《三人の霊と俺の契約事》魔狩り③
シーサーがクリスタルパレスを訪れる數時間前。
「ーーどうなってるんだ?」
今まさにそこは地獄へと変わろうとしている最中だった。
逃げう、子供、霊、エルフお構いなしに無差別に魔法の閃が降り注いでいた。
無抵抗の様々な人種の人達が無殘にも倒れていった。彼たちはどこへ逃げて良いのか分からずただ建影や木の下などにうずくまり震えている。そこへ更に魔法の閃が無數の雨のように降り注ぎ建を破壊し木々をなぎ倒し、彼たちはその下敷きになりかなくなっていた。
「あっ、ーーーー」
言葉が出ずに立ち盡くしているケイト。彼たちはケイトの姿を見ると怯えて走り出す。
ケイトが立っている場所から見えるだけでも數え切れない數の人間が倒れている。
「部隊長ケイトさんこれは一?何でこんなに」
ケイトと一緒に駆けつけた數名の騎士団員と若き日のロッシ・ロレッサは困していた。何故ならクリスタルパレスを護衛していた筈なのに國は襲撃されていたのだ。
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東西南北に別れて護衛していたのだからどこかが例え突破されたのなら報せが必ずる筈なのにそれがなかった。
ならどこから?ーーいや、考えている暇は無い。
ケイトは剣を構えクリスタルの塔を取り囲む敵に斬りかかる。
「ロッシ俺に続け!殘りはこの事を他部隊に伝えろ!」
「はっ!」
ケイトの命令により一斉に散る騎士団員。
ケイトの常人離れしたきの速さと剣を鋭さにバタバタと敵は倒れて行く。
「ケイトさん、敵って?」
「ああ、新聖教団だな」
クリスタルパレスを襲撃したのは新聖教クルセーダーズ。その中でも薔薇十字軍と呼ばれる集団が魔法を使い襲いかかる。
「ロッシ気を付けろよ。相手は魔法を使ってくる。相手の魔法を使ってくるタイミングで一気に距離を詰めるんだ」
「了解っス!」
ケイトとロッシは鬼神の如く倒してまわりクリスタルの塔の敵をほぼ壊滅させた。
☆
「ヴィル様、ご報告があります。邪魔がりました」
「邪魔、どういうことだ?」
「ケイト・ローレントがこの事に気づいたのかクルセーダーズを一網打盡にしています」
「ケイトかーー相変わらず目障りな奴だ。あまり気は進まないが仕方ないプランを変更しよう」
「ーーでは、良いのですか?」
「ああ、塔を破壊しろ」
「仰せのままに」
☆
「靜かになりましたね?」
「ああ、今のうちに救出にあたろう。塔の中にまだ取り殘された人がいるかもしれない」
ケイトとロッシが塔の扉に手をかけた時、
凄まじい閃と音が塔を襲った。
記憶が途絶えたーー痛む腕と頭。
何があった?
音がして?
ケイトは我に返り目を覚ますとそこにはただ瓦礫と死があちらこちらに転がっているだけで目を開けるのも痛くなるほどの無慘な景がそこにはあった。
ケイトは何があったのか必死で思い出そうとした。
「塔の扉に手をかけた時・・・影?」
ケイトとロッシが塔の扉を開けようとしていた時、確かに空には一つの影があった。
その影は、一瞬天使のようにも鳥のようにも見えるが片羽しかない。
そのシルエットはしく一目見れば見惚れてしまう程だ。
人々は彼の事をこう呼ぶーー、
『片羽の墮天使 ルシファー』
天使でありながら悪魔に手を染めた代償に片羽をもぎ取られたと伝えられている。
未だその魔力は健在で悪魔族最強と言われている。そんな高貴な悪魔が人間に無償で手を貸す訳がない。彼等は必ずその活躍に見合った代償を求めてくる。
「確かに頂いたぞ!我が名はルシファー、下等な醜い生き人間よ。自分の愚かさをしれ」
「嫌、嫌、お母さまああああぁぁぁぁ」
泣きぶエレナの聲。
「え、エレナ?」
その聲で気づくリリス。しかし、崩れた塔の瓦礫に挾まれきが取れない。
空中に浮かぶルシファーの腕の中には王がいた。
「純魔の王のはさぞ味いのだろうな」
ルシファーは舌を出しを舐め回した。
「お母さま、お母さまああああ」
エレナは必死に瓦礫から這い出てルシファーのいる場所まで駆け寄る。
「ほお、魔の娘か。こちらも味そうだな」
ルシファーはニヤリと笑みを浮かべてエレナを見つめる。
「ダメだ。こっちへ」
ケイトはエレナの手を引きその場を離れる。
「ヤダ、ヤダ離してよお。お母さま、お母さまああああぁぁぁぁ」
「はははは、懸命だな。人間とは実に面白い。逃げられると思うのか?」
ルシファーは右手に魔力を集めケイトに向けて魔法を放つーー。
ケイトはエレナの前に立ち魔法を切り裂く。
「なっーー!?」
ケイトの特異能力、『アンチ魔法』。
ありとあらゆる魔法を無効化する能力。
回復魔法も無効化されてしまうという欠點もある。
「今のうちに早く!」
「嫌、離してーーあっ」
ケイトの手を振り払ったエレナはバランスを崩し地面に倒れ込むとそのままエレナは気絶してしまった。
『どうか娘を宜しくお願いします』
脳裏に直接誰かが喋りかけてくる。
「この子は必ず僕が守ります。この命に代えても」
ケイトはエレナを抱き抱えクリスタルパレスを出した。
その後、駆けつけた帝國騎士団によりクリスタルパレスの騒は収まった。
帝國騎士団が來る頃にはルシファーの姿は無く、クルセーダーズも退散した後だった。
そして、エレナの姉リリスの姿も消えていた。
☆ ☆ ☆
「これが俺が験した全てだ」
「片羽の墮天使ルシファーだと・・・」
「間違いないと思います。もうこの時すでにヴィルはゾロアスター教と手を組んでいたのだと考えられます」
「ーーでは、ルシファーを召喚したのは」
「はい。クリスチャン・ローゼンクロイツしかいないと思います」
レーベンハートはケイトの話をひと通り聞き終えたのか席から立ち上がるとケイトの肩をポンと叩き部屋から出て行った。
ケイトは、頭を掻きながらエレナの顔を見た。エレナはわなわなと肩を震わせている。
「エレナ何か思い出したのか?」
「分からない、分からないけど何かその話の場面を知っている気がする」
エレナは魔狩りの時に倒れ気絶した際に記憶喪失になった。
「エレナ様思い出したのですか?」
ナタリアはエレナの顔を覗き込んむ。
「分からない、分からないよ。頭が痛い」
エレナはテーブルに両肘を付いて頭を抱えた。
「エレナ、無理に思い出さなくてもいいんだよ」
「嫌よ。みんな知ってるのに私だけ知らない。お姉ちゃんの顔もお母さんの顔も友達も何もかも私だけ覚えてない何てやだよ」
「エレナ・・・」
いつも僕の事を考えてくれてた。
彼はずっと記憶のない事に苦しんでたんだ。
自分の名前以外何も覚えてない狀態で三年も過ごしてきたんだ。なぜ僕は彼の事を気遣ってあげなかったんだろう。
ずっとそばに居たのに誰よりも彼は近くにいたのに・・・。
「エレナ、ごめん」
「えっ?何でケイトが謝るの」
「いや、その・・・」
ケイトが頭を掻きながらあさってを向くと、
「それよりも私のお姉ちゃんのことやお母さんのこともっと教えてよ」
エレナはを乗り出しケイトに顔を近づける。
「ああ、それなら僕よりもナタリアに聞きな。僕はエレナのことを知っているようで何も知らないんだ」
ケイトは下を向きを噛んだ。
「私もケイトのことを全て知らないよ。それは同じことでしょ。これからいっぱい知っていけばいいんだよ」
「エレナーー」
ナタリアはニコッと微笑み。
「ーーでは、まず私とエレナ様の出會いからお話しましょうか」
三人はいつまでも話をしていたエレナの失った記憶を辿るように。
レーベンハートは部屋のドアの前に立ち、煙草に火をつけて一口吸った。
真実の愛を見つけたと言われて婚約破棄されたので、復縁を迫られても今さらもう遅いです!【書籍化・コミカライズ連載中】
【雙葉社様より2022年8月10日小説3巻発売】 番外編「メルティと貓じゃらし」以外は全編書き下ろしです。 【コミカライズ連載中】 コミックス1巻発売中 漫畫・橘皆無先生 アプリ「マンガがうがう」 ウェブ「がうがうモンスター」 ある日突然マリアベルは「真実の愛を見つけた」という婚約者のエドワードから婚約破棄されてしまう。 新しい婚約者のアネットは平民で、マリアベルにはない魅力を持っていた。 だがアネットの王太子妃教育は進まず、マリアベルは教育係を頼まれる。 「君は誰よりも完璧な淑女だから」 そう言って微笑むエドワードに悪気はない。ただ人の気持ちに鈍感なだけだ。 教育係を斷った後、マリアベルには別の縁談が持ち上がる。 だがそれを知ったエドワードがなぜか復縁を迫ってきて……。 「真実の愛を見つけたと言われて婚約破棄されたので、復縁を迫られても今さらもう遅いです!」 【日間総合ランキング・1位】2020年10/26~10/31 【週間総合ランキング・1位】2020年10/29 【月間総合ランキング・1位】2020年11/19 【異世界(戀愛)四半期ランキング・1位】2020年11/19 【総合年間完結済ランキング・1位】2021年2/25~5/29 応援ありがとうございます。
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8 127ニジノタビビト ―虹をつくる記憶喪失の旅人と翡翠の渦に巻き込まれた青年―
第七五六系、恒星シタールタを中心に公転している《惑星メカニカ》。 この星で生まれ育った青年キラはあるとき、《翡翠の渦》という発生原因不明の事故に巻き込まれて知らない星に飛ばされてしまう。 キラは飛ばされてしまった星で、虹をつくりながらある目的のために宇宙を巡る旅しているという記憶喪失のニジノタビビトに出會う。 ニジノタビビトは人が住む星々を巡って、えも言われぬ感情を抱える人々や、大きな思いを抱く人たちの協力のもと感情の具現化を行い、七つのカケラを生成して虹をつくっていた。 しかし、感情の具現化という技術は過去の出來事から禁術のような扱いを受けているものだった。 ニジノタビビトは自分が誰であるのかを知らない。 ニジノタビビトは自分がどうしてカケラを集めて虹をつくっているのかを知らない。 ニジノタビビトは虹をつくる方法と、虹をつくることでしか自分を知れないことだけを知っている。 記憶喪失であるニジノタビビトは名前すら思い出せずに「虹つくること」に関するだけを覚えている。ニジノタビビトはつくった虹を見るたびに何かが分かりそうで、何かの景色が見えそうで、それでも思い出せないもどかしさを抱えたままずっと旅を続けている。 これは一人ぼっちのニジノタビビトが、キラという青年と出會い、共に旅をするお話。 ※カクヨム様でも投稿しております。
8 177彼女たちを守るために俺は死ぬことにした
約200日後に死ぬ俺。業界初!…かは知らないけどリアルタイム小説! 5月19日以降、 物語はリアルタイムで進みます。 ┛┛┛ のんべんだらりと生きる高校2年男子、 小鳥遊知実(たかなし ともみ)。 ある日突然、頭痛で倒れ、 病院で目覚めたとき 半年の余命か 今までの記憶がなくなる可能性の高い大手術か 選択を迫られることになる。 そんな狀態にも関わらず、 無情にも知実の學校生活は穏やかではなかった。 1⃣全校生徒をまとめきれないワンマン文化祭実行委員長。 2⃣學校の裏山を爆破しようと計畫している馬鹿女。 3⃣ロボみたいなイエスマンの心を閉じた優等生のご令嬢。 4⃣人生を全力で寄りかかってくる俺依存の幼なじみ。 5⃣諦めていた青春を手伝う約束をした貧乏貧乏転校生。 おせっかいと言われても 彼女たちを放っておくことが どうしてもできなくて。 ……放っておいてくれなくて。 そんな知実が選んだ道は。 悲しくて、あたたかい 友情の物語。 ※病気は架空のものです。 ※第6部まであります。 ┛┛┛ エブリスタ・ノベルバ同時公開。 ノベルバは時間指定でリアタイ更新です。 16時一気読みしたい人はエブリスタで。 (長すぎる日は16時と20時に分けます) リアタイ感をより味わいたい人はこちらで。
8 101召喚チート付きで異世界に飛ばされたので、とりあえず俺を転移させた女神さまを召喚することにしました
MMORPGのつもりで設定したステータスを持って、相馬(そうま) 徹(とおる)は召喚士として異世界に転移した。女神さまから與えられたのは、ただひたすら召喚――つまりガチャを回すことに特化したチートだった。ソーマは召喚チートを駆使し、この世界で成り上がっていく。これは一人の少年が、魔王を倒し勇者に至るまでを描いた物語。※こちらの作品はまったり進行でお送りいたします。 この作品は『小説家になろう』様でも掲載しています。
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