《三人の霊と俺の契約事狩り③

シーサーがクリスタルパレスを訪れる數時間前。

「ーーどうなってるんだ?」

今まさにそこは地獄へと変わろうとしている最中だった。

逃げ、子供、霊、エルフお構いなしに無差別に魔法の閃が降り注いでいた。

無抵抗の様々な人種の人達が無殘にも倒れていった。彼たちはどこへ逃げて良いのか分からずただ建影や木の下などにうずくまり震えている。そこへ更に魔法の閃が無數の雨のように降り注ぎ建を破壊し木々をなぎ倒し、彼たちはその下敷きになりかなくなっていた。

「あっ、ーーーー」

言葉が出ずに立ち盡くしているケイト。彼たちはケイトの姿を見ると怯えて走り出す。

ケイトが立っている場所から見えるだけでも數え切れない數の人間が倒れている。

「部隊長ケイトさんこれは一?何でこんなに」

ケイトと一緒に駆けつけた數名の騎士団員と若き日のロッシ・ロレッサは困していた。何故ならクリスタルパレスを護衛していた筈なのに國は襲撃されていたのだ。

Advertisement

東西南北に別れて護衛していたのだからどこかが例え突破されたのなら報せが必ずる筈なのにそれがなかった。

ならどこから?ーーいや、考えている暇は無い。

ケイトは剣を構えクリスタルの塔を取り囲む敵に斬りかかる。

「ロッシ俺に続け!殘りはこの事を他部隊に伝えろ!」

「はっ!」

ケイトの命令により一斉に散る騎士団員。

ケイトの常人離れしたきの速さと剣を鋭さにバタバタと敵は倒れて行く。

「ケイトさん、敵って?」

「ああ、新聖教団だな」

クリスタルパレスを襲撃したのは新聖教クルセーダーズ。その中でも薔薇十字軍と呼ばれる集団が魔法を使い襲いかかる。

「ロッシ気を付けろよ。相手は魔法を使ってくる。相手の魔法を使ってくるタイミングで一気に距離を詰めるんだ」

「了解っス!」

ケイトとロッシは鬼神の如く倒してまわりクリスタルの塔の敵をほぼ壊滅させた。

「ヴィル様、ご報告があります。邪魔がりました」

「邪魔、どういうことだ?」

「ケイト・ローレントがこの事に気づいたのかクルセーダーズを一網打盡にしています」

「ケイトかーー相変わらず目障りな奴だ。あまり気は進まないが仕方ないプランを変更しよう」

「ーーでは、良いのですか?」

「ああ、塔を破壊しろ」

「仰せのままに」

「靜かになりましたね?」

「ああ、今のうちに救出にあたろう。塔の中にまだ取り殘された人がいるかもしれない」

ケイトとロッシが塔の扉に手をかけた時、

凄まじい閃音が塔を襲った。

記憶が途絶えたーー痛む腕と頭。

何があった?

音がして?

ケイトは我に返り目を覚ますとそこにはただ瓦礫と死があちらこちらに転がっているだけで目を開けるのも痛くなるほどの無慘な景がそこにはあった。

ケイトは何があったのか必死で思い出そうとした。

「塔の扉に手をかけた時・・・影?」

ケイトとロッシが塔の扉を開けようとしていた時、確かに空には一つの影があった。

その影は、一瞬天使のようにも鳥のようにも見えるが片羽しかない。

そのシルエットはしく一目見れば見惚れてしまう程だ。

人々は彼の事をこう呼ぶーー、

『片羽の墮天使 ルシファー』

天使でありながら悪魔に手を染めた代償に片羽をもぎ取られたと伝えられている。

未だその魔力は健在で悪魔族最強と言われている。そんな高貴な悪魔が人間に無償で手を貸す訳がない。彼等は必ずその活躍に見合った代償を求めてくる。

「確かに頂いたぞ!我が名はルシファー、下等な醜い生き人間よ。自分の愚かさをしれ」

「嫌、嫌、お母さまああああぁぁぁぁ」

泣きぶエレナの聲。

「え、エレナ?」

その聲で気づくリリス。しかし、崩れた塔の瓦礫に挾まれきが取れない。

空中に浮かぶルシファーの腕の中には王がいた。

「純王のはさぞ味いのだろうな」

ルシファーは舌を出しを舐め回した。

「お母さま、お母さまああああ」

エレナは必死に瓦礫から這い出てルシファーのいる場所まで駆け寄る。

「ほお、魔の娘か。こちらも味そうだな」

ルシファーはニヤリと笑みを浮かべてエレナを見つめる。

「ダメだ。こっちへ」

ケイトはエレナの手を引きその場を離れる。

「ヤダ、ヤダ離してよお。お母さま、お母さまああああぁぁぁぁ」

「はははは、懸命だな。人間とは実に面白い。逃げられると思うのか?」

ルシファーは右手に魔力を集めケイトに向けて魔法を放つーー。

ケイトはエレナの前に立ち魔法を切り裂く。

「なっーー!?」

ケイトの特異能力、『アンチ魔法』。

ありとあらゆる魔法を無効化する能力。

回復魔法も無効化されてしまうという欠點もある。

「今のうちに早く!」

「嫌、離してーーあっ」

ケイトの手を振り払ったエレナはバランスを崩し地面に倒れ込むとそのままエレナは気絶してしまった。

『どうか娘を宜しくお願いします』

脳裏に直接誰かが喋りかけてくる。

「この子は必ず僕が守ります。この命に代えても」

ケイトはエレナを抱き抱えクリスタルパレスを出した。

その後、駆けつけた帝國騎士団によりクリスタルパレスの騒は収まった。

帝國騎士団が來る頃にはルシファーの姿は無く、クルセーダーズも退散した後だった。

そして、エレナの姉リリスの姿も消えていた。

☆ ☆ ☆

「これが俺が験した全てだ」

「片羽の墮天使ルシファーだと・・・」

「間違いないと思います。もうこの時すでにヴィルはゾロアスター教と手を組んでいたのだと考えられます」

「ーーでは、ルシファーを召喚したのは」

「はい。クリスチャン・ローゼンクロイツしかいないと思います」

レーベンハートはケイトの話をひと通り聞き終えたのか席から立ち上がるとケイトの肩をポンと叩き部屋から出て行った。

ケイトは、頭を掻きながらエレナの顔を見た。エレナはわなわなと肩を震わせている。

「エレナ何か思い出したのか?」

「分からない、分からないけど何かその話の場面を知っている気がする」

エレナは魔狩りの時に倒れ気絶した際に記憶喪失になった。

「エレナ様思い出したのですか?」

ナタリアはエレナの顔を覗き込んむ。

「分からない、分からないよ。頭が痛い」

エレナはテーブルに両肘を付いて頭を抱えた。

「エレナ、無理に思い出さなくてもいいんだよ」

「嫌よ。みんな知ってるのに私だけ知らない。お姉ちゃんの顔もお母さんの顔も友達も何もかも私だけ覚えてない何てやだよ」

「エレナ・・・」

いつも僕の事を考えてくれてた。

はずっと記憶のない事に苦しんでたんだ。

自分の名前以外何も覚えてない狀態で三年も過ごしてきたんだ。なぜ僕は彼の事を気遣ってあげなかったんだろう。

ずっとそばに居たのに誰よりも彼は近くにいたのに・・・。

「エレナ、ごめん」

「えっ?何でケイトが謝るの」

「いや、その・・・」

ケイトが頭を掻きながらあさってを向くと、

「それよりも私のお姉ちゃんのことやお母さんのこともっと教えてよ」

エレナはを乗り出しケイトに顔を近づける。

「ああ、それなら僕よりもナタリアに聞きな。僕はエレナのことを知っているようで何も知らないんだ」

ケイトは下を向きを噛んだ。

「私もケイトのことを全て知らないよ。それは同じことでしょ。これからいっぱい知っていけばいいんだよ」

「エレナーー」

ナタリアはニコッと微笑み。

「ーーでは、まず私とエレナ様の出會いからお話しましょうか」

三人はいつまでも話をしていたエレナの失った記憶を辿るように。

レーベンハートは部屋のドアの前に立ち、煙草に火をつけて一口吸った。

    人が読んでいる<三人の精霊と俺の契約事情>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください