《三人の霊と俺の契約事ずっと友達

「アーサーさま、おきてなの」

「アーサー様、起きなさいよお」

髪のを引っ張ったり、頬をつねったり手洗い起こし方だ。

あれ?

俺は、ハッとなってベットから起き上がった。

それを見たリサとエルザは驚いて目を丸くしていた。

「アーサー様?どうしたの?」

「リサが髪のを引っ張るから怒ってるの」

「エルザがほっぺをギュッてするからよ」

二人は睨み合いの小競り合いを始めた。

俺はそんなこと構い無しに周りを見渡す。

ここは、いつもの俺たちの家だ。

兄貴に頼んで買って貰った大切な家。

朝の風がコーヒーの香ばしい香りを運んできてくれた。

懐かしい香りミーナの店のコーヒー。

そうだ。

俺たちは帰ってきたんだ。

窓に目を移すと、いつも通り窓辺の椅子に腰掛け読書をしているシルフィー、いつもと変わらない風景がそこにあった。

終わったんだ何もかも。

扉に掛かっている鈴の音が小さな店の隅々まで緩やかに響き渡る。

「いらっしゃいませ」

笑顔で手を振りながら出迎えてくれるウエイトレスのミーナ、お馴染みの景である。 相変わらずのコーヒーのほろ苦い香りとケーキの甘い香りが店に広がっている。

「やっほー。 ミーナあ」

リサが元気よく手を挙げて挨拶を返す。

「ミーナおはよなの」

「おはようございます。ミーナ」

エルザとシルフィーも笑顔で挨拶をわす。

「おはよう。リサ、エルザ、シルフィー、アーサーさん」

「おはよう、ミーナ」

帰ってきたんだ。

また、この街にーー

俺たちの帰るべき場所に。

★ ★ ★

マーリンの魔法を斬り裂いた瞬間に全ての魔法は効果を失ったーー

シーサーはただの老人となり、コロッセオは廃墟と化した。

マーリン自は、時の流れに戻され消えてしまった。

の積み重ねて來た何百年の歴史は一瞬で消え去ったのだ。

そして、俺は金の瞳の能力も消え去り元の魔力なしになってしまった。

デーモンズゲートも元に戻り歪みも消え去ったのだ。

全ては、丸く収まったかに思えたが・・・

「金の瞳の能力が消えたーー」

「金の瞳も歴史の中で無理矢理マーリンがアーサーさんにけ継ぐように改竄していたのでしょうね」

「リサたち霊は消えないってことはーー」

「やっぱり私たちの出會いは運命だったんですねえ」

「嬉しいの」

「赤い糸ですわ」

はしゃぐ霊たちを他所に不安な表を浮かべるルナ。

「ルナは・・・ルナはどうなるのでしょうか?」

リリスが神妙な面持ちでみんなに尋ねる。

「俺の金の瞳がリセットされたってことは、アクセルの亡くなった時からだからルナは・・・」

「ルナああ、嫌だよ。ずっと一緒だよね?」

「アーサーさま、なんとかならないの?」

「アーサー様私からもお願いしますわ」

三人の想いは痛いほど分かるが今のアーサーには何も出來なかった。

「みんなありがとう。私の殘された時間は後僅かなのは何となくわかってます。最後はやはりホーエンハイムのアクセル様の元に一緒に眠りたいです」

「ルナ・・・」

俺たちはアヴァロンを出たあとホーエンハイムにルナとリリスと一緒にゆっくりと帰った。

キルケーが箒で送ってくれると言ったが遠慮した。

ルナの殘された最後の時間を楽しく過ごさせてやりたかった。

霊たちは、それはそれは毎日楽しそうに朝から晩まで四人ではしゃいで過ごしていた。

アヴァロンからホーエンハイムまで馬車で三日かかった。

三日の朝、異変が起きていた。

「アーサー様あ、ルナが、ルナが」

ルナが消えかけていたーー

「ルナ頑張れ、もうすぐホーエンハイムだぞ」

「・・・はい」

消えそうなほど小さな聲。

「ルナ、嫌なの。もっと一緒にいたの」

エルザは溢れそうな想いを必死に堪えていた。

「リリス、急いで下さい。ルナが・・・」

「わかってますわよ!捕まってなさいよ」

思いっきり馬に鞭をれ、ホーエンハイムに急いだーー

緑に囲まれ小さな小川の流れる場所に白くしい一本の剣が刺さっている墓石があった。

そこに今にも消えて無くなってしまいそうなルナを抱えてアーサーはやって來た。

「ルナ、アクセルの墓石に著いたぞ」

をそっと墓石の上に寢かせてあげた。

「・・・あくせる。 やっとわたし・・・あなたに會えるのね」

ルナは笑顔を見せた。

「ルナ、嫌だよ。ずっと一緒にいてよ」

「ずっとずっと一緒にいようって約束したじゃない」

「ルナ消えちゃ嫌なの」

三人は溢れる涙を堪えきれなかった。

「・・・ありがと、、あなたたちが、、ともだちでよかった」

消えそうな聲・・・

そしてーー

アクセル様、私も今あなたの元に行きます。

今度こそあなたの想いを聞かせてくださいね。

「ルナああああああ」

最後ルナは幸せそうにアクセルの元に消えて行った。

三人の霊たちはいつまでもいつまでも白い墓石の前から離れないでいた。

そよそよと吹くそよ風がありがとうと言ってるように俺は聞こえた。

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