《三人の霊と俺の契約事》アーサーと霊対ベリアル①
本來、魔法武闘會は西最大の祭典ーー
國や他國の観客やみんなが一番楽しみにしているひと時だ。
人々は世界中の魔導士たちの真剣勝負に一喜一憂する。
しかしーー今はその時間は訪れないでいた。
観客の人々に映るのは魔法騎士団現役最高の実力者、団長リンスレットの傷つき尚も立ち上がり悪魔族に向かっていく哀れな姿だった。
誰もが予想してなかった展開ーー目を背けたくなる現実。
リンスレットが立ち上がる度に「もう良いから立ち上がらなくでくれ」と言わんばかりのなんとも言えない悲鳴にも似た聲が聞こえてくる。
「ーー私は負けない。 花鳥風月お願いよ、私にチカラを貸して」
その問い答えるように刀はり輝き出すーー
(私の、殘された力と気力で反撃出來るのはもうこの一撃だけ・・・ならいっその事試してみる価値はあるかも)
「茶番は終わりだーー絶せよ」
ベリアルは魔力を右手に集中させる。
その余りの魔力の兇々しさに恐怖すらじる程だーー
「くっ、駄目だ。 今のリンちゃんでは防げない。 団長、リンちゃんを助けないとーー」
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ランスロットに歩み寄るロビン。
「信じろ! 仮にも私に勝った人だぞ。 そして、魔法騎士団の団長だ」
ランスロットも気が気ではない様子だ。
今はただ信じるだけだーー
「行くよ花鳥風月! あなたの真のチカラを見せて」
刀を鞘にれたまま柄を握って間合いをとっているリンスレット。
「消えろーー闇の衝撃波ダークマター」
ベリアルの右手から闇の魔法が放たれたーーリンスレットはその瞬間を狙っていたようにき出す。
「花鳥風月ーー月、花二段・れ雪月花」
リンスレットが鞘から刀を抜いた瞬間に辺りは闇に包まれたーーベリアルの周りにヒラヒラと無數の桜の花びらが舞い落ちる。
「奴はとこだ!? 」
ベリアルの視界には闇だけが広がっている。
桜の花びらが止まったかと思うと桜吹雪がベリアルの視界を奪いその剎那、満月を描くようにリンスレットの円月切りがベリアルに炸裂する。
リンスレットの全ての剣は相手の視界をつくカウンターだ。
小さなを重心を落とし相手の視界から消えるようにく。
死角から常に攻撃するように丹念してきた。
れ雪月花も闇に包まれてはいるものの、相手の攻撃に合わせて発させる。
相手が魔法を放つ瞬間が一番油斷していて隙が多いのを分かっているからこそ出來たのだ。
闇が晴れ會場に映し出されたのは倒れたベリアルの姿と仁王立ちで佇む魔法騎士団団長の姿だったーー
大喝采が沸き起こるーーリンスレットコールが起きこの試合初めて笑顔を見せたリンスレットだった。
「リンちゃんやったな」
ロビンは涙ぐんで鼻水を垂らしている。
「リンスレット・ローエングラム見事だ」
ランスロットは腕を組み頷いていた。
リンスレットはステージを後にしようと歩き出した・・・
その時ーー
「まだだーーリンスレット!!!」
青年の聲が會場に響くーー
リンスレットはその聲に反応し振り返るとベリアルは無言で微だにせず起き上がる。
手を天にかざすと白裝束のゾロアスターの人間から気を奪い取る。
奪われた人間は次々と倒れていったーー
「やってくれたな小娘。 さすがにダメージを喰らったよ」
首をポキポキと鳴らしながら不敵な笑みを浮かべた。
リンスレットは後退りするーー自分で分かっている・・・現界だと。
「死ね」
ノーモーションからの闇魔法が放たれたーー
リンスレットは意表を突かれ回避出來ないーー
「しまったーー殺られた。今度こそ終わった」
リンスレットは思わず目をつむった。
「大地の障壁アースウォール」
半明の薄茶の障壁が闇魔法を防ぐーー
「何者だキサマ」
四人のる霊を従えた金の瞳の青年がステージに立っていた。
「ーーアーサー・ペンドラゴン」
リンスレットは目の前に現れた青年の名を呼んだ。
「金の瞳に・・・ペンドラゴンーー」
ベリアルはかつて大戦の果てにデーモンズゲートを封鎖された相手の殘像が頭を過ぎった。
「リンスレット、悪いけどここからは俺がアイツの相手をさせてもらうよ」
「金の瞳に・・・複數の霊、やはりあなたはシーサー様のーー」
リンスレットは目を丸くしてじっとアーサーを見つめていた。
「何者だろうが、私の邪魔をする者は排除する」
ベリアルは魔力を解放したーーその闇の魔力は一般の観客を飲み込んでいく。
観客席にいたミランダとリリスは観客を非難導させる。
「こんな邪悪な魔力は久しぶりよ。 この人數の観客を守りながら非難させるなんて不可能よ」
リリスは顔を怖ばせるーー
「ーーアーサー何とかしなさいよ!」
観客席からステージ場のアーサーに視線を送ったミランダだった。
★ ★ ★
「やあ、久しぶりだね。 メイザース」
笑顔を見せて舊友に挨拶する青年ーー
「ずいぶんと余裕ですね。 コロッセオは大変な事態なのだよ」
余裕そうな笑みを見て苦笑いを浮かべている。
「私が手助けするのは簡単だよ。 だけどいつまでも私が健在とは限らない。 私もずいぶん歳をとり過ぎたんだよ。 見た目と力は変わらないが、 中は還暦を迎えたお爺さんなんだよ」
ロコッセオを窓から見渡せるアヴァロン城の踴り場にシーサーとメイザースは立っている。
そこから円卓の魔導士たちが必死に悪魔族と戦っているのが見えるーー
「どこまで計算していたんだ・・・」
その問いに対しシーサーは人聞きの悪いと言わんばかりに両肩をすくめてみせた。
「メイザース君には敵わないよ。 全て偶然だよ」
笑って誤魔化そうとするシーサー。
それを見かすようにメイザースは続ける。
「ーーではなぜ私にアーサーきゅんを捜索させたのだよ。 こうなる事を最初から分かっていたんだろう。 アーサーきゅんの魔力を奪った時からーー嫌、金の瞳の後継者と分かった日から・・・」
シーサーは參ったなと顔を歪めてため息を吐いたーー
「どこまで知っている? 君は頭が相當キレるのは知っていた。 それは想像か、それとも何か拠でもあるのか?」
「世界新聞社に知り合いがいて彼からの報と私なりの憶測である程度調べたのだよ。シーサーあなたの事もアーサーきゅんの事も」
シーサーは笑っているのか、 怒っているのか何とも言えない表を浮かべてメイザースを見つめたーー
メイザースはその表を見てに今までにじたことのない恐怖が走った。
ヤバイーー逃げないと。
しかしーーが恐怖でかない。
「メイザース、何を知っている? どこまで報を手にれた」
シーサーはメイザースにゆっくりと顔を近づけてくる・・・
「・・・う、う、」
ガチガチと歯が鳴るーーが恐怖で震えて上手く喋れない。
「マーリン!!!」
シーサーがぶと、何もない空間から浮かび上がるようにマーリンが現れたーー
「あら? どうしたの。 メイザースが怯えているわよ、可哀想に」
マーリンがしゃがみ込んで哀れな捨て犬でも見つめるようにメイザースを見ている。
「コイツは知り過ぎた。 どこまで知っているか聞き出してくれ。 死なない程度に頼むよ。コイツの魔法の知識は役に立つからな」
「分かったわ。 ただし上手くくかしら?」
マーリンはケタケタ笑いながら恐怖に震えるメイザースの頭の中に指を貫通させれている。
「あっーーあっーーやめて・・・う・・・」
「あなた殘念よメイザース。 知り過ぎよ」
「シーサー、消すわ」
「さよなら、あなたに罪はないけどね」
「ーーーーーー」
その後メイザースの姿を見た者は居なかった。
ーー シーサーとマーリンの企みとは ーー
【電子書籍化決定】わたしの婚約者の瞳に映るのはわたしではないということ
わたしの婚約者を、わたしのものだと思ってはいけない。 だって彼が本當に愛しているのは、彼の血の繋がらない姉だから。 彼は生涯、心の中で彼女を愛し続けると誓ったらしい。 それを知った時、わたしは彼についての全てを諦めた。 どうせ格下の我が家からの婚約解消は出來ないのだ。 だからわたしは、わたし以外の人を見つめ続ける彼から目を逸らす為に、お仕事と推し事に勵むことにした。 だいたい10話前後(曖昧☆)の、ど短編です。 いつも通りのご都合主義、ノーリアリティのお話です。 モヤモヤは免れないお話です。 苦手な方はご注意を。 作者は基本、モトサヤ(?)ハピエン至上主義者でございます。 そこのところもご理解頂けた上で、お楽しみ頂けたら幸いです。 アルファポリスさんでも同時投稿致します。
8 76日々
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