《三人の霊と俺の契約事》父と母の出會い①
いつもなら、朝起きれば味しそうな匂いが立ち込めて臺所に行けば、母さんの忙しそうな姿がそこにはあって、元気に挨拶をしてくれた。
しかしーー今はその姿はない。
この家にいるのは、父さんと僕の二人だけだ。父さんは、母さんからの置き手紙を読むと、初めからこうなる事が分かっていたかのように母さんが居なくなった事を驚きもしなかった。
僕には、「母さんはしばらくの間帰らない」とだけ言った。
僕には、どこに行ったか大の検討がついた。毎日、母さんが仕切りに見つめていたあの山ーーエドナ山脈に行ったんだ。
そこに行けば、僕が竜であるが分かるかもしれない。
母さんが、隠しているも・・・。
☆
「父さん・・・話があるんだ」
僕の聲にゆっくりと振り返る父親。
「母さんを連れ戻しに行ってくる」
「・・・そうか」
「驚かないの?」
「そんな気はしていたよ。お前は、母さんの子だからね」
苦笑いを浮かべるとゆっくりとバハムートに近づきポンと、手を頭に置いた。
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「いつかこんな日が來ると思っていたよ。母さんと出會い一緒になった日から、いずれ僕の元から離れて行ってしまうんじゃないかと思っていたんだ」
「ーー父さん」
見上げた僕の視線に映る父親は、し寂しげで小さく見えた。
「君が産まれた時も何となく同じ気持ちになっていたよ。やはり君は、母さんの子なんだってね」
父親は、背を向けると窓に向かって歩いて行きエドナ山脈を見つめた。
「母さんは、いつもあの山を気にしていた。ーーそう、初めて母さんと出會ったのも、あの山だったんだよ」
「えっ・・・國外で・・・危険地帯じゃ」
窓に映る父親は、再び苦笑いを浮かべていた。
「父さんと母さんはどうやって知り合ったの?父さんはなぜエドナ山脈に行く事が出來たの?」
父親は、ため息をついて、ゆっくりと振り返る。バハムートは、父親の初めて見る真剣な表に背筋に冷たいものが走った。
*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *
「サーガ、本當にこれでいいのか?」
「いずれ封印は解かれてしまうかも知れないわよ。もしかしたら魔力が何らかの形で戻って、自力で封印を解く可能も十分あり得るわよ」
サーガは、封印した竜を見つめながら、
「竜と人間は対等の立場になければならない。本來爭うべきではない。もし、アポカリプスを討ち取っても解決にならないし更にの爭うは続くだけだ。なら、お互い冷靜になり歩み寄れるようにするべきだ」
「今のいままで爭っていたのに、急に手を取り合えなんて無理な話だぜ」
「それは、十分承知。僕等は、きっかけを作った。後は、他の者次第だ」
サーガは、封印されたこの場所に背を向けパーティーのみんなと山を下りることにした。
☆
「ーーあれ、サーガは?」
「さっきまでそこに居たのに・・・」
「しゃーねなあ、捜してくるよ」
「お願いしますね!」
窟の中を隈なく探すがサーガの姿は見えない。窟は一種の迷路のように複雑にり組んでいる。竜たちが人間が攻めてきてもすぐには辿り著けないようにする為だ。
「サーガどこだあ?返事しろ」
徐々に窟の奧へとり込んで行く。
「ーーあまり奧にり過ぎると戻れなくなるな。これだけ捜してもいないって事は先に外に出ている可能があるかもな」
引き返そうとした時、奧で微かな音と気配をじた。それは、普通の人間ではじ取りない微妙なものだ。しかし、百戦錬磨の最強パーティーのメンバーの一人はそれを見逃す訳がない。
「誰だ!サーガか?」
ゆっくりと奧に進んで行くと、そこには傷付いた白い竜が橫たわっていた。
*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *
「白い竜って・・・最強パーティーのメンバー・・・父さんは」
目を丸くして驚くバハムート、それも無理もない。おとぎ話、言い伝え、伝説としか聞いたことのないサーガの話を今、父親が経験談として話しているのだ。
「百年続いているバルティカ戦線に終止符を打つ為にあの山脈に僕等のパーティーは向かった。今から五十年程前の事だ。以外にも時間は流れていないんだよ。人伝えに話は、広がって行き、大袈裟になっていったんだ」
「父さんは、サーガのパーティーで邪竜アポカリプスと戦ったの?」
「ーーまあ、大した事は出來なかったけどね」
目をらんらんに輝かせながら真っ直ぐ見つめてくる視線に、頬を掻きながら照れる父親。
「サーガはどんな人だったの?やっぱり強くて凄いの?」
「んんーー、強いのは否定はしないが・・・変わった人だったよ」
「変わった??」
「ああ、変人とか奇人って言えばいいかな。獨特なと言い回しをしていたよ」
「そ、そうなんだ。し想像と違ったよ。クールでカッコ良くてみんなを引き連れて戦うリーダー的存在かと思ったよ。それで、白い竜は母さんだったの」
「ああ、お前の母さんエキドナと初めて出會った瞬間だ」
ーー エキドナとの初めての対面 ーー
お薬、出します!~濡れ衣を著せられて治療院から追放された薬師さんが辺境で薬屋を開きました。極めたポーションは萬能薬と呼ばれて回復魔法を超えるようです~【書籍化コミカライズ企畫進行中】
田舎から出てきた15歳の少女メディは町の治療院で薬師として働いていた。ある日、患者が毒殺されそうになる事件が発生する。 多數の目撃者や証言により、メディが犯人とされてしまった。先輩に當たる治癒師がメディの高評価に嫉妬して陥れたのだ。 「やっぱり薬なんて危ないわ。治癒魔法こそが安全よ」 今までの功績に免じて、院長はメディを追放処分とした。しかし治癒魔法ではすべての體調不良は癒やせない。 何年も入院していた患者の難病を癒やすなど、メディは治癒師顔負けの実力を発揮していた。 治療院の評判に大きく貢獻していたのだが、彼女がいなくなると雲行きが怪しくなる。 一方、メディは新天地で薬屋を開くことにした。萬病をも治すという噂が広まり、いつしか客層もおかしなことになっていく。 王國最強と呼ばれた『極剣』の女剣士や破滅的な威力の魔法を放つ『皆殺し』と呼ばれたエルフ魔術師と、気がつけば特級戦力が集うようになった。 メディは今日も聲を張り上げる。 「お薬、出します!」 やがて治療院は新たな動きを見せるが、やはり傾き始める。 メディの薬屋は辺境を飛び出して名が知られるように――
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