《銀狼転生記~助けたと異世界放浪~》038 ~もろもろの確認~

「え、予定変更?」

暫くして、朝飯の匂いに釣られたのか、サハラが起きた。

なので、俺は彼に予定変更の節を伝えた。

フィリは俺の隣でを焼いてくれている。

「ああ、フィリは賛だとさ、お前はどうだ?」

サハラは、たき火で焼いたを食べる手を止めて、考え込む。

そして

「うん。私も賛でいいよ~。新人君の戦力アップは大事だしね。それに、行こうと思えば直ぐに行けるんでしょ? マッチング…だっけ?」

「マッピングな」

マッピング、ゲームなんかでよく、ダンジョンなんかでひたすらに歩き回ってマップを埋める行為をこう呼ぶが、俺が行おこなってる行為はそれに酷似している。

【次元魔法】の〈門ゲート〉で行ける場所は、自分が訪れたことのある場所だけだという制限があった。

そして、つい最近になって分が、”自分”として判斷されることに気が付いた。

つまり、あらかじめ分を放って、様々な土地へ向かわせておけば、こうやって一つの場所に留まりながら、〈門〉によって移可能な場所が増えるって事だ。

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座標登録ともいえるな。

考えが天才過ぎて、自分が怖い。

「ところでさ、おにーさん。すごーく気になることがあるんだけど…」

「ん? 何だよ」

訝しげな目で俺のを見つめるサハラ。

「その、服(?)は何なのさ?」

「あ、これか?」

仮にも今の俺の姿は人間。

サハラに別について問いただしたところ、どうやら”無”だったことが発覚。

サハラ曰く、「おにーさんは別を超越した存在なんだよ!」だそうだ。

…俺としては別がじゃなかっただけ、セーフゾーンだ。

納得はしてねぇし、複雑な心境だが。

で、生と言ったモノはないが、正直達の前で全を曬し続けるのは、教育上よろしくないし、俺も恥ずかしい。

そこで、俺は今、服を著ている。

その名も、ベアーコート!!

…うん。

正直に言おう、これはフィリのレベルアップのために犠牲になったクマサンの皮を加工したモノだ。

因みに、俺達が今食べている朝飯も、クマサンのだ。

このがまた、すっげーうまいんだよ。

もう、口に運ぶが止まらな──コホンッ。

と、とにかく、捨て子時代の経験から、の皮で服を作るなんてことは俺にとって朝飯前だった。

頭と腕、足の腱けんを切って、皮をはがし、湖で洗ってを落とす。

フィリの魔法で滅菌と乾燥の行程は行えたし、サイズが大きかったので、全を包めるようにコートにした。

所々、きのに邪魔なところは細かく加工してあるし、コートの側には短剣なんかをしまうポケットも複數付いてる。

余った皮は、格納庫へ戻した。

で、コートを著用するとあら不思議、何故かクマサンの皮コートは、質な銀の皮コートに早変わり。

その変化に驚きつつ、鑑定してみればどうやら俺の加護が反映されたせいだと判明。

**********************

銀熊の外套(加護付き) A

スキルスロット⚫

***********************

種族名まで変えちまった。

…クマサンは生まれ変わったんだ。

そうだ、事はポジティブ(?)にいこう!

取り合えず、サハラへ服のこと、クマサンの事を伝え、ついでに質問をぶつけてみる。

「スキルスロットって何だ?」

三つまでセット出來るじだが、セットの仕方もわからねえし、こう言うのは神様に聞くのが一番だと判斷したが、帰ってきたのは意外な返事だった。

「スキルスロット? んーと…わっかんない!」

「…は?」

何でだよ。

この世界作ったのお前じゃん。

そこら辺のシステムどうなってんだよ。

神のお前が知らなかったら誰が知ってんだ。

「えっとね。私が知ってるこの世界の報はもう何百年も前の報で、この前おにーさんに教えた報も間違ってる可能が高いんだよね。で、世界に干渉しようとしても、何か変な力が働いてて、弾かれちゃうんだよね。よって、私が知り得る報の中に、”スキルスロット”なるモノは存在しておりません!!」

と、罰の悪そうな顔をしてサハラが言う。

…お前それマジか。

神様の干渉を弾く力って何だよ。

かなり気になるけど、え、じゃあこいつ何が出來るんだ?

「え、じゃあお前、何が出來るんだよ?」

「えと、剣になれます!!」

そう言って、宙で一回転。

ポンッと小気味良い音がし、表れたのは一振りの太刀──ってじゃねえか。

お前がコッチに顕界できてるのは刀を拠り所にしてたからか。

てか、武には困ってねえ。

「……それだけ?」

「う、うん。これだけ…です」

まあ、要するに今のサハラは…。

「役立たずって事か」

「んな! き、気にしてたのに、はっきり言っちゃうなんて酷いよおにーさん!! わーん!!」

人型に戻ったサハラは、その場に泣き崩れてしまった。

「お、おい! 誰も攻めてるわけじゃねえよ! 仕方ねえもんは仕方ねえって、だから気にすんな!」

「グスッ、本當?」

「ああ!」

自分で役立たずって言っといてなんだが、サハラはこれでも神だ。

ステータスは相當高いだろうし、死ぬこともない。

それに、フィリとはいい友達になってくれそうだしな。

「さてと、そろそろ行くか。フィリ、準備はいいか?」

「ん。ちょっと待って」

フィリは、【銀紋】から數本の短剣を取り出す。

それを、のあちこちに仕込みはじめる。

この短剣は俺がフィリのために作した武で、銘をという。

フィリでも扱えるように、刀は極限まで軽くしてある。

それでいて、切れ味は素晴らしいものになっている。

そして、進化の影響か、付與可能な屬に幻なるものがあったので付與しておいた。

多分、斬りつけた相手を軽い目眩狀態にするとかそんな効果だと思う。

とにかく、実戦あるのみだな。

「ん。準備できた。いつでも行ける」

フィリの表は読み取りにくいが、なんとなく、ウキウキしているのが伝わってくる。

早く自分の力を確かめたくて仕方無いみたいだ。

「よし、じゃあ行くぞ!」

たき火を消してから、俺達は森の奧の方へと進んでいった。

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