《転生王子は何をする?》第30話 試験をけよう 1
トリスは心底めんどくさそうにゲースとゴーリラに向かって言い放つ。
「今忙しいんで、また明日にしてもらえませんかね?」
「「は!?」」
そのような反応は予想していなかったのか彼らは口をあんぐりと開けて絶句してしまう。
「じゃあ、そういうことで。」
と言いつつトリスはニーナのほうに向こうとするが、2人に呼び止められてしまう。
「「いやいやいや!」」
「?まだ何か用があるんですか?なら早く要件を言ってください。」
トリスは馬鹿にしたように煽りまくる。
すると昨日の後輩やらと同様に完全にブチ切れてしまう。
「人のこと馬鹿にしてんじゃねぇ!」
「もう我慢ならねぇ!この場でぶっころしてやる!」
彼らはギルドであるのにも関わらず、自の武を抜き放ってトリスに向かってくる。
「死にさらせ!」
「臓ぶちまけてやる!」
大剣を手に斬りかかってくる、格の良い男2人とローブ姿の丸腰の青年。どう考えても青年が慘殺されるのは火を見るよりも明らかであった。
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彼らのやり取りを見守っていた冒険者達も口々にぶ。
『まじか!』
『あいつ死んだんじゃ?』
『誰か止めてやれよ!』
だが次の瞬間彼らは自が見たものに目を疑う。
何と軽々と青年がわし続けているのだ。そしてあろう事か、更に煽り文句を言い放つ。
「はははは!遅いですよ!そんなんじゃ、昨日の白狼の爪とかいう変なパーティの方が、まだ脅威をじましたよ!ホントに貴方達はCランクなんですか?」
『ブチッ』
ゲースとゴーリラから、何かが切れたような音が聞こえた。
「死ね!『強化フィジカル・ブースト』!」
「丸焦げになれ!『火矢ファイヤ・アロー』!」
完全に切れた2人は、彼らがCランクである所以の魔法を使い始めた。
強化フィジカル・ブーストは初級無屬魔法で、魔力の続く限り能力の向上が図れるものだ。火矢ファイヤ・アローは読んで字のごとく初級火屬魔法で、矢の形をした火を、數本同時に放つことの出來る魔法だ。
そもそも魔法とは、高度な教育をけていなければ使えないものであり、貴族位しか高位の魔法を使うことが出來ないのが現狀だ。
スキルとして適が備わっているのなら魔法が使えるのでは?と思われるだろうが、スキルとは魔法の功率の向上の効果があるだけである。例え上位魔法でも、レベル1のスキルの持ち主は発出來る可能の程度が低いだけであり、発出來ないという訳ではない。その確率を上げるために知識が必要であり、そんな知識を覚える余裕があるのは貴族位なものであるという事だ。
話は逸れたがつまるところ、平民では初級魔法を使えるだけでも上出來であるという事だ。
だがトリスにはそんなものは関係ない。
「ほっ!ていっ!」
トリスは2人の猛攻をものともせず、強化フィジカル・ブーストを使って近づいて來た男を毆って気絶させた後、序に大剣を奪って火矢ファイヤ・アローを斬り落としてからそのまま大剣を投げ付けて気絶させる。
『な!?』
見守っていた冒険者達は呆気に取られる。それだけ普通ではない景だったのだ。Cランク冒険者2人にEランク冒険者が片手間に1人で倒してしまったのだ。だがそんな非常識な事をしでかした張本人は、ゲースとゴーリラの懐をまさぐって現金を頂戴している。
「え、え〜っと、何をしてらっしゃるんですか?」
ちょっと引き気味なニーナがトリスに話しかけてくる。
「何って、勿論迷料を頂いてるんですよ。コイツらは、こんなのでもCランクなんですよね?なら結構金持ってるんじゃないのかな〜と思ったんで。」
「は、はぁそうですか。」
「で、コイツらはどうします?その辺の道端にでも捨てておきましょうか?」
トリスは機嫌が良さそうにニーナに問う。
「い、いえ。この方達はギルドで武を抜いたので、こちらで元を拘束させていただきます。」
「はい、じゃあそういう事で。」
そう言って、トリスはギルドの奧の方へと向かう。
どうやら試験までの間、酒場で暇を潰すつもりのようだ。適當に席に腰掛け、酒場の店員を呼び止めて注文しようとする。
「あの〜。」
「ひっ!は、はい!何でしょうか!?」
若いの店員は、聲を震わせながらトリスに対応する。
それを見てトリスは、『あれ?やりすぎた?』と思ったが後の祭りであるのでスルーする事にした。
「この後試験があるので、胃がもたれない程度に軽食が食べたいんだけど、お薦めを貰えるかな?」
「はい!了解であります!」
店員は今にも敬禮しそうな勢いで了承すると、ダッシュで店の奧に引っ込むのだった。
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