《三人の霊と俺の契約事S・二人きり

「どうしよお、 どうしよお。 二人きりになれるなんて夢みたい」

心の聲がそのまま口からこぼれ出てしまったような臺詞を言うリサ。

今、家の中にはアーサーとリサしか居ないリサにとって夢のような空間である。

エルザは、隣の喫茶店で新作のお菓子の試食にミーナからおいをけて行っている。

シルフィーは、本の調達にアーサーの王宮に行っている。

二人とも直ぐに戻って來るだろうが今はアーサーと二人きりだ。契約して以降こんな事は一度も無かった。

「どうしよお。何話そうかな? いつもは二人きりになりたいなぁとか思ってたけどいざ二人きりだと張するなあ」

ダイニングキッチンのテーブルの椅子にアーサーが座りその周りを落ち著きなくあっちへ行ったりこっちに行ったりウロウロするリサ。

「リサ、何してるの? 一緒にお茶でもしないか」

リサは心臓が飛び出るかという位の驚きをした。

「う・・・うん」

まるで出來立てのロボットのようにガチガチで明らかにぎこちない。

「どうしたリサ? 何か悩み事か」

「何でもないよ。大丈夫、大丈夫」

お茶を湯飲みに注ごうとするが震えてうまくれられずお茶を溢すリサ。

そしてーー

「熱いっ」

急須ごとひっくり返ししまった。

「リサ大丈夫か? 怪我はないか」

アーサーは、慌ててリサに駆け寄ると火傷をしたかもと手を取り指を見つめる。

「あ・・・アーサーさまぁ」

顔を真っ赤にしてのドキドキがアーサーに聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい張り裂けなほどリサは興している。

「指が赤くなってるから水で冷やしてごらん」

リサは、ポーッと顔を赤くしたまま固まっている。

「リサ、本當に大丈夫か? 顔が赤いぞ風邪かな」

「えっ? うんうん大丈夫」

心配になりアーサーはリサを抱き寄せおでこにリサの頭を當てた。

リサは、こんなに近くにアーサーをじたことは一度もなく初めてアーサーを獨占した気持ちになった。

嬉しい。こんなに優しくして貰えるなんて初めて。

ずっと二人きりだったら毎日アーサー様の優しさをじられるのかな。

「何だかし熱っぽいじがするなあ。本當に大丈夫か」

心配してリサの顔を覗き込むアーサー。

目と目が合うリサとアーサー。

リサののドキドキは最高に達していて興を抑えきれない、もう自分の気持ちも抑えきれなくなっている。

「あ、アーサーさま・・・リサは・・・」

「ん?」

「リサは・・・アーサーさまが・・・」

アーサーとリサは二人見つめたままだ。

リサは瞳をうるうるさせ顔を赤らめてアーサーを見つめている。

アーサーもジッと視線を逸らさずリサを見つめている。

ーー もう、大好きが止まらないよおーー

そしてーー 思い切ってリサが

「わたし、アーサー様の事をあいーー」

家の玄関のドアがけたたましく開く音が響いた。

「ただいまあなの」

「戻りましたわ」

リサはアーサーと二人向き合ったまま固まるーー

「何二人でみつめあってるの?!」

「リサ私達が居ない間にアーサー様と何を」

騒ぎ出すエルザとシルフィー。

「何もないわよお」

「噓なの、何か隠してるの」

「白狀しなさいリサ」

逃げ回るリサを追いかけるエルザとシルフィー。

そんな三人を微笑ましく見つめながらリサのこぼしたお茶を片付けるアーサーだった。

アーサー様への告白は、もうし先にとっておきます。

リサの気持ちはずっとずっと変わりませんよ。

ーー アーサー様、してます。ーー

おわり。

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