《三人の霊と俺の契約事》防障壁なの
重々しい発音とともに、街の至る所で黒い煙がもくもくと上がっている。
これは、ただ事ではないとアーサーは即座に判斷する。これだけの慘事なのにウチの家の連中は何故かないのか。アーサーの家は街の護衛もしている。必ず街に異変があれば兄・姉の優秀な魔法使いが駆け付けるはずなのだが・・・何故・・・。
そして、その理由はすぐ分かることにーー。
「よう、アーサー捜したよ。お前にこの新しく手にれたチカラを見せつけたくてね」
「兄貴・・・何やってんだよ。自分が何やってるか分かってるのか? 街の人たちを危険に曬して、何言ってやがる」
明らかに雰囲気が違うフレディに戸いを隠し切れないでいるアーサー。
「アーサー様ーー 禍々しい何かに取り憑かれているようです」
「ふふふーー 取り憑かれていたら厄介ですわ。アーサー様の兄様に迂闊に攻撃出來ないもの」
「取り憑かれていないなら、ってる可能があるの」
「なるほど、どっちにしろ迂闊に手は出せないってか・・・」
あれ程憎んでいたのに何言ってんだろ。
あれだけ貶されて、馬鹿にされて、家族でもないと言われて、家を出て行けとさえ言われたのにーー 何故攻撃をためらうことがある。
( このドサクサに紛れ殺してしまえばいいとさえ思うのに )
「アーサー。 この前の屈辱晴らしてやる」
フレディは、こちらに掌を向けたーーその掌から真っ黒な炎のようなものがアーサー達に向けて放たれた。
「アーサーさまーー」
「エルザ、頼む」
シンクロするかのような意思の疎通ーー今何をしてしいのかがわかるようなお互いの覚。
エルザが呼んで私を使ってと言ってるように思えたーー俺もエルザにお願いしたかったんだ。
「防衛障壁なの」
アーサー様の周り半徑2メートル程をエルザの防衛障壁が発した。薄茶の半明な不思議な空間が先ほどの真っ黒な炎を防いだ。
「これが・・・魔法・・・凄い」
アーサーは、実際にこうして初めて目の前にしてようやく魔法を理解したのだ。
「くっ・・・絶対防の大地の障壁だと蟲の分際で小癪な真似を、何処まで私を侮辱する気だ」
フレディの抑えることの出來ない兇暴のが焼け爛れたように渦を巻いている。
「フレディ大丈夫だヨ、 アイツの防障壁は大した事ない。すぐ剝がれるヨ」
「アーサーさま。背後に何かいるの」
「ふふふーー また厄介な者に取り憑かれてしまわれたようね」
悪寒がした。それはフレディの背中から伝わってきて恐ろしいオーラを放っている。
「オヤオヤ。これは出來損ないの霊サンじゃないですか」
「ーーサタン・・・。何故人間に」
表を顰めるリサ、霊たちに揺がみられる。それに相手もこちらを知っているようだ。
「何故? それはこの方に召喚され再びこの世界に呼び起こされたんですヨ。イヤあ、破壊は楽しいデス。久しぶりの覚デス」
「・・・兄貴が召喚? 何故」
「何故? くふふーー霊を召喚しようとして誤って私を呼び起こしてくれたのだヨ」
「お前は、一・・・」
「あいつはサタン。悪魔よ」
「あ・・くま? 」
「その通り、悪魔デス 」
サタンは不気味な笑みを見せてフレディの背後に周った。
「さあ。フレディお前を侮辱した弟を破壊せよ」
「はい」
フレディはサタンの言われるがまま掌をアーサーに魔法を放つ、しかしーー防衛障壁で回避する。
「ーー兄貴から離れろ!!」
「オヤオヤ。あなた、兄のこと嫌いではなかったんですカ」
サタンはニヤニヤしながら言ってくる。まるで人の心の闇の部分をほじくり返すように。
「アーサー様。コイツは心の闇や隙をついて相手を揺させて來ますので気をつけて下さい」
サタンは、相変わらずヘラヘラとして不気味な雰囲気を醸し出している。
【1章完】脇役の公爵令嬢は回帰し、本物の悪女となり嗤い歩む【書籍化&コミカライズ】
公爵令嬢のアサリアは、皇太子のルイスに婚約破棄された。 ルイス皇太子が聖女のオリーネに浮気をして、公爵令嬢なのに捨てられた女として不名譽な名がついた。 それだけではなく、ルイス皇太子と聖女オリーネに嵌められて、皇室を殺そうとしたとでっちあげられて処刑となった。 「嫌だ、死にたくない…もっと遊びたい、あの二人に復讐を――」 処刑される瞬間、強くそう思っていたら…アサリアは二年前に回帰した。 なぜ回帰したのかはわからない、だけど彼女はやり直すチャンスを得た。 脇役のような立ち振る舞いをしていたが、今度こそ自分の人生を歩む。 「たとえ本物の悪女となろうと、私は今度こそ人生を楽しむわ」 ◆書籍化、コミカライズが決定いたしました! 皆様の応援のお陰です、ありがとうございます! ※短編からの連載版となっています。短編の続きは5話からです。 短編、日間総合1位(5/1) 連載版、日間総合1位(5/2、5/3) 週間総合1位(5/5〜5/8) 月間総合2位
8 66【電子書籍化】退屈王女は婚約破棄を企てる
☆2022.7.21 ミーティアノベルス様より電子書籍化して頂きました。 「婚約を破棄致します」 庭園の東屋で、フローラは婚約者に婚約破棄を告げる。 ほんの二週間前、「婚約破棄してみようかしら」などと口にしたのは、退屈しのぎのほんの戯れだったはずなのに――。 末っ子の第四王女フローラは、お菓子と戀愛小説が大好きな十五歳。幼い頃からの婚約者である公爵家の嫡男ユリウスを、兄のように慕っている。婚約は穏やかに続いていくはずだった。けれど、ユリウスが留學先から美しい令嬢を伴って帰國したその日から、フローラを取り巻く世界は変わってしまったのだった――。 これは、戀を知らない王女と不器用な婚約者の、初めての戀のお話。 *本編完結済み(全20話)。 *番外編「婚約者は異國の地にて王女を想う」(全3話)はユリウス視點の前日譚。 *番外編「『綺麗』と言われたい王女と『可愛い』と言いたい婚約者」(全3話)は本編から約2ヶ月後のフローラとユリウスを描いた後日譚です。
8 132【書籍化】前世、弟子に殺された魔女ですが、呪われた弟子に會いに行きます【コミカライズ】
アリシアには前世魔女だった記憶がある。最後は弟子に殺された。 しかし、その弟子は、なぜか今呪われて塔で一人暮らしているらしい。 しかもなぜかアリシアが呪ったことになっている。 アリシアはかつての弟子の呪いを解くために、直接會いに行くことにした。 祝福の魔女の生まれ変わりの少女と、魔女を殺し不死の呪いを背負った青年の話。 【書籍二巻まで発売中!】 【マンガがうがう&がうがうモンスターにてコミカライズ連載中】 【コミックス二巻2022年9月9日発売!】
8 120【書籍化・コミカライズ】竜神様に見初められまして~虐げられ令嬢は精霊王國にて三食もふもふ溺愛付きの生活を送り幸せになる~
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