《三人の霊と俺の契約事おいしい香り

ゾロアスター教ーーそれは表向きは白裝束を著た、普通の宗教団。新聖教とは違い武裝勢力ではなく、端から見れば普通の新興宗教活をしているように見えるので信者も普通の一般人である。

他の宗教と明らかに違うのは頭から被り顔が見えなくなるように白裝束をに付けて活している事だ。

白裝束には、理由があるのだろうか・・・。

ゾロアスター教は、各地に點々としていて誰でも気軽に新興出來るとあってその勢力は拡大している。

ある地方は既にゾロアスター教に染まり禮拝の時間となると一斉に白裝束を纏った人で溢れかえるーーその景はまやさに異常だ。

ゾロアスター教の真の目的と活については未だ不明である。

これだけ多くの人々が信じきってしまう謎の宗教団、それを司る神 エレボスとは。

★ ★ ★

が水平線から顔を出したばかりの頃、何ともいえない味しい匂いが迷い込んできた。

霊はヨダレを垂らしながらやって來た。

「いい匂いなの、お腹ぺこぺこなの」

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ヨダレを拭きながらお腹に手をやってうなだれるエルザ。

「エルザは食べる事ばっかりね。何か最近丸くなってきてない? お腹にがつんたんじゃないの」

リサがエルザのお腹に視線をやる。

の子はしふっくらしてるのが可いの。 ガリペタよりはいいの」

ふんっと、鼻を鳴らし自分のりながらリサのをジッと見つめるエルザ。

は関係ないでしょ!! もうお風呂一緒にってやんないからね」

ふんっと腕組みをしてエルザから視線を逸らすリサ。

「えーん、シルフィー」

シルフィーに飛びつこうとするが手で抑え込まれてしまったエルザ。

「ひどいの」

エルザは、一人悄げてしょげているとまた一人味しい匂いにわれてやって來た者がいる。

「おはよ。みんな今日は早いね」

「アーサー様、おはよ」

「おはようございます。アーサー様」

「アーサーさまぁ、聞いてほしいの。リサとシルフィーがあーー」

アーサーは、エルザを「はい、はい」と軽くあしらうと廚房を覗いた。

そこにはメーディアが可らしいエプロンをに付けて慣れた手つきで朝食の準備をしていた。

「メーディアおはよう、何かゴメンねご飯の準備とかさせちゃって。何か手伝いしよっか」

「アーサーさんおはようございます。いいえ、大丈夫ですよ。お客様をおもてなしするのが本來の私の仕事ですから。お気持ちだけで充分です」

微笑みかけるメーディア、出逢ってから初めてメーディアの笑顔を見た気がした。

「相変わらず素晴らしい香りなのだよ」

両手を広げて鼻から思いっきり息を吸って匂いを楽しんでいるような表を浮かべているメイザース。

「おはようございます。メイザース様、 間もなく朝食の準備が整いますのでもうしばらくお待ち下さいませ」

調理の手を止め、頭を下げたままメイザースに挨拶をする。これが本のメイドなのかと心する。アーサーの家にもメイドや執事が居たがアーサーは引き篭もりだった為にほとんど顔を合わす事もなかったし、実際居てもそこまで仕事ぶりを見ることもなかっただろう。

「アーサーさん達もどうぞお席に」

★ ★ ★

「ミーナのお兄さんと同じくらいおいしかったの」

満足そうに満遍の笑みを浮かべてお腹を膨らましているエリザ。

「朝から食べ過ぎよエルザ」

リサは、お腹を膨れたエルザを見て呆れてため息を吐いた。

「どうりで最近、ふっくらとしてきたと思いましたわ」

シルフィーは、ゆっくり紅茶を飲みながら膨れたお腹のエルザを冷やかすように見た。

「メーディアちゃんの食事は実に味しいからね。 ついつい私も食べ過ぎてしまうのだよ」

「ついつい食べ過ぎてしまうの」

メイザースの真似をして高笑いするエルザ。

二人意外は、皆一同靜かに食後の紅茶をすすっていた。

「メイザース、これから俺たちは何をすればいいだ?」

ティーカップを置きながらこれからの自分達の行を知っておきたいと疑問をメイザースに投げかけてみる。

「ん~。 一度ゾロアスター教を見てみると良いのだよ。 潛捜査なのだよ」

不敵な笑みを浮かべ紅茶をすする。

「潛捜査・・・」

「大丈夫。君たちだけではさぞ不安だと思い助っ人を呼んでおいたのだよ」

「呼ぶって、海のど真ん中の孤島に? どうやってーー」

メイザースは、壁に掛かっている時計に目をやった。

「そろそろくる頃なのだよ」

その時ーーどーんという外で何がぶつかる音がした。

ーー 何がぶつかったのか? ーー

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