《異世界に転生したので楽しく過ごすようです》勇者編第1話 知らない世界に転移しました
夕暮れ時の高校の校舎。赤く染まった空はもう暗くなり始めていた。
グラウンドには運部の聲が響き、校舎の中から吹奏楽部の音が聞こえてくる。
そんな中、俺は誰もいない教室に一人でいた。
「あいつの部活が終わるのはいつになるかな」
俺は教室の窓を開け、グラウンドから聞こえるあいつの所屬している運部の掛け聲に耳を傾ける。
俺が耳を傾けるていると、教室に一人のがってきた。
「拓真?サッカー部の部長でしょ?部活行かなくていいの?」
拓真とは俺の事だ。本名は、柊ひいらぎ 拓真たくま、という。皆からは拓真か拓真くんと呼ばれる。さっき言われた様にサッカー部の部長をしている。
そして、彼は、東雲しののめ 逢奏あいか、という。クールで人であり、校一人であると噂されている。毎日のように告白されては振っているらしい。
「今日は部活は休みだよ。それと人を待ってる。もうすぐ部活が終わる頃だし迎えに行こうとしたところだよ」
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「なるほどね」
「あいちゃーん。どこー?」
廊下の方から逢奏を呼ぶ聲がした。
この聲は逢奏の馴染の、小鳥遊たかなし 那由多なゆた、だろう。那由多は逢奏と違いゆるふわ系で、逢奏とは違う方向でモテていると言うのを噂で聞いている。
「なゆー。教室にいるよー」
那由多は言われた通りに教室に來た。 
「あ、拓真くんと一緒だったんだね」
「俺が教室に居たら逢奏が教室に戻ってきたんだよ」
「私、さっきまで告白されてたのよ」
「あいちゃんは大変だねぇ」
「そういうなゆだって最近告られたって言ってたじゃん」
「あは、あはは…」
どうやらふたりは告白される事を苦として捉えているみたいだ。
「拓真と一緒に居るようになってからしは減ってるんだけどね」
「俺は逢奏の風除けかよ…」
「私だけじゃなくてなゆもだけどね」
「ちょっとあいちゃん!拓真くんに失禮じゃん!ダメだよ!」
那由多は時々こうやって逢奏を叱る。正義の強いの子だ。
「でも拓真はなんか不思議なじがするのよね」
俺のどこが不思議なじなのだろうか?俺は気になったので聞いてみることにした。
「不思議なじってなんだよ」
「なんて言うか他の男とは何か違うのよ。なんて言っていいか分からないけど、違う事は確か」
「確にあいちゃんの言う通りかも。拓真くんって子ウケしそうなじでモテそうなのにあんまりそういう話を聞かないし…」
「そうか?普通だと思うんだけどな」
「うーん…」
何を悩む事があるのかさっぱりである。
するとまた一人教室にってきた人がいた。
「あ、海雪ちゃんだ。どうしたの?」
海雪ちゃんと呼ばれたのがさっき教室にってきた人だ。本名は、如月きさらぎ 海雪みゆき、だ。
眼鏡を掛けていて、靜かなので一見地味に見えるが、隠れたところでお灑落をしていたり、普通に可かったりする。
そういう所に隠れファンが多いと聞いた事がある。
「さっきまで図書室で本読んでて、今から帰るところです」
「そーなの?あ、そうだ!海雪ちゃんも拓真くんが他の男子と何かが違うって言うのを考えてしい!」
「??」
「ほら、拓真ってなんか不思議なじがするでしょ?それをなゆは一緒に考えてしいって言っているみたよ?」
「あー。なるほど」
「あいちゃんナイス!」
「ただ単になゆの説明不足なだけ」
こいつらは楽しそうに會話をしている。だが、その容は俺のことなんだがな。
「私分かりますよ?」
「海雪ちゃんほんと!?」
「ええ、まぁ」
「私達に教えてくれない?」
「いえ、それはある事により無理です。ですが、拓真さんをずっと見ていれば分かると思いますよ?」
「俺をずっと見るのは止めてしいわ…」
さすがの俺もずっと視線をじるのは居心地が悪いからな。
「ということらしいので、分かるまで考えて下さい」
「ぶー。海雪ちゃんのいじわるー」
「なゆも海雪の困ること言わないの」
「はーい…」
逢奏と那由多のいつもの景だ。そこに海雪が混ざった事でいっそう華がある。
「私はそろそろ帰ります」
「あ、ごめんね。引き止めちゃって」
「いえ。これくらいなら大丈夫です。では」
と、海雪が帰ろうとした時、ふとした違和があった。
なんだこの違和は…。
「あれ?ドアに鍵がかかってる?」
「えっ!ほんと!?」
海雪がそういった事で俺は違和な正が分かった。
違和とは全てのドアと窓が閉まっているということだ。
俺が部活の掛け聲に耳を傾けるてた時は空いていたはずなのに……。
俺は窓を開けようとしたが、固く閉ざされていて開かなかった。
「こっちの窓も開かない。どうやら閉じ込められたみたいだ」
「えっ。そ、そんな事…。私達を閉じ込める理由が無いわ!なんで私達が閉じ込められなければならないのよ!」
「あいちゃん落ち著いて!私も一緒にいるから!」
「………なゆありがとう。落ち著いたわ」
この二人は一緒にいる限り大丈夫そうだな。
そして、もう一人の閉じ込められた海雪はこの狀況を見て考え込んでいる。
「海雪はなにか思い當たる節があるのか?」
「はい。一つだけ。しかしこれは余りにも非現実的なのですが…」
海雪が言い終わる前に、事は起こった。
教室の床一面に大きな一つの魔法陣が浮かび上がった。その魔法陣は淡い白のを放ち俺達を包み込んでいく。
「こ、これは一なんだ?」
俺がそう言ったのを最後に、俺達はこの世界から居なくなった。
◇◆◇◆◇
俺達が目を覚ました時、そこは見知らぬ所であった。
教室ではない建の中。床には教室でみた魔法陣と同じ魔法陣が描いてあった。
「んっ…」
逢奏が起きたみたいだ。続けて殘りの二人も起きた。
「…ここは?」
逢奏がそう言うと、唯一何かを知っていた海雪が答えた。
「これは異世界転移です。私達は知らない世界に飛ばされました」
「左様でごさいます」
海雪の言葉に被せるように、言葉を放った人がいた。
「よくぞ召喚に応じられました勇者達よ!」
「「「は?」」」
「やっぱり…」
俺と逢奏と那由多は話が読めず、すっとぼけてしまったが、海雪だけは分かっていた様だった。
「勇者の皆様には、この聖國を救うべく魔王を倒してきてしいのです!」
「「「「は?」」」」
そして、次は俺達全員がすっとぼけたのであった。
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