《三人の霊と俺の契約事皇子と霊①

暗闇を照らす炎は、心までも暖かくするように見ている者を安心させてくれる。

そこにいる全員が焚き火の炎を見つめているとルナが口を開いた。

「私とアクセルの出會いは霊の養學校を卒業してパートナーを探す旅に出ていた時の話です」

「あくせる? なの」

エルザが、ぽかんと口を開けている。

「ルナのパートナーになるかも知れない人のことよ。ちゃんと話聞いてようね」

リサがエルザを子供でもあやすかのように言い聞かせている。

それを見てルナは、微笑み話を続けた。

★ ★ ★

つん、 つん、

「ん・・・誰? 止めてよ」

つん、 つん、 ぎゅーっ

「痛い、止めて何なの」

つんつん、指で頬を突き、最後は両手でルナの頬を引っ張った晝寢を邪魔する輩がいる。

「ニシシシ。何だお前? 霊か」

「だったら何? 邪魔しないでくれる」

「俺、霊初めて見たからさ、生きてんのかなあ~と思ってよ。 ニシシシ」

年のような笑顔で話かけてきて太のように心を照らしてくれるこの人こそ私が唯一心から好きになった人。

「ふんっ! 晝寢してただけよ。用がないならとっとと行ってくれる」

顔を膨らませ不貞腐れるルナをよそに男は構い無しに話を続ける。

「丁度さあ、俺も退屈してたんだ。一緒にどっか行かね?」

「はあ? 何で私がアンタなんかと一緒に行かなきゃならないの」

「暇して寢てんじゃん。ニシシシ」

「私は忙しいーー ちょっとおお」

男は強引にルナの手を引き走り出したーー、

これが私の運命の人、アクセルとの出會いだった。

アクセルは、いつも突然やって來て・・・

「よう!また寢てんのか」

「起きてるわよ。何よ」

「森に果が沢山あるんだ。一緒に取りに行こうぜ」

とか。

「お前が好きそうな花畑がある。行くか?」

とか。

「暑いから水浴びに行くか?」

とか、いつも強引に連れ出すの。

霊とかの大きさとか関係無しに一人のの子として見てくれてると私は思ってた。

彼と過ごす毎日は凄く嬉しい。いつしか本気で好きになってた。

だけど、彼には好きな人が居たの・・・。

綺麗な紫の髪のに、き通るような大きな青い瞳。雪のように白いらしい顔立ちの

「アクセル。また遊んでるの?」

「リリス。お前も遊ぶか?」

「遠慮しておくわ。 あら?貴もまた來てたのね」

「悪い?」

顔を膨らませながら明ら様に不機嫌な態度をとるルナ。

「ニシシシ。ルナは俺の大事な友達なんだ」

「・・・ともだちか」

周りに聞こえるか、聞こえないか位の小さな聲で呟いた。

「アクセル・・・話があるの」

「あん?」

「やっぱりこのまま私がここに居てはこの國が危ないわ。魔の私なんかがいたらみんなに迷をかけてしまう」

「またその話か、何回言ったら分かる?俺がお前もこの國も両方守ってやる。俺が信じられないのか?」

「・・・そんなことないけど」

「なら信じろ!俺が守る。命にかえても」

「あくせる・・・」

リリスは涙になりながらアクセルを見つめている。

そんな景を見てルナはとてもが苦しくなるのが分かった。それはとても寂しくて悲しくてルナは今まで経験したことのない気持ちだった。

そんな二人のやり取りをこれ以上見ていられないルナは堪らずその場を立ち去った。

アクセルは自分だけに優しくしてくれてると思ってた。

自分だけは特別だと思ってた。

アクセルは、私だけを見てくれてると思ってた。

全部、全部自分の思い込みだったのかな。

勘違いなんて・・・馬鹿みたい。

自然とルナの瞳から大粒の涙が溢れる。

アクセルの本當の気持ちが知りたいよ。

私に優しくしてくれてたのは、ただ暇つぶしだったのかな。

私じゃなくて誰でも良かったのかな。

何で霊の私だったの。

知りたいよ、教えてよ。

アクセルのこと考えるとが痛いよ。

「教えてよ・・・私アクセルのこと好きなのよ」

小さな木のに座り込み人知れず、アクセルの思いはルナの瞳から溢れ出し暫く泣き続けた。

「ねえ、アクセル・・・・」

ーー 人間だったらしてくれましたか ーー

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