《異世界に転生したので楽しく過ごすようです》第183話 終わりと始まりのようです
「さて、ニーナが々頑張ってるんだ。俺もやるか」
今は皆と別れて、各々危なくなった人のフォローに回っている。
ジュリを初めとした皆は何の苦もなくフォローをしている。その上、悪魔をニーナの所へ送っていってるんだからどれ程の実力があるのかが伺い知れる。
「おーい!君の用事は済んだのかい?」
「あ、サトシさん。今のところは大丈夫ですね。多分また々あると思いますが……」
「まぁその時はその時だね。お互い頑張ろうか」
サトシさんと話しながら適當にフォローをれていたら、相を変えたタクマがこっちにやってきた。
「おい!お前も働けよ!俺ばっかり苦労するの癪なんだけど」
「うるせーよ!お前が自分で何か出來ることないかって言い出したんじゃねぇか!それにな!俺達がどうこうしなくても、俺の仲間とか、お前の仲間とか、サトシさんの仲間とか、六種族のヤツらとかだけでどうにかなっちゃってんだよ!」
「いや、まぁそうなんだけどよ……」
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実際、ジュリ達と勇者達がった事で殆ど犠牲は出ていない。
しかし、これまでが悪かったとかそういうのでなく、ただ単に手練がなくフォローまで手が回らなかったってじだ。
「君が、勇者のタクマ君?どうも初めまして、さっきちょっと名前が出てたサトシです」
「あ、どうも。タクマです。えっとサトシって……」
「お察しの通り、タクマ君と同じ日本から來た異世界人だよ」
「ここにも異世界人が……世間は狹いな」
「まぁ、俺達は気楽に行こうぜ。同じ日本から異世界人の男としてな」
「「それ関係ある?」」
「……二人して痛いとこ突くなよ」
まぁ、何だ。し手を抜いても大丈夫だと思ったんだよ。現狀俺達が何をするわけでもないのにしっかりフォローに回れてるからな。
今、俺の仲間達は基本誰かのフォローに回っている。危なくなってる人、傷付いた人など様々だ。だが、ちゃっかりと悪魔を倒してるし、ニーナの所に送ってたりするから、足りなのではないかと思っている。
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タクマを除いた勇者達も同様。誰かのフォローに回り、去り際に『なり損ないの勇者』と名乗っている。俺としては別になり損ないでは無いと思っている。今やっている行為は勇者そのものだ。
サトシさんの仲間達はこれまた大暴れしている。業火が飛びい、つららが降り、大地から尾が生え、子供達がすれ違いざまに的確に急所を狙う。一番ヤバイ集団である事は間違いない。しかし、これ程までに大暴れしているのに味方への被害が一つもないのは、フレイアさんのおかけだろうな。
と、まあ俺の見たじ、俺達の出る幕はない。タクマどころかサトシさんですら本気を出ていない。いや、サトシさんの本気は見たことないけど。
危ないやつがいないか戦場を見渡していたら、意外な人を見つけてしまった。あの、豆腐とすり替える忍者だ。こいつも戦爭に參加していたんだな。何気に強いし。
そんな事を思っていたら、戦場を駆け回りながらいとも容易く敵を屠っていくエルシャさんと目が合った。エルシャさんはそのままこっちに走ってきた。
し嬉しそうに見えるが、気のせいだろう。
「見つけたぞ。君の連れて來てくれた助っ人が大いに活躍してくれてるよ。禮を言う」
「エルシャさん、禮を言うならサトシさんに」
「おぉ、そうだな。サトシさん、謝します」
「いやいや、當たり前のことですよ」
エルシャさんがサトシさんには謙った言い方してる。目上の人なんだろうか?
「サトシさんって一何者?」
「君が連れて來たのだから知っていると思ってたのだが、そうか知らないのか。サトシさんは、十年以上前に霊使いとして名を馳せた伝説の冒険者だ」
「え、本當に?」
「あはっ。僕にとっては三年とちょっとの時間だけどね」
「「スゲー……」」
タクマとハモってしまう位には驚いた。ジュリも霊を使うけど、支援魔法主だから実際に霊を使って戦う人を見るのはサトシさんが初めてだ。
「で、そっちの奴は闘技場でちらっと見かけたが、勇者で間違いないな?」
「は、はい!こいつに助けて貰いました!」
「そうか。迷をかけた分キリキリ働け」
「はい!」
「よし。では私はまだ皆を守らねばならん。また後で々聞かせて貰うとするよ」
エルシャさんはそう言って、また戦いに戻っていった。
俺達三人も付かず離れずでお互いフォローしながら戦いに參加していく。
ここから見える戦いで、一際目立っているのがここにいる俺達の仲間達なのだが、影で兵士や冒険者を支えているのが、各國の王や、六種族、それとエルシャさんだ。
帝王は、上から強引に引っ張り上げるような気合いのれ方。対してエルシャさんは皆を焚き付け従わせるタイプ。似ているようでちょっと違う。まあ、そんな違い大した事はないんだが。
その他で言うと、六種族達だ。大會で何か思うところがあったのだろう。気合いのり方が全然違う。特に、フェルトとレオン。あいつらの戦いを見て自然と皆がついて行っている。
とその時、フェルトとレオン二人と目が合ってしまった。そして何故かこっちにくる二人。本當に何故だ。
「ようやく見つけたぞ!てめぇ、一回毆らせろ!」
「ちょっとレオン!今じゃなくて後で毆らせて貰えばいいでしょ!今はこの戦爭をどうにかしないといけないの!」
「ちっ、しょうがねぇな」
毆られるのは決定事項なの?まぁあの時毆られる前に転移したのが悪かったのだと思うけど、さすがにレオンに毆られると痛いどころじゃなくなるからな。
「それより、フェイには會えたの!?」
「あぁ、會えたよ。というかフェイ達の方から俺に會いに來た」
「ちったぁ元の様子に戻ってんじゃねぇか」
「お様でな」
「私はそれが聞きたかっただけだから!レオン行くよ!」
「なんで俺がお前の言うことを――」
「あ?なんか言った?」
「い、いえ何も……」
フェルトがレオンを連れて戦場に戻る。
やっぱりには適わないよな……。
「あいつ、なんかこっち側の人間のような気がするわ」
タクマがレオンを見て素直な気持ちを言葉にした。
「懐かしい景だ。旅をしてた時は雪とかフレイアによくああやって僕達は怒られてたよ……」
サトシさんが昔を思い出してその時の事を言葉にした。
「俺は現在進行形であんなじだぞ」
俺は現実を言葉にした。
「「「……同士よ!」」」
俺達はに敷かれマンという強固な魂で繋がれた。その中にレオンも含まれている。
……よく考えたら嫌だな。遠慮しとこう。
「おーい!私も手伝いに來たんだ。何をすればいいか教えてくれないかい?」
突如上から魔王様が降りてきた。
「あれ?ミクトリアさん?」
「おぉ、サトシ君じゃないかい。久しぶりだね」
「どうも」
「それにタクマ君も元に戻った様だね」
「ご心配かけました」
「無事で何よりだよ」
魔王様とサトシさんが知り合いなのは驚いた。十年以上前に何があったと言うんだろうか。
「話に華を咲かせたいところだけど、何やら大変そうだからね。また後でにしよう。それで私は何をした方がいいかい?」
「正直に言うと人手は足りてるんですが、負傷者はなからず出ているのでその手當を任せたいのですが……」
「お易い用だよ。……行け!使い魔達よ!」
ミクトリアさんの手から複數の蝙蝠達が飛びう。
「あれはね、ヒーリングバットと言ってところ構わず回復してくれる優しい蝙蝠なんだよ。因みに私の使い魔だから味方しか回復しないようにしてるから安心して」
「ありがとうございます」
「じゃ、私も君達に混ざってちょこちょこフォローをれていくよ」
「ミクトリアさんがいればもう負ける事ないですね」
いやまぁそうかもしれない。正直に言うと、俺含めたここにいる四人だけで、一國の軍と同じかそれ以上の力はあると思う。俺はこの中で最弱なはず。
これはあれか?俺が死んで『ふはは!こいつは四天王の中でも最弱!』みたいになるのか?そんなの嫌だなぁ。
「ま、今はこの戦爭を止めることに専念しておくか」
それから、小一時間。俺達は戦い続けた。
とは言っても俺達は対して何もしてない。したのは俺達の仲間だったり使い魔だ。
それはさておき、ニーナのおかげで悪魔はいなくなった。ただ、人の抜け殻だけが多く殘ってしまった。
悪魔との戦いが終わると戦っていた者達全員がやるせない気持ちを抱いていたと思う。
その者達も死に狂いで戦っていたのだと思う。
戦爭に勝ったと喜びを分かち合っていたりする者もいた。仲間が死んだと嘆いていた者もいた。
しかし、そんな事をしている場合では無い。
まだ殘っているのだ。この戦爭の元兇が。世界の破壊者が。頭の狂ってしまったあの男が!
「君、震えてるけど、どうしたんだ?」
あいつのことを考えていて無意識にが震えていたようだ。
「いや、俺にとってはこれからが本番ですからね」
顔を上げた俺の前にジュリ達が並ぶ。
同じように、勇者達の方も四人で集まり、サトシさんの仲間達も集合した。
更には三カ國の王、六種族、エルシャさん、魔王様もえている。
今この場には錚々たるメンバーは俺が招集をかけてが集まって貰っているのだ。
「ニーナに萬が一はなかったよ」
「そうか。ありがとう」
「あなたにお禮を言われると背中がムズムズするんだけど」
「おい、俺の謝の気持ちを返せ」
神はしてやったぜみたいな顔をして俺の後ろへと回った。
神もこの場にいる。シロは俺の頭の上だ。最近は神と一緒にいたから、ここにシロが來るのは久しぶりだ。
「急に集まってもらってすいません」
「我等がここに集められた理由は薄々分かっているが、一応聞いておこうか」
聖王様が代表してそう聞いてくる。
「私達はなんとか悪魔の軍勢を撃退しました。然し、狀況は変わりません。あいつを……教皇を止めない限りは」
皆もそれは気付いていたのだろう。驚きは何一つなかった。
「もう分かっていると思うので何も言いません。ただ恥を偲んで皆さんにお願いがあります」
今までは意地を張ってきたがもうやめた。皆が俺の元に戻ってきた時から俺の心の枷のようなものはなくなった。
だから、都合がいいかもしれないけど皆を頼る事にする。
「教皇を倒す為に力を貸してください!」
俺は頭を九十度下げた。今までの謝罪とこれからの期待をそれにのせて。
斷られるのかもしれないと思ったらし怖い。でも斷られるなら仕方がないと思う。無理して教皇に立ち向かう必要も無い。
最悪、俺一人でもやる覚悟はある。
「取り敢えず顔をあげるのじゃ。お主の気持ちはよう分かった。この短期間でよくそこまで長したのぉ」
「今のお前なら、力を貸してやる事もやぶさかではない。だが、また前のようになった時は私が制裁を加えてやるから覚悟することだ」
國王と帝王が認めてくれた。他の仲間も皆快諾してくれた。
「みんな……ありがとうございます!」
俺はやっと、真に人を頼ることが出來たのだと思う。誰かを想う気持ちにれ、何かを護りたいという意志を持ち、仲間が重要である事を知った今だから出來たのだろう。
今、ここにいる皆と一緒なら教皇も倒せるとそうじる。皆にはそれだけの力がある。
そしてこの瞬間から、最後の戦いが始まるのだ。
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