「ああ・・・これこれ姫様なんてことを」

紫の髪に青い瞳をしたが壁に落書きをしている。

「ーーだってつまんないんだもん。ふんっ」

私は、お城のお姫様、し年の離れた姉がいて年下の私を王様パパにドロドロに溺されて育った。

だから、しいものは何でも手にったお金もオモチャも洋服も何もかも・・・・・・。

ーーだけど、心ついた時一つ気付いた。

十歳の時だ・・・。

☆

「姫様、姫様ああーー」

緑かな庭園にの聲が響き渡る。

クリスタル造りの虹に輝く塔のには座り込んでいた。

「・・・・」

耳の形がとんがっているはエルフ族で姫様と先ほどからを捜していただ。彼はを見つけると何も言わず一緒に隣に座った。

庭園から眺めてる景はとても長閑のどかだ。

湖の真ん中に建てられた國の象徴であるクリスタルの塔。その周りをとりどりの花と緑かな木々が植えられている。花壇の周りには沢山の妖や霊が楽しそうに遊んでいる。

「ーーどうしたのです？」

はエルフのが隣に座っていたのに気付かずびっくりしたように目を丸くしたがまたすぐに遠くを見つめ難しい顔をした。

「最近パパが私に構ってくれないの。いつも変な人と難しい話ばっかしててーー」

「それは今、アストレア帝國とウチは対立していてその対策を練っているからですよ」

「本當は私のことを嫌いになったからじゃないの？」

「大丈夫ですよ。國王様が姫様を嫌いになったりするはずないですもの」

エルフのは笑顔での顔を覗き込んだ。まるでの不安を消し去るように。

「うん」

この頃はいつでも、どこでも誰かが支えてくれた。優しく心を包み込んでくれた。

私は孤獨になると弱い、何も出來ない。

いつも誰かに支えられ、いつも誰かに包まれて、いつも誰かにされて。

だけど今は違うーー誰もいない。

誰もしてくれない。

だって、孤獨だから。

☆ ☆ ☆

雷鳴が轟いたような発音が空気を振させる。その直後に建が瓦礫のように崩れ落ちる。

白い白煙があちらこちらで空に立ち上がる。

緑と水が溢れる魔法王國クリスタルパレスその名のとおりしいクリスタルで創り上げられたこの國の象徴である塔は崩壊する寸前だったーー。

緑が眩しかった木々は々に砕され數えきれない數の倒木している。近くの花壇は地面ごと吹き飛ばされた跡がありその衝撃の大きさを語っていた。

発音に混じり無數の悲鳴が木霊する。

しい川と白糸の滝は赤黒く変し濁っている。

必要に降り注ぐ魔法の閃の雨は國中に猛威をふるった。

それは突然現れてクリスタルパレス國民を無差別に慘殺していった。

あの日何があって、何が起こったのか。

そこで何を見たのか。

その真実を誰も伝えていないーー。

ただ一言、『魔狩りがあった』とだけ伝えられている。