《三人の霊と俺の契約事》知り過ぎた結末
「チカラを與えてもそれを使いこなせないならただの寶の持ち腐れよね。 せっかくの魔力の集め方や戦略の方法を教えても実行に移せないんだからダメよねえ」
不敵な笑みを浮かべて自分のを右手の人差し指で押さえている。真っ赤なマニキュアが目に止まる。
「やっぱり賢くて実行力のある人間でないとねえ」
そう言うとまるでろう人形のように無表で隣に立っているシーサーにそっと寄り添い顎のラインを人差し指ででまわした。
「ーーくっ、全て計畫通りだったって事なのか」
悔しそうに膝に手をやり項垂れるアーサー。
「どこまでが計畫通りなの? 私の出會いも全てーーまさか」
リサは苦笑いを浮かべ首を振った。
「いいえ、私のシナリオ通りにあなた達もいてくれたわ。 三人同時は予想外だったけどアーサーと契約してくれたのは計畫通りよ」
シーサーに頬と頬を寄せ合いながら舌を出しながら不敵な笑みを浮かべてながら橫目で見下す様な視線を送るマーリン。
マーリンの言葉に何も言い返せないでいるアーサーと霊たち・・・
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運命の出會いもこれまでの長の過程も仲間達の出會いも全てマーリンの手の中で踴らされていただけだったのだ。
こうなる事を初めから分かっていたーー
本當にそうなのか。
三人の霊たちは三人だからこそ今がある。
もし、霊との契約が一人なら今ここに自分はいるのだろうか?
そんな未來を想像出來るのか。
俺自はそんな全く未來が見えない。
きっと上手く行かずに二人で未來を諦めていたのかも知れない。
リサ、エルザ、シルフィーの三人がいたからこそ今の自分や今の三人がいるんだと思う。
それぞれ足りないところを補いながらしずつ長してきた。
俺もそんな彼たちのおかげで自が持てた。
個の違う三人の霊たちにれ合ってきたからこそだ。
計畫通り・予想通り・運命ーーそんな簡単に決められた通りに行く訳がない。
「俺たちの歩んできた道はそんな簡単に導ける程簡単なモノじゃない」
アーサーが顔を上げマーリンを睨みつける。
それを見てあざ笑うかのように言い放つ。
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「どんなに足掻こうがもうデーモンズゲートは開かれる」
「絶対に開かせない」
「もう私のシナリオは誰にも止められないわ」
「いや・・・止めてみせる」
金の瞳が輝き始めるーー
「アーサー様の力強い気持ちが伝わってくる。勇気が湧いてくる、魔力が溢れてくる」
四人の霊たちの顔つきも一気に変わってゆくーー
「腐ったシナリオは俺たちが変えてやる!未來は自分たちの手で創る」
「やって見せてちょうだい。出來るなら」
口元に手をやりながらクスクス笑っているマーリン。
その笑みの奧底にある闇はどこまでも深くまだアーサー達は気付かなかった。
「気をつけなさい。 私、マーリンのこと嫌いだから々調べさせてもらったのよね」
いつの間にか視界は、晴れてアーサーの隣にメーディアが立っていた。
「結社アルファ・・・ね」
マーリンの表が変わったーー
「マーリンは特異質の持ち主ーーその能力は記憶作メモリーオペレーションよ」
「メモリーオペレーション・・・」
「全て自分の都合の良いように記憶を改竄してきたのよ。 相手の記憶を読み取り、消し去る。そうやって偽りの歴史を創ってきたのよ」
「俺たちの知っている今までのアヴァロンの歴史やなんかは全て偽りなのか?」
「その通りよ。 全てマーリンが創り上げた偽の歴史よ。 時の砂の魔法で何百年もの間ずっと自分の思い通りに歴史をかしてきた」
「何の為に彼はこんな事をーー」
「デーモンズゲートよ」
「デーモンズゲート・・・どうして」
マーリンは不敵な笑みを浮かべているーーそして口を開いた。
「天界から地上に追放された墮天使なのよ。 魔とは仮の姿。 天界から追放された者は二度と天界へは帰れないのよ。 だから魔界タルタロスへの道を開かせ私が地上と魔界を支配し、天界へ復讐しようと思っていたのよ」
「デーモンズゲートの封印を解く人が現れるのをずっと待っていた。 そして、メイザースが遂に封印を解く呪文を解読した。それと同時に彼はマーリンの正にも気づく事になった」
「メイザースは今どこにーー」
「殘念ながら彼は知り過ぎたので消えてもらったわ。 もちろん、解読した呪文は教えて頂いてね」
「消えてもらったってーー」
言葉を失い唖然とするアーサーや霊たち。
「そんな、そんなーーメイザース様」
ガタガタと震えながら揺するメーディア。
顔を真っ青にし一點を見つめてまるでこの世が終わったかのような悲壯が漂っている。
「メーディア、しっかりしろ。メーディア、メーディア」
キルケーが肩に手をやりゆさゆさと揺らしながらメーディアの反応を見るがメーディアはぶつぶつと意味不明な反応しかない。
「マーリン、貴様あああ」
キルケーの怒りが頂點に達し鋭い眼でマーリンを睨む。
「単細胞のモノマネ魔導士、天才でも何でもないわね。特徴がないのよーー面白そうだから円卓に選んだのだけど扱い辛くて人としても駄目ね」
「マーリン貴様」
魔力を開放するキルケー。
「まさか私に盾突くつもり。良いわよ死ぬ気でかかって來なさい。その程度の魔力で何が出來るのかしらね」
「わああああーー」
キルケーが立ち向かうとした瞬間に誰がローブを引っ張って行くのを阻止した。
「えっ?」
振り返ると泣きながらにっこりと笑い首を橫に振っているメーディアがいた。
「駄目よ。わかるでしょ」
「メーディア・・・大丈夫なのか」
「ごめんなさい、取りして私にとってメイザース様だけが唯一の・・・」
「分かってるだから何も言うな」
「キルケー、私達ではマーリンは止められないわ。分かるでしょ」
「くっーーだけどアイツはーー」
「気持ちは私も同じよ。だけどあなたにまで死なれてたら私は本當に一人になってしまうわ」
メーディアはキルケーをぎゅっと引き寄せ顔を近づけた。
「メーディア・・・」
顔を真っ赤にするキルケー。
「だ、か、ら、無駄死にするなよ」
キルケーの頬を両手でつねって引っ張ってみせた。
「痛てててて」
キルケーは痛がりながら見つめた先にある、目に涙をいっぱい貯めているメーディアの顔を真っ直ぐ見れないでいた。
★ ★ ★
デーモンズゲート=審判の門とも言われている。
魔界と現世を繋ぐ扉で開く事は決してないと言われていた。
なぜならデーモンズゲートには大天使マリアの封印が施されていて天界の神ですら封印を解くことが出來ない。
魔族は扉にれることすら出來ないと言われているほどの扉だ。
しかしーー時が経つにつれ魔族はチカラを手にれてきた。
人間や天使・霊・妖などの邪悪なや嫉み、嫉妬などが増える度悪魔族はチカラに変えるのだ。
膨れ上がった邪悪なエネルギーはやがて一つの存在を創り上げてしまった・・・
それが邪神アーリマンであるーー
アーリマンが誕生した事によりチカラを手にれた悪魔族はデーモンズゲートの封印が弱まった僅かな隙間から現世へと移出來るようになった。
世の中には突然変異という言葉が存在する。
神ですら解けない封印を解いてしまう程の天才も稀に現れてしまうものだ。
彼はデーモンズゲートの複雑困難な封印を解く事に功する。
実際には試していないが解く鍵を見つけてしまったのだーー
千里眼の力を持ち合わせていたマーリンにその事にいち早く察知する。
彼がどこに逃げようが千里眼の力を持つマーリンには見つけるのは容易い。
自分の手元に置いておく為に円卓の魔導士に任命させる。
來るべき時のためにーー
しかしーー天才というのは知らなくても良い事まで勘付いてしまうものだ。
マーリンに疑問を抱いていた彼はマーリンの過去や現在、円卓の魔導士の経緯、アヴァロンの歴史、シーサー・ペンドラゴンとマーリンの関係などを徹底的に調べた。
その中で解った能力が三つ・・・
どこにいても一度會ったことのある相手の居場所が分かる千里眼の力。
記憶の改ざん・消去が出來るメモリーオペレーション。
そして、時の砂の魔法ーー
彼は、この三つの能力を使いこの世の歴史を裏でって來た事に気付いてしまう。
必ずと言っていいほど不可解な戦爭や矛盾している歴史がありそれがマーリンによる改ざんだとすれば全て解決するのだ。
何のために・・・?
マーリンはなぜ歴史をってまでこの世を支配したかったのか・・・
なら最初から自分が王になって支配すれば良いのにわざわざ裏方のような事をしている。
なぜ?
そして、彼がシーサーとマーリンに呼び出されて解った。
デーモンズゲート。
彼は人間ではない・・・
大天使マリアが封印した時にこちら側に取り殘された悪魔族、または天界から追放された墮天使だと・・・
魔界に帰りたいのか、この現世の世界や天界に復讐する為にデーモンズゲートの封印を解きたい為にずっと封印を解ける日を待ち続けてきたのだ。
彼は知り過ぎた・・・
この世から消去される事になる。
彼は消去される前にこの事実を自分の大切な娘のように接してきた人に伝えていた。
これがメイザースの最期だったーー
ーー マーリンの正は ーー
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