《三人の霊と俺の契約事》霊ミリア
「これは、これは勇騎士さんがわざわざこんなチンケなところにようこそ」
「ヴィル誰?」
「クリスチャン・ローゼンクロイツ。円卓の魔導師だよ」
『クリスチャン・ローゼンクロイツ』この名前を魔法が使える者なら一度は耳にした事があるに違いない。
稀代の天才と呼ばれ、円卓の魔道士にも選ばれた今世紀最高の魔道士だ。
數々の名だたる稱號を得てきたのにも関わらず突如として表舞臺から姿を消した。
その後、ゾロアスター教団を設立した。
ゾロアスター教は黒魔・・呪・悪魔召喚など一般的には止されている魔法を魔法省の許可なく使用しているが何のペナルティーもなく未だにゾロアスター教は活している。その背景には、ローゼンクロイツが世界財団との繋がりがあるということだ。実際、止魔法を無許可でおこなっても注意すらない事や円卓の魔道士が失蹤しても世界新聞社がかない事など不自然な點が多い。
ゾロアスター教も表向きは魔法研究などといい結社アルファに対抗しているが実際はどんな活をしているか不明である。
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そもそも、クリスチャン・ローゼンクロイツ自がどこで生まれどこで育ってきたのか不明なのである。
「ハハハ、元ですよ元。今はただのニートですよ」
「稀代の天才と呼ばれ、魔導師達に一目置かれた存在だったのに突如として表舞臺から姿を消したんだ」
「人との付き合いに疲れてしまいましてねえ。--ところでその子の契約は自己流です?」
ポケットから取り出した蟲眼鏡のようなでミリアを覗き込む。
「えっ?」
「ああ・・・」
「ふーん。なかなか大したもんですね、自己流にしては素晴らしい契約ですね。悪魔を手名付けるなんて普通では考えられないですねえ」
「ヴィルと私の契約って?」
「あら、説明してないんです? あなたが勇騎士さんに敵対心や反撃した瞬間にあなたはこの世から消滅します。その代わりにあなたの理や自我が保証されているのです。あなたのことを勇騎士さんは相當信頼しているということですね」
「ヴィルが私を--」
思いもよらぬ言葉にミリアはヴィルを見つめてた。自分のことをそんな風に思ってくれていたなんて全然知らなかった。
「ーーそれでこんなところまで來たのはなぜです? 勇騎士さんが大事そうに手に持っている危ないが気になりますが」
舌をぺろっと出してヴィルに反応を伺う。
「悪魔のの烙印らくいんを消す方法を教えてくれ」
ミリアは目を丸くした。
ローゼンクロイツはニヤリとまるで分かっていたような表を見せてた。
「ふふん、なるほどね。相當小悪魔ちゃんが気にってらっしゃるのね。私の依頼料は高いですよ」
いやらしい笑みを浮かべて人差し指を立てるローゼンクロイツ。
「分かっている。だからコレを持って來たんだ」
ローゼンクロイツはやはりといったじで口もとを緩める。
「開けてみて宜しいです?」
ヴィルは無言で頷くとミリアを自分の近くに引き寄せた。
「えっ、えっ、何ヴィル?」
「君には刺激が強すぎる僕の近くでを隠せ」
ローゼンクロイツは布に包まれたを開けると、
「六星の封印式にさらに朱ごしゅ印式の封・・・かなり厳重に封印しているのにこれだけの魔力がれ出している」
「グリモワールだ」
「--やはりそうですか。こんな素敵なもの頂いて宜しいのでしょうか?」
「僕には扱えない品なんでね。それよりもこの子の悪魔のの烙印を消して元の霊に戻してくれ」
「ククク、確かに依頼料頂きました。私にお任せ下さい、すぐに消してみせますよ」
「ヴィル・・・何で」
ミリアは嬉しくて嬉しくて決してもう元には戻れないと思っていたから。諦めていたから溢れ出す涙を止めることは出來なかった。
「僕のために働いて利用させてもらうだけだ。深い理由なんてない」
ヴィルは表を変えずに答えた。
「ーーところでこのグリモワールどこで?」
「ああ、ある國を攻めた時に見つけたんだ。余りにそこを必死で守っていたんでね、何かあるとは思っていたんだけど・・・」
「ほう、それはそれは」
「ーーそれに、グリモワールは帝國にもあるからね」
「ーーーー」
ローゼンクロイツは不敵な笑みを浮かべた。
「ーーでは、この魔法陣の上に立って」
床に複雑な紋様が描かれた魔法陣の上にミリアが乗った。
「これは呪の一種に値する魔法でね、他言無用でお願いしたいですね」
「ヴィ、ヴィル大丈夫かな?」
「腕だけは確かだ。心配するな」
「悪魔のの烙印を消す。霊を聖なるとしたら悪魔は邪悪な。それを聖なるだけに浄化すればいいのです」
ローゼンクロイツは呪文をぶつぶつと唱えながら両手を魔法陣に向かって構える。
「の巡りをさまよう悲しきものよ、歪みし哀れなる者よ。我の浄化の力持て、世界と世界を結ぶ道、歩みて永久に帰り行け」
ローゼンクロイツの両手が輝くと同時に魔法陣からの柱が現れミリアが包み込まれる。ミリアは目を閉じるーーの中から悪い気が抜けていくようにミリアの表が穏やかになっていく。
「クリアランス」
その言葉と共に、ミリアのが浮かび上がり眩いに包まれる。黒い闇のドレスから霊のメイド服に服裝が変化して行く。さらに、顔にも変化があった目の下のくまがなくなり青白いのは元の赤みがかったに変わった。
眩いが砕け散ると、目を開き霊に戻ったミリアが姿を現した。
「生まれ変わったような気分です」
「ククク、終了です。ご利用は計畫的に」
「謝する」
「ーーヴィル」
照れ臭そうにヴィルを見つめるミリア。
「・・・元に戻れて良かったな」
表を変えずに言うヴィルに、
「あの、その・・・契約してよ。その為に私を霊にしたんでしょ?」
「そうだったな」
ヴィルはミリアに歩み寄る。
「ヴィル・・・」
ふわふわ浮いてるミリアの口元にそっと顔を寄せるヴィル。
「ーーん、」
とがかなりミリアは再び輝く。
初めてのキス、こんなにドキドキしたの初めて。
ヴィルの前で一回転してスカートの両端の裾を両手で摘みあげた。
「ヴィル様、大地の霊ミリアです。あなたのことを一生守りいたします」
「ああ、宜しく頼むミリア」
「はい、ヴィル様」
ミリアは涙を流しながら満遍な笑顔をヴィルに見せた。
ミリアはこの日誓った。
この人に全てを捧げ、一生守り抜く事をそして一生することを。
ーーヴィルはなぜミリアに執著するのか?ー
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