《三人の霊と俺の契約事知られざる真実

「レーベンハートさん、お久しぶりです」

「ケイトか・・・ずいぶんと見窄らしいみすぼらしい格好をしているがどうした?」

「えっ、いや目立たなくーー、痛て」

「だから服裝をちゃんとしろって言ってるのよ!」

エレナはケイトの足を踏んだ。

「紫の髪・・・そうかあの子がこんなに大きくなったのか」

「はい。今回バンディッツに來たのもその件についてです」

レーベンハートは頷き、しゃがみ込むと、紫の髪をくしゃくしゃにでながら、

「本當に大きくなって表もこんなにかに。ケイトは優しくしてくれたかい?」

エレナは顔を赤く染めながら、

「うん。ケイトは優しいよ」

レーベンハートは「そうか、そうか」と頷き笑顔をこぼした。

「レーベンハートさん向こうでーー、ナタリア、エレナを頼むよ」

「はい、分かりました」

ナタリアは、ピクシー族でエレナとクリスタルパレス出の生き殘りだ。ケイトとエレナと一緒に旅をしている。

二人を殘しレーベンハートとケイトは奧の部屋へとって行った。

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會議室のような広い部屋の中、長テーブルにいくつもの椅子が並び、レーベンハートとケイトは真ん中辺りにテーブルを間に挾み向かい合って座っている。

「ーーまずは、報告からです。帝國とクルセーダーズに接點がありました。ヴィル・クランチェです。彼が裏でってます」

「ああ、これに関しては報がってるよ。勇騎士の稱號を與えた事により魔法省や世界議會への出席、全ての國への渡航も許可されてしまいやりたい放題だな」

「はい。更にゾロアスター教と新聖教が共謀しているとの報があります。この二つが手を組むと厄介です」

「ゾロアスター教か・・・規模は小さいもののあの天才魔道士が創った団だからな」

「クリスチャン・ローゼンクロイツですね。元円卓の魔道士で稀代の天才」

結社アルファのメイザースよりも上だと噂されていたが突然の失蹤、そしてゾロアスター教を創り上げた謎の行

「ーーそれなんですが、ローゼンクロイツの行とヴィルの行にはある共通點があります」

「ある共通點?」

腕を組みながら顎あごに手を添えた。

「魔道書グリモワールってご存知ですか?」

斷の書と言われているだろ?迷信じゃないのか?」

「いいえ、実際に僕も見た訳ではないのですが神の鉄槌の件はご存知ですよね?あれは帝國にグリモワール所持者がいて行われたものらしいです」

「國を一撃で破壊する威力の魔法が存在するとーー」

レーベンハートは眉を真ん中に寄せて顔をしかめた。

「はい。グリモワールは數こそ把握されていませんが一冊ではなく他にも數冊あると噂されています。その一冊が実はクリスタルパレスにもあったとなると・・・」

「クリスタルパレスの魔狩りは魔を殺すことが目的ではなくグリモワールを奪うのが目的だったと言うことか」

「魔狩りという名は後からのこじ付けでグリモワールを奪われないようにクリスタルパレスの魔達が必死にグリモワールを守って亡くなったのでは?」

「ーーーー」

「実際、僕は現場に行きましたがクリスタルの塔のまわりに以上な數のがありました。必死に塔を守っていたんだと思います。彼たちにとってグリモワールは【神からの贈り】として祭られていたのだと思います」

「ーーーー」

「クリスタルパレスを襲撃していたのは帝國兵や帝國騎士団ではなく新聖教団クルセーダーズでした。そしてそれを指揮していたのはヴィル・クランチェです。彼は始めからグリモワールを手にれるのが目的でクリスタルパレスを襲撃したのだと思います」

「全てが奴の計畫通り・・・か」

レーベンハートは腕を組んだまま天井を見上げ口を真一文字に結んだ。

「はい。そしてそれと同じ時期にローゼンクロイツの失蹤事件がありゾロアスター教が誕生しました。ゾロアスター教は表向きは呪やなどの研究が目的として活結社アルファの敵対勢力として世間を騒がせていますが実際グリモワールを手にれるのが目的で作られた団だと思います」

「なるほとな」

「共通の目的が同じ二つの教団が手を組むのは當然だと思います」

「ヴィル・クランチェとクリスチャン・ローゼンクロイツが手を組んだら厄介だぞ」

「もしそうなれば、誰も止めることは出來ないと思いますね」

「彼らの手にグリモワールはあるのか?」

「帝國に一冊ありますが実際に扱えるのは一人だけです。誰でも扱える品ではないようです。クリスタルパレスのグリモワールが行方不明になっていますがヴィルの手にあるのかは分かりません」

「この件に関しては調査部隊を作り捜査しよう。他に何か話があるのだろ?」

「はい、エレナについてです。彼は魔狩り以前の記憶が一切ありません」

「それは本當か?」

「はい。自分の名前だけは何とか思い出せたのですがそれ以外は未だに」

「魔狩りで心や神的に強いダメージをけてしまったのだろうな。何て可哀想なことに」

「彼には姉はいることがナタリアの報により分かりました。きっと顔を見たり一緒に過ごすうちに思い出すと思うんです。そして姉と一緒にこれから先は暮らして行ってほしいと思います」

「ーーっていうことは彼の姉は生きていると?」

「はい。何度も目撃報があり最新の報だと 円卓の魔道士に推薦されたと聞きました。ただどこを拠點に活しているのかまでは摑めていないのです」

「そこまで報があればすぐに見つかるな」

「はい」

レーベンハートは椅子の背もたれに寄りかかり大きなため息を吐いた。

「ケイト、あの日本當は何があったんだ。君とエレナの間に何があるのだ?」

ケイトは苦笑いを浮かべボサボサの頭を掻きながら、

「これってまだ彼にも話してないんですよね。呼んで來ていいですか?」

ケイトは席を立つと「參ったなあ」と呟きながら部屋の外に出て行ったーー。

レーベンハートはケイトの出て行った扉を見ながら再びため息を吐いた。

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