何が起こったのかを説明しよう。と、いっても単純なことであるが、まず男が蹴ろうと右足を振り上げるが、ステータスの違いからか難なく避けることが出來たトリス。そして標的に當たらなかったため勢い余って後にバランスを崩しかけたところを、トリスが男の左足を道でいう大刈の要領で刈、そして倒す事に功した。その後鳩尾に本気で拳叩き込み気絶に追いやったのだ。

｢あ、アイツ！よくもやりやがったな！｣

｢ま、まぐれで倒せたからって、自分が強いだなんて勘違いするなよ!?｣

｢ふん。こんなガキに倒されるようじゃ、そいつの人生が知れるよな。｣

｢く、クソが!!｣

｢ぶっ殺してやる!!｣

口々にびながら、各々武を抜き襲いかかってくる。

武を持った男は、流石のトリスでも素手でけ止めるのは怖いので収納インベントリーから棒を取り出し構える。

｢何!?どっから棒を出しやがった!?若しかしてアイテムボックス持ちか!?｣

｢ひひっ！このガキぶちのめして取り上げりゃあ、俺達一生遊んで暮らせるじゃねぇか！｣

｢まったくツイてるぜ！｣

どこからともなく棒を取り出したトリスに対し驚いていた男達は、勝手に納得して寧ろ興しながら襲いかかってくる。

｢…はぁ。アイテムボックスが何か分かんないけど、どうせ碌でもないことを考えているんだろうな〜。｣

トリスは溜息をつきながら、男達に応戦する。

まず両手剣を持った男は斬り下ろしをして來たのを左に躱し、顎付近を棒でぶっ叩く。次に攻撃して來た槍使いの男は、警戒したのかトリスの間合いの外から突きを連続して放ってきたので棒を槍投げの要領で顔面にぶち當てた。

手元に武の無くなったトリスは、また同じような棒を取り出して構える。

｢はっ！｣

殘り3人の1人の男は、掛け聲と同時に投げナイフを4本トリスに向かって投げつけるが全て片手でけ止められ、逆に投げつけられる。見事四肢に命中し、男は悶絶しながら気を失う。と、同時にトリスはその場から飛び退く。するとトリスが元いた場所に弓が刺さっている。上から狙撃されているようだ。

｢ちっ！めんどくさいっ！｣

そうびながら屋に飛び上がり、直接毆り倒した。

｢さて、あと1人か。あ、まずったな。｣

そう呟きながら飛び降りる。

飛び降りた先には、の子の首筋に後からナイフをあてがう男がいた。

｢お、おい！お前！ぶ、武を捨てろ！それと近づくな！このを殺すぞ！｣

｢はぁ…。どこの世界でも、追い詰められた馬鹿がやることは変わんないのか。｣

｢おい！何ブツブツ言ってんだ!?は、早くアイテムボックスを寄越せ！｣

男は震えながらもまだ自のを諦めきれていないようであり、アイテムボックスとやらを要求してきた。

｢アイテムボックス？何それ？そんなの使ってないぞ？俺が使っているのは収納インベントリーなんだが？｣

｢そ、そんなわけないだろ!?時空屬の上級魔法を、お前みたいなガキが使えるわけないだろ!いいからさっさと寄越せ！このを殺されたくなかったらな！｣

トリスは心底呆れたかのような溜息をつきながらも男に言う。

｢はぁ…。無い袖は振れないんだがな。それと、自が不利だとじたらさっさと尾巻いて逃げりゃあいいのにな。『氷の矢アイス・アロウ！』｣

男だけに當たるように放たれた氷の矢は、狙いを寸分違わずナイフを持つ手に當たり、そのまま凍てつかせた。

｢なっ!?ぎゃあああ!!｣

男はび聲をあげながらの子を放し、地面をのたうち回る。

｢うるさい、黙れ。｣

｢ぐふっ！｣

その男に向かい棒を打ち下ろし、黙らせる。流石に5歳で人殺しはないだろうと考えているため、今は殺さないでおく。

｢さて、の子はどうなったのかな…って、ありゃま。｣

どうも先程から何も言わないと思ったら、どうやらあまりの恐怖と混で気を失ってしまったようだ。

｢ど、どうしよう…。｣

先程まで、男達と派手な戦いを繰り広げていたとは思えないほどオロオロとしながら、トリスは頭を抱えてうずくまるのだった。