《「最強」に育てられたせいで、勇者より強くなってしまいました。》第二百三話
翌日、オーリとネルが拠點に來たタイミングで、ヴォルムたちは初めて四人揃ってのミーティングを行うことになった。ここへ來る二人が何を思っているのかは知らないが、なくともリフィルは張しているようで落ち著かない様子だった。
「それなりに有名な狩人をったつもりだったんだが、二人とも知らないのか?」
「はい……あまり人に関する報は集めていなかったもので……」
初めて會う人間がいきなり仲間だという狀況がまだ飲み込めていないらしく、それで張しているとのこと。それを紛らわせないかと二人の名前を先に教えたのだが、リフィルは知らなかったようだ。
ネルは分かりやすく人気のある狩人だったし、戦闘能力についても卓越したセンスがあると評価されていた。実績こそ目立ったものはないが、毎度パーティを変えても問題なく立ち回れて、都度果を出すというのは簡単なことではない。ヴォルムが聲をかけたのもそういった狩人間での噂みたいなものがあったからだ。
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一方のオーリはネルとは別のベクトルで有名で、絶対にソロでしか活しない変な奴がいると噂になっていた。パーティを組まないせいで能力面についての報はほぼないに等しかったが、実績をみるにそれなりの実力があることは明白。ソロなのに失敗しない凄い狩人として多くの人から名前だけは知られていた。
ちなみに、調べる中で知ったことだが、ヴォルムたちも期待の新人として噂されていた。この町に來てからあまり時間が経っていないのにもかかわらず多くの仕事をこなし、更にその全てを功させているからだ。今ではそれなりに難しい仕事も斡旋してもらえるようになったし、いろんな狩人と組んで仕事をしたおかげで顔も広くなってきた。だから報収集を楽にできた側面もあるのだが、リフィルはそういった話を聞かないのだろうか。それとも、興味がないのだろうか。
「ま、いずれにしてもクセはあるが悪い奴らじゃなさそうだから、そんなに心配しなくて良いんじゃないか?」
「ヴォルムさんがそう言うなら問題はないんだろうって、頭ではわかってるはずなんですけどね……心がどうにもついてこないんです。今までずっと二人でやってきたこともあって」
リフィルはヴォルムと二人でやってきたことにしこだわりがあるらしい。ヴォルムとしてはそう言ってくれるのは嬉しいことではあったが、しかし、この町に來た目的には最初から仲間探しがっていた。町にる前の計畫の段階で強く反対されていたら考え直したかもしれないが、もう引き返せないところまで來てしまっている。二人もって、正式に加させると決まった後だから、今更なかったことにはできない。
どうにか上手くやっていくしかない。そのために必要ならば、ヴォルムはいくらでも助力するつもりだった。
なんてことを考えていたら、遂に新りの二人が拠點に到著した。何度も自己紹介するのは面倒だし、一人ずつ來ると待ち時間が発生してしまうため事前に一緒に來るように言っておいたのだが、ちゃんと二人そろってきてくれたようだ。もしかすると連攜が全く取れないのではないかと不安もあったため、し安心した。
「あっ! おねーさんが四人目の……あれ、二人目だっけ? の、仲間だね! ボクはネル、よろしくね!」
「俺はオーリだ。よろしく」
二人はってくると早速リフィルを見つけ、そう名乗った。二人ともなんだかんだ言って、今まで狩人をやっているだけあって常識のある人間なのだ。何も言わずともコミュニケーションが始まったことを嬉しく思い、ヴォルムは流れを見守った。
「リフィルです。昨日、潛から帰ってきました。よろしくお願いしますね」
実際に二人を目の前にして、やはり普段通りではいられないのかリフィルの態度はいつもよりしい。和な態度を作ろうと努めているようだったが、ある程度付き合いのあるヴォルムの目には誤魔化しきれない張が映っていた。
オーリとネルがそれに気づいているのかは分からない。ただ、気付いていたとしても二人はあまりそういうのを気にする質の人間ではない。他人に左右されず、我を通す。そういった質だから二人の活スタイルはあんな風になっていたのだろう。
「改めて、俺はヴォルムだ。一応、このパーティのリーダーってことになってる。別に上下関係を作るつもりはないが、こうして人を集めたのは俺がし遂げようと思っている神殺しに協力してもらうためだ。それに賛同できないというなら即刻抜けてもらうが……異論はないな?」
今回のミーティングは始編。まだ始まっていないのだから、ここでやっぱりやめると言われるなら、それを止める気はない。目標が目標だけに、怖気付くのも理解はできる。それを咎めたりはしないつもりだ。
ヴォルムの問いかけに、各々が反応を返す。しずつ差異のある反応だったが、それぞれが肯定の意思を持っているようだった。頼もしい限りだ。
「よし、じゃあ早速今後の方針について話していきたいんだが、その前にリフィルに聞いておきたいことがある」
「私ですか?」
「ああ、オーリとネルは俺が選んでスカウトした人員だが、先にいたリフィルが嫌だというのならその意見を聞かないわけにはいかない。會ってみて、やっていけそうか?」
本當なら、こんなタイミングでこの質問をするのでは遅く、もしこれで無理だと言われたら二人は無駄な時間を過ごしたことになる。加する気満々だったのに一人の一存ではじき出されるというのはあまり気分の良いものではないだろう。しかし、ヴォルムの心象としては、流石にリフィルと他二人を現時點で同列に扱うことはできなかった。それだけの時間を共に過ごしてきたのだ。
「そう、ですね……。まだし話しただけですけど、大丈夫だと思います。上手くやっていくための努力を怠らなければ良いだけの話ですから」
「そうか、それは良かった。それと、リフィルの方からもメンバーにれたい人員がいるなら言ってくれ。あまり多くはれられないが、一人二人なら余裕がある」
すると、リフィルは數秒考える素振りを見せたが、すぐに首を橫に振った。
「私はあまり狩人について知りませんから、加させたい人はいません。人が必要になったときはヴォルムさんの人選を信じます」
「そうか」
確認したいことは確認できた。急に人を増やしすぎても負擔になるだけだから、當面はこの四人でやっていこう。
そうして次の話題――今後の方針についてに移ろっていくのであった。
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