《三人の霊と俺の契約事》魔狩り②
「國王様、大変です。國王様ああああ」
「騒がしいぞ、何事だ」
シーサーの前にアヴァロン騎士団の兵士が息を切らしながらノックも無しにって來た。
「クリスタル、はあ、はあ、パレスが何者かに襲撃をけていると連絡がりました」
兵士は息を切らしながら必死の形相で喋る。
「それは誠か?誰が通信をけ取った?」
「メイザース様が、親のあるクリスタルパレスの友人から水晶での通信で分かったそうです」
「ーー直ぐにクリスタルパレスに向かうぞ!」
シーサーは玉座から立つと、
「待ちなさい、行ってどうするつもり?」
マーリンがシーサーを制止する。
「メリュジーナを助けに行く!」
「もう間に合わないわよ。私には分かるわ」
マーリンには未來が見える千里眼の特殊能力がある。彼はこの先起こることがすでに見えているような口ぶりだった。
「お前に分かるとか分からないとか関係ない。今行かなきゃ俺は一生後悔する。そして、今まであいつに會わなかった自分を一生許せない気がするんだ」
Advertisement
「シーサー・・・あなたまだあの子のことを」
「當たり前だろ。俺のした最後のはメリュジーナだ」
シーサーはマーリンに背を向けアヴァロン騎士団のマントを羽織った。
「マーリン、留守を頼む」
「ええ、任せて」
( し嫉妬しちゃうわよ。私のことは眼中にないのか・・・)
☆
「ーーシーサー様、準備は出來ております!」
「よし!行くぞ。クリスタルパレスまではそう時間はかからない。飛ばすぞ」
シーサーは、白銀の剣を天に翳したかざした。それに合わせてアヴァロン魔法騎士団は一斉にアヴァロンからクリスタルパレスに向かい出発した。
アヴァロンとクリスタルパレスはそう離れてはおらず通常、馬車で二時間程で著く距離である。
シーサーとアヴァロン魔法騎士団は猛スピードでクリスタルパレスへと駆けて行く。
「ん?何だあの軍勢は。敵襲か?」
クリスタルパレスの國境付近でシーサーと魔法騎士団は馬のスピードを緩めた。
「これより先は誰であろうと通す訳には行かん。これはアストリア帝國ハロルドの命令である」
Advertisement
クリスタルパレスの式典の護衛にあたっている部隊長のトーマス・ガルフォードがぶ。
「なっ、帝國だと?クリスタルパレスの護衛になぜ帝國が、マーリンが許可したのか?」
困するシーサー。それもそのはずクリスタルパレスもアヴァロン管轄下で護衛の依頼などは全てシーサーを通すのが義理である。無許可でクリスタルパレスの護衛などあり得ないのである。
「私は、シーサー・ペンドラゴン。アヴァロン王國の國王である。我が姉妹國、クリスタルパレスが急事態だと連絡がった。『悪魔祓い』での義理もある、そこを通してもらう」
シーサーはそう言うと魔法騎士団にまた馬を走らせるよう命じる。ーーしかし、
シーサーの言葉に帝國騎士団たちは笑みを浮かべている。
「ストップだ!!ここは通す訳には行かない」
帝國騎士団たちは再びアヴァロン魔法騎士団を足止めする。
「貴様らどう言うつもりだ?」
明らかに苛立ちを見せるシーサー。
「四方八方に私たち帝國騎士団がこのように護衛している。萬が一でもクリスタルパレスに敵の襲撃などあり得ない」
トーマスは笑顔でシーサーを説得する。
ーーが、
「何を寢ぼけてやがる!実際こっちは連絡がった確かな報だ!急がねば取り返しのつかない事になる」
シーサーがトーマスを振り払おうとするが、
「まあ、待て。ーーおい、水晶でヴィルに連絡をれてみてくれ」
「はっ!」
シーサーの気持ちは焦るばかりで苛立ちはピークに達していた。
「ーーまだか!!」
トーマスに帝國騎士団員が何事かを耳打ちする。そしてシーサーの前に再びトーマスが現れ笑顔で、
「特に異変はないそうだ。お引き取り願おう」
「ーーふざけるな!!貴様ら帝國軍が何を言おうと俺はこの目で実際に自分で確かめるまで認めないぞ」
「ほお、余り聞き分けが分からん奴は例え一國の王であろうがなんであろうと躾が必要らしいな」
トーマスの顔つきが変わり腰に挿してある剣に手を置いた。
「ランスロットぉぉぉっ!」
シーサーが大聲でぶと同時に馬を走らせる。
トーマスがシーサーに斬りかかる。
その間にランスロットがトーマスの剣を回避する。
「ーーしまった。追え追えぇぇぇぇ」
トーマスが帝國騎士団員に命令するが他の帝國騎士団員もすでにアヴァロン魔法騎士団と戦中だった。
「シーサー様、ご武運をーー」
シーサーはただ一人馬を走らせクリスタルパレスに向かった。
☆
クリスタルパレスに薔薇十字軍を送り込み魔法攻撃を仕掛けているヴィルにトーマス部隊より水晶による信がる。
「ヴィル様、トーマス部隊より通信です」
ヴィルは表を変えずに言われるがまま水晶をけ取る。
「私だ。要件は?」
ヴィルにアヴァロン騎士団がクリスタルパレスに異変があると言いがかりをつけ攻め込んで來たと伝えられる。
「ーーなるほど、そんなことあるはずが無いと伝えろ。こちらは至って平穏だ」
ヴィルは通信を遮斷した。そして不敵な笑みを浮かべ、
「こちらは至って平穏だよ。ハハハハ」
ヴィルの視線に映るのは瓦礫と化すクリスタルパレスの街と死にゆく人々の姿だった。
ー 全て予定通りだよ ー
☆
「・・・退屈っスね」
「これも仕事だからな」
「誰も來ないっスね」
ケイトとロッシは退屈そうにボーッと立っている。それは他の騎士団員も同じようにあくびをしたりしている。
「アヴァロン王國には行く人は多いがクリスタルパレスに用がある人ってのはないからな」
「そうですよね」
何気無くロッシは後方を振り返ってみた。
「ん?」と、目を凝らすロッシ。
クリスタルパレスから無數の白煙が上がっているのが見えた。
「ケイトさん、あれって何すかね?」
ロッシの指指す方向にケイトも視線を移す。
「式典の催しもようしとかだろ?盛大に今頃やってんだよ」
ケイトは髪のを掻きながら空を見上げる。
鳥に紛れエレメンタラーが大量に飛び立って行くのが見える。
「・・・どこから?白煙?」
ケイトの背筋に冷たいものが走った。
「ロッシ、クリスタルパレスに偵察に行くぞ」
その言葉に目を丸くし驚いたロッシ。
「持ち場を絶対離れるなとハロルド王やトーマス隊長が言ってましたよ。大丈夫なんですか?」
「何事も無ければそれが一番良いんだ。俺の目で確かめたい事がある。もしそれでお前らが責任を取らされることがあるなら全て俺のせいにしろ!」
ケイトは、ロッシの他に二名部下を引き連れクリスタルパレスに向かって馬を走らせた。
ケイトは嫌なさわぎがしてならなかった。
☆
燃えさかる木々と建、瓦礫の山と死の山、真っ赤に染まるの道。
シーサーが永い年月をかけて創り上げた王國は無慘にも消えていた。
「ーーなんて事だ。ああ、夢なら覚めてくれ」
シーサーはその場に崩れ落ちた。涙を流しても足りず、辺りを見回すがそこにはただ死だけが転がっていた。
それはクリスタルパレスの住民だけでなく帝國騎士団の死も多くあった。
ヴィルは、最初に帝國騎士団のヴィル部隊をクリスタルパレスに送り込みクリスタルパレスの住民などを無差別に慘殺した後に薔薇十字軍により味方ごと一緒に魔法の閃の雨を降らせたのだった。
シーサーは、この事実を知り帝國への復習を誓った。
「メリュジーナは?メリュジーナはどこだ?」
クリスタルの塔があったであろう付近には折り重なるように大量の死があった。
それを見たシーサーからはもう涙ではなくを流していた。
「皆、王と姫を守るために・・・」
シーサーは一つ一つ時間をかけて死を移させていくーー。
メリュジーナは、人間の姿で小さな子供のピクシーや妖たちと一緒に殺されていた。
「めりゅじぃぃなあぁぁぁぁァァァァァァ」
冷たくなったした妻を抱いてシーサーはいつまでも自分を責め続けた。
國を大きくすること、國民を守ることが自分の使命だと決めつけて自分のことは後まわしにしていた。
する妻は、霊を棄て人間になって自分をことを待っていた。
もしも彼が霊だったらこのピクシーの子供や霊の子供を救えていたかもしれない。全て、自分が彼を不安にさせたのが原因だ。
「メリュジーナ、俺のために・・・君が人間じゃなくても俺はしていたんだよ。いつでも會えると甘えていたんだ。本當にごめんな」
冷たくなった彼を抱えシーサーはクリスタルパレスを去って行った。
シーサーが再び國境付近に著いた時には帝國騎士団の姿はなく、國王の帰りを待つ傷ついたアヴァロン魔法騎士団が待っていた。
ーー 國王様、王妃様お帰りなさい ーー
【書籍化】天才錬金術師は気ままに旅する~世界最高の元宮廷錬金術師はポーション技術の衰退した未來に目覚め、無自覚に人助けをしていたら、いつの間にか聖女さま扱いされていた件
※書籍化が決まりました! ありがとうございます! 宮廷錬金術師として働く少女セイ・ファート。 彼女は最年少で宮廷入りした期待の新人。 世界最高の錬金術師を師匠に持ち、若くして最高峰の技術と知識を持った彼女の將來は、明るいはずだった。 しかし5年経った現在、彼女は激務に追われ、上司からいびられ、殘業の日々を送っていた。 そんなある日、王都をモンスターの群れが襲う。 セイは自分の隠し工房に逃げ込むが、なかなかモンスターは去って行かない。 食糧も盡きようとしていたので、セイは薬で仮死狀態となる。 そして次に目覚めると、セイは500年後の未來に転生していた。王都はすでに滅んでおり、自分を知るものは誰もいない狀態。 「これでもう殘業とはおさらばよ! あたしは自由に旅をする!」 自由を手に入れたセイはのんびりと、未來の世界を観光することになる。 だが彼女は知らない。この世界ではポーション技術が衰退していることを。自分の作る下級ポーションですら、超希少であることを。 セイは旅をしていくうちに、【聖女様】として噂になっていくのだが、彼女は全く気づかないのだった。
8 172悪魔の証明 R2
キャッチコピー:そして、小説最終ページ。想像もしなかった謎があなたの前で明かされる。 近未來。吹き荒れるテロにより飛行機への搭乗は富裕層に制限され、鉄橋が海を越え國家間に張り巡らされている時代。テロに絡み、日本政府、ラインハルト社私設警察、超常現象研究所、テロ組織ARK、トゥルーマン教団、様々な思惑が絡み合い、事態は思いもよらぬ展開へと誘われる。 謎が謎を呼ぶ群像活劇、全96話(元ナンバリンング換算、若干の前後有り) ※77話アップ前は、トリックを最大限生かすため34話以降76話以前の話の順番を入れ変える可能性があります。 また、完結時後書きとして、トリック解説を予定しております。 是非完結までお付き合いください。
8 87【書籍化】え、神絵師を追い出すんですか? ~理不盡に追放されたデザイナー、同期と一緒に神ゲーづくりに挑まんとす。プロデューサーに気に入られたので、戻ってきてと頼まれても、もう遅い!~
【書籍版発売中!】 富士見L文庫さまから2022年1月15日に書籍化されています!! ========== 【あらすじ】 「仕事が遅いだけなのに殘業代で稼ごうとするな! お前はクビだ。出ていけ夜住 彩!」 大手ゲーム開発會社のデザイナーとしてデスマーチな現場を支えていたのに、無理解な無能上司のせいで彩はチームを追放され、自主退職に追いやるための『追い出し部屋』へと異動させられる。 途方に暮れる彩だったが、仲のいい同期と意気投合し、オリジナルのゲーム企畫を作ることにする。無能な上司の企畫にぶつけ、五億の予算をぶんどるのだ。 彩を追放した上司たちは何も分かっていなかった。 ――優秀すぎる彩にチームは支えられていたことを。 ――そして彩自身が、実は超人気の有名神絵師だったことを。 彼女を追放した古巣は瞬く間に崩壊していくが、デスマーチから解放された彩は華やかな表舞臺を駆け上っていく。 夜住 彩の快進撃はもう止められない――。 ※ほかの投稿サイトでも公開しています。
8 109りんご
とある先輩と後輩と林檎の話
8 85あなたの未來を許さない
『文字通り能力【何も無し】。想いと覚悟だけを武器に、彼女は異能力者に挑む』 運動も勉強も、人間関係も、ダメ。根暗な女子高生、御堂小夜子。彼女はある晩、27世紀の未來人から大學授業の教材として【対戦者】に選ばれる。殺し合いのために特殊な力が與えられるはずであったが、小夜子に與えられた能力は、無効化でも消去能力でもなく本當に【何も無し】。 能力者相手に抗う術など無く、一日でも長く生き延びるためだけに足掻く小夜子。だがある夜を境に、彼女は対戦者と戦う決意をするのであった。 ただ一人を除いた、自らを含む全ての対戦者を殺すために。 跳躍、打撃、裝甲、加速、召喚、分解、光刃といった特殊能力を與えられた対戦者達に対し、何の力も持たない小夜子が、持てる知恵と覚悟を振り絞り死闘を繰り広げる。 彼女の想いと狂気の行き著く先には、一體何が待っているのだろうか。 ※小説家になろう、の方で挿絵(illust:jimao様)計畫が順次進行中です。宜しければそちらも御覧下さい。 https://ncode.syosetu.com/n0100dm/
8 183転生王子は何をする?
女性に全く縁がなく、とある趣味をこじらせた主人公。そんな彼は転生し、いったい何を成すのだろうか? ただ今連載中の、『外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜』も併せて、よろしくお願いします。
8 128