただの短剣に破屬を付與したモノを作り、複製したわけだ。
『貴ッ様ァアア!! 我に傷を付けるとは、決して許さぬぞ!!』
発が収まり、俺の視界に映ったエルビスはボロボロで、その顔には”怒り”のが見て取れた。
『死ねーーーーーー!!!!! この駄犬がぁああああ!!!』
怒りに我を忘れたエルビスは、一直線に俺へ向かってくる。
その速さ、俊敏:1000はだてじゃなかった……が。
俺の勝ちだ。
奴と俺の距離が10mになった時、突如奴の足元で発が発生。が空中へと吹き飛ばされる。
『ゴハァ!! !?』
そして……。
宙を舞うエルビスを円狀に取り囲む無數の短剣。
そのすべての矛先が、中心にいるエルビスへと向けられた。
これで仕舞いだ!!
『──フッ。合格だ……』
ゴガァアアアアアアアン!!!!!!
そして…エルビスの合格通知と大音量の音を最後に、俺の試練は終了したのだった。
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