《転生王子は何をする?》第145話 またやかしました

 あれから々と話した後、ホルスには々と理由をつけて帰ってもらったトリスは、表を引き攣らせながらも・・・・・・・・・・・・、グレゴールと向き合って話し始める。

「はぁ〜。今日は助かったよ。」

 相も変わらず不遜な態度のトリスだが、実際に親子レベルの長い付き合いなので、気を遣う方がよっぽど失禮なのだ。

「いえ、問題無いです。味しい話も聞かせていただきましたし、実際に私の家族と言っても差し支えない位には、付き合いもある訳ですし。」

「まぁ、確かに。俺の小さい時から世話になってるからな〜。」

「えぇ、そうね。あんなに小さかった子が、今じゃこんなに大きくなって…。」

 ラウラが、トリスを背後から抱きしめながら・・・・・・・・・・・言う。

「ラウラさん、この歳にもなってこの勢、めっちゃ恥ずいんですけど?」

 ちょっと頬を赤く染めるトリスは、後ろに居るラウラに対して、遠回しに抗議する。

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 何を隠そう現在トリスは、ラウラの膝の上に座り、後ろから抱き締められている狀況なのだ。

「え?止めなくちゃなの?トリスちゃん、私の事嫌いになったの?」

「うぐ…。」

 潤んだ目で見つめられ、たじろいでしまうトリスは、隨分と彼に毒されているようであった。

「い、いや、問題無いよ。」

「問題…無い?」

「いえ、とっても嬉しいです!あはは…。」

 トリスは窶れた顔で、ラウラに全重を預けるように寄りかかる。『もうどうにでもなれ』という、彼の諦めが見て取れる景だ。

 母は強しとは、この事かと思うトリスであった。

「しかしまぁ、トリスから『育ての親のフリをしてくれ!』と頼まれた時は、何事かと思いましたよ。」

「いや、悪かったと思ってるよ。結構リスキーな事言ってるし。」

 『あの』レンバッハ家の時期當主に対し、誰が喜んで他人の分を偽るものかという事は、重々承知の上でトリスは依頼したのだ。それは一重に、お互いが信用し合ってるからこそ出來る頼みであった。

「まぁでも俺が、トリスタン・ラ・トゥールってのは、暫くは知られたくないんだよな。今はまだ・・・・そんな時期じゃない。もっと相応しい時があるって、俺の勘が言ってる。」

「勘、ですか。」

「うん、勘。この第3王子って肩書きは、伏せておく事で、何時かジョーカー的な切り札になるってね。」

「なるほど。確かにそうかも知れませんね。…しかし、宜しいので?」

「え?」

 しみじみとトリスの言い分に納得していたグレゴールが、唐突にニヤニヤとしだした。

 その変化に著いていけずにいると、ラウラからの抱擁が弱くなってきたのをじるトリス。

 その事を不思議に思い、後ろと両隣に座る三兄妹を見やると、唖然とした表で固まっていた。

「と、トリスちゃんが…」

「「と、トリス兄様が…」」

「と、トリス兄さんが, …」

「「「「第3王子〜!?」」」」

 そして唐突にび出す4人。

「え、あれ?言ってなかったっけ?」

 『まさか』と思い、顔を引き攣らせながら、トリスは問う。

 すると4人は、ウンウンと、全力で頷いてみせる。

「えっと、まぁ、そういう訳だけど、これからも、よろしく。ラウラさん、ルー、ベル、ベア。俺はこれからも、皆とは仲良くしたいと思ってるから。」

 トリスのミスにより、また更に正を知る者が増えてしまったが、本人としては良い機會だったのか、今まで通りの口調で話しかける。

「「「「トリスちゃん ((兄様)) (兄さん)…。」」」」

「さ、さて、それじゃあそろそろお暇するわ。ホルスがボッチで寂しがるからな。」

 っぽい空気になってしまい、何とも居た堪れなくなったトリスは、ラウラから離れて、帰り支度を始める。

「えぇ〜、もう帰っちゃう〜?」

「いや、ラウラさんが1番子供かよ。…夏休み中、友達と一緒に顔出すから、そんな顔をしないでよ。」

「むぅ〜、分かったわ。ただし最後に!」

「ん?」

 ぶぅぶぅ文句を垂れていたラウラが急に大きな聲を出したため、トリスはし目を見開く。

 トリスが驚いていると、ラウラの口から、とんでも発言が飛び出す。

「私に、トリスちゃんの彼さんを紹介して!」

「え!?」

ーな、何でラウラさんは、俺に彼が出來た事を!?ー

 心の中ではぶが、聲にはならない。

「「「「え?」」」」

 一方、三兄妹と空気になりかけていたグレゴールも驚いたようだ。こちらは、『え?居るの?』といったものだろう。

「な、な、なん…。」

「何でって?」

 驚きすぎて口が回らないトリスの代わりに、彼の言いたいことをラウラが代弁する。

 ここは素直に頷くトリスに、ラウラはニンマリと良い笑顔を浮かべて、その答えを言う。

「それはね…母親の勘よ!」

「えぇ…。」

  『母ちゃうやろ!?』というツッコミも出來ずに、呆然とするトリス。こうしてあっさりと、マルティナの存在がバレたトリスは、グレゴールとルーからは『おめでとう』と祝福され、雙子からは相手についての詳しい報を教えてくれと追及され、ラウラには今度連れてくる事を確約させられてしまうのだった。

 漸くトリスが解放された頃には、彼はすっかり窶れて疲れきった表であった。

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