《俺、自分の能力判らないんですけど、どうしたら良いですか?》第十七話~ランク戦~

──遂に、ランク戦當日となった。

あれから琥太郎は、彩魔の修練に加えて、力の向上を目的とした一日50キロランニグなど、トレーニングに力を注いできた。全ては友達を作るために。

「遂に當日か……」

「せやね。わいは準備萬端やで。琥太郎はどうなん?」

「やれるだけやったつもりだ」

「それで? 結局"異彩"の能力は分かったんか?」

「能力どころか、"銘な"すらわかんねぇよ」

実はもう【治療院】での検査を終えているのだが……正直思い出したくない。

「大丈夫なんか、それ?」

「──大丈夫ですよ」

──琥太郎達が話していると、話しかけて來たのは澪だった。

「おはようさん」

「おはよう、澪」

「ええ、おはようございます」

「それで? 大丈夫ってどういうことなん?」

「教も仰っていましたが、琥太郎には彩魔カラーマジックの才能があるそうです。それに加えて、最近はずっと特訓をしていたんですから、かなり実力は上がっていると思います」

「それもそうやな。にしても、あまり譽めない教が譽めるなんて、琥太郎は相當才能があるんちゃう?」

「そう言ってもらえると気が楽になる。有難う」

世辭でも嬉しいもんだな。

「事実を言ったまでです」

エスパーなのか、お前は。

「ははっ……そうか。でも、もし相手になったら──本気で倒しに行くぞ」

──これまでのとは違う真剣な表で話す琥太郎に二人も真剣な表で返す。

「ええ、勿論。私も全力でお相手させていただきます」

「わいも、本気で相手にするで」

──どこか晴れ晴れとした雰囲気をぶち壊したのは、麗奈だった。

「琥太郎っ」 ダキッ

「うおっ!?」

──突然腕に抱きつかれた琥太郎は驚きながらも、慣れたのかバランスを崩す事も無く、麗奈と會話をする。

「はぁ、いきなり抱きつくなって。おはよう、麗奈」

「ん、おはよう琥太郎」

──互いに挨拶をわし微笑み合う姿は、端から見れば完全に男のソ・レ・だ。これで付き合っていないのだからなんとももどかしい気持ちを他のメンバーは抱いていることだろう。そもそも、何故麗奈がここまで琥太郎に打ち解けているのかが謎である。琥太郎自學試験で初めて會ったと言ってっていたが、どう見てもたった一月程度の時間しか過ごしていないようには見えない。

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「これで付き合っていないというのが不思議ですよね……」 ヒソヒソ

「ホンマやなぁ……どう見てもカップルやろ」 ヒソヒソ

「ん? 何か言ったか?」

「「いや、なにも」」

「そうか? ……あ、そう言えば皐月と雅也は?」

「お二人なら、先に演習場へ行っているそうです。琥太郎、メールちゃんと見てますか?」

「あ、忘れてた。……ホントだ、メール來てた」

「まだし時間がありますけど行きましょうか。二人も待っているはずですし」

「そうだな」

──こうして琥太郎達は學園の転移門を使い、第一演習場へ向かった。

◇◇◇◇◇

「みんなー!」

──皐月が演習場前の門で手を振りながらピョンピョン跳び跳ねている。その隣では雅也が、やれやれといったじで眉間に手を當てている。

「相変わらず皐月に振り回されてるんだな……」

「皐月はきょうも元気ですね」 

「雅也……ドンマイ」

「変わらんなぁ、二人は」

──それぞれが想を述べるが一様にして表は穏やかだ。とてもこれから闘うかもしれないもの同士には見えない。

──あ、忘れてた。ランク戦って自由參加だから。ただ、上級ランカーの特典が味しいから參加しないメリットが無いだけで。あ、それに、的なランクの上げ方の説明ってしてなかったっけ。

ま、いっか。えっと、學園生徒全員が"ランクポイント"って言うのを持っていて、最初は1000ポイント。そして、戦闘で勝った相手から相手の持っているポイントの10/1を奪える。ポイントが一定數以上貯まると晴れてランクが上がるわけ。

ポイントはランク戦以外でも、學園から出されている"學生専用任務"をクリアする、及び學園の生徒に"決闘"で勝つことでもポイントを手することが出來るよ。まぁ、決闘は雙方の合意がないと出來ないんだけど。"學生専用任務"は任務毎に貰えるポイントが決まっていて、"決闘"はランク戦同様勝った相手のポイントの10/1を奪える。又、ポイントを各ランクの一定水準まで落とすと降級になるので注意されたし。あ、それからランク毎の昇格ポイントのラインは後でランク戦の説明の時に一緒に説明されると思うからパスで。……決して、決して説明が面倒臭くなったとかじゃないからね?本當だよ?

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「おはよう! みんな!」

「おはようさん。朝から元気やなぁ、皐月は」

「えっへん!」

「おはよう、雅也」

「あぁ、おはよう」

「二人ともおはようございます。雅也は皐月と違って落ち著いてますね?」

「皐月が元気すぎるだけなんだが……」

「それもそうですね」

──そんな事を言っている間にも、皐月は既に歩き出している。

 「みんな! 早く行こっ!」

──そんな皐月を見て、ある意味何処に居ても変わらない態度で居られる皐月を見直しながら、他の面々も演習場へっていくのだった。

◇◇◇◇◇

──10:00。演習場にアナウンスが流れる。

『さぁ、皆さんお待ちかね、月に一度の"ランク戦"が始まろうとしていますッ!! 実況は放送部部長の私、高橋たかはし 繚狐りょうこが行います!そして!』

──と、セミロングの一部をカチューシャの様に編み込んだ子生徒が高らかに宣言する。

『解説は學園OBで現役団員の僕、峯麓ほうろく 南みなみでお送りするっスよ~』

──こちらは、マイペースな雰囲気を漂わせるサイドテールのだった。そして大きい。何がとは言わないが。

『『お願いします!(するっス~)』』

『南さん、今月からは新しく新生がランク戦に參加しますが、何かアドバイスはありますか!?』

『テンションすごいっスね……。それに、先にルール説明とかをした方がいいんじゃないっスか?』

『そうですか? ならば説明して新是しんぜよう!ルールは一対一の個人戦。相手が気絶、及び降參、又は戦闘継続不能と判斷された場合に負けとなります。尚、降參、気絶、戦闘不能の判斷は皆さんのに付けている腕時計生徒手帳のバイタルとランク戦中に學園を飛び回っているドローンの映像で此方が判斷します。怪我をした場合は治療院で治療いたしますので安心してくださいね! あっ! それから皆さん! 殺しちゃダメですよ! 半殺し程度にしてくださいね!』

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『何さらっと騒なこといってるんスか!?』

『いやぁ~これが毎年數ですが、死人が出てるんですよね~。だから団長からも口を酸っぱくしていわれてるんですよ~。くれぐれも死者を出さないように!! って』

『それってここで言って大丈夫なんスか?』

『別に大丈夫じゃないですか? 句な訳でもないですし。あと、殺しちゃった場合は即失格。ポイントは全て剝奪の上で罰則があるのでくれぐれもご注意下さい!!』

『他に何かルールはあるっスか?』

『ありますよ! ランクの昇格ラインを説明してませんからね!』

『忘れてたっス』

『あれぇ? ひょっとして南さんってば、にばっか栄養が吸われて頭が──痛たたたッ!?!?』

──何かを言いながら峯麓さんのに手をばしていた高橋さんは、それは見事なアイアンクローを掛けられていた。

『僕のがなんスか?』

『痛多々たッ!? 何でもないです!! 冗談です!! 最高です!! だからアイアンクローは止めて!? 壊れちゃうからっ!?』

『次はないっスよ?』

『はい……』

実況のアナウンス緩っ! ぐたくだじゃねえか! それに二人ともキャラが濃いっ!! 僕っ子って!! 學園にはこんな人ばっか居んのか?

『さぁ! 気を取り直してどんどんいきましょう!!』

『反省してるっスか?』

『してますって! それよりもランク昇格ラインの説明をしないとでしょう?』

『そうだったっス……』

『しっかりしてくださいよ?』

『申し訳ないっス……』

おい、なんか立場逆転してるぞ……なんだこのアナウンス。

『あれ? 私が謝る必要って……?』

『では説明にります!! 昇格するには──』

『あれ? スルーっスか?』

『──ランク毎に一定數ポイントをためる必要があるのですが、そのポイントが──』

『だからスルーっスか?』

『──ってあとにしてください。今は説明が先です!』

『そ、そうっスか……すいませんっス』

──またもや流される峯麓さん。どうやら推しに弱いらしい。

『では続けますが、

Eランクから昇格するには20000ポイント、

Dランクから昇格するには40000ポイント、

Cランクから昇格するには80000ポイント、

Bランクから昇格するには160000ポイント、

Aランクから昇格するには500000ポイント、

を貯める必要があります!!』

『相変わらずAからの昇格は厳しいっスよね~』

『そうですね! まず普通に目指して屆く事はありません!! Sランクの特典は現役団員と同等の権限、つまり通常任務をけることが出來る、ということですからね!』

『これってかなり豪華な特典っスからね~』

『いやぁ、南さんが言うと軽く聞こえますね!』

『こういう分なもんスからね~』

『なんだか、和みますね~! ……っと、時間が差し迫ってきたので最後に! 制限時間は本日午前11:00から日付の変わる、明日の午前0時までの13時間!! なお、途中で切り上げることが出來るので、その場合は皆さんが持っている腕時計にリタイア表示があるので、そのバナーをタップしてください!!』

『この腕時計って確か、完全防塵、防水、電波式で、生徒のバイタルなんかも確認できるっスよね?それに、決闘の申請、諾もできるとか』

『そうなんです! おまけにGPS機能もついていて、行方不明になっても創作可能! 加えて生徒手帳の役割もこなす優れものです!』

『便利っスよね~。本部にもしいっスよ』

『それなら団長が近々本部にも導されるとか』

『……なんで知ってるんスか?』

『聞きたいですか?』

──妖艶な笑みを浮かべる高橋さんに、

『え、遠慮しとくっス……』

──引き吊った笑みを浮かべながら斷る峯麓さん。……何故だろうか、高橋さんの闇を垣間見る事となった。

『あ、因みに學園がバトルフィールドとなっておりますが、第一演習場と建での戦闘は止となっていますのであしからず!!』

相変わらず切り替えが早いなこの人。

『僕達はここから學園敷地をモニターしながら、実況してるっスよ~』

『以上でルール説明を終わります!』

『『靜聴有難う座いました!(っス~)』』

◇◇◇◇◇

──アナウンスが終わったあと、琥太郎達は集まって話をしていた。

「さてと、取り敢えずこれからは別行になるだろうな」

「せやな」

「あぁ、いきなりお前たちと當たるのは勘弁願いたいものだ」

「そうですね……でしたら、それぞれ開始時の居場所をバラバラに決めると言うのはどうですか?」 

「んー? どういうこと?」

「つまり、それぞれ離れた場所からスタートするんです。それなら開始して直ぐに當たることもないでしょう?」

「おー! いいね! ソレで行こう!」

「俺もソレでいいと思うぞ」

「あぁ、俺もだ」

「せやね。わいもソレでええよ」

「ん、ソレでいい」

「それでは、そう言うことで行きましょう」

──こうして、話し合いは終了した。

◇◇◇◇◇

「これからどうすっかな……」

──他のメンバーとの話し合いを終えた琥太郎は他に話すような友達がいないため、ぶっちゃけ暇だった。ランク戦開始まで何をしていようか考えていると、

『──あー、あー、聞こえてますかー?』

──突然、先程の実況擔當、高橋さんがアナウンスを開始した。

『あ、聞こえてるっぽいですね。いやぁ、失敬失敬。大事なことを忘れてたました! 使える武は學園貸し出しの、彩転換武裝CCAを使ってくださいね! 勿論、幻想形態イルシオンモードで、ですよ!ただし、異彩の系統が武の方はそれを使っても結構ですからね!』

ほいほい、皆様お待ちかねの補足ターイム。

彩転換武裝CCAとは、彩魔と現代の科學技の融合の末に完した、特殊武裝の総稱。

使い手の素を原力とし、弾丸や刃、バリアなどとして展開することを可能とした畫期的な武のことである。また、その種類は千差萬別、実に様々な種類がある。加えて、彩転換武裝CCAのメリットとして、を傷つける現化形態インバディングモードと、力のみを削る幻想形態イルシオンモードの二つを使い分けることが出來る。因みに、素の消費量は幻想形態イルシオンモードの方がない。

今は武やバリアなどに限られるが、いずれは使い手の素で代用することにより、擬似的なアバターを作り出すことも可能とされている。

しかし、デメリットもある。それは力等の全てを使い手本人が賄うことにある。このデメリットは、今研究中のアバター計畫において、最も重要な問題とされている。武程度なら賄えるが、人間一人分の積を全て素のみで構すると云うことは、理論上可能でも、実際に行える者がいないのだ。以上の理由から、アバターの完には至っていない。

『それから、服裝は制服でお願いします! 制服には狀態保存と、衝撃軽減、それから自己修繕の彩魔が付與されているので、ぶっちゃけ自前よりお得ですよ!! 特に、工房関係の人とか、ランクの高い人は分子破壊アンチマテリアルや、神破壊アンチアストラルの能力の付與された武彩魔は使用厳ですからね! 以上です! いやぁ、危ない危ない、あとしで新生が全滅するところだった! これで殘るは実況のみ! 安心だね! 安心!』

──そう言い殘して、高橋さんはアナウンスを切った。

「……おい、マジで危なかったじゃねぇか!?安心できねぇよ!不安が増したわ!アホか!」

なんだよ分子破壊アンチマテリアルって!? なんだよ神破壊アンチアストラルって!? 明らかヤバイやつじゃん、初見でこれ使われたら確実アウトじゃねぇか!! てか、そんなもん此処にあんのかよ!?

──口に出したいことは山ほどあるが、なんとか心に押し止める琥太郎。何故なら、いきなり大聲を上げた琥太郎は回りからの目線に耐えられなかったのだ。

「はぁ、やめだやめ、考えてたって仕方ない。諦めよう。人間、諦めが肝心なんだ」

──ここにも周囲に流される人間がいた。

◇◇◇◇◇

──ランク戦開始まで、あと5分。周りの空気は張り詰め、ピリピリとを刺激する。そんな中、琥太郎は最終調整にっていた。今の琥太郎の服裝は制服に、學園支給の刀型彩転換武裝CCA二本を腰に差し、手にはバイクグローブの様なものを著けている。現段階で、琥太郎が選べる最良の選択だった。

「はぁぁぁぁ……!」

──來る戦闘に備え、神集中を行う。これは、琥太郎の修めている不知火流の教えで、心は熱く、頭は冷靜に、という戦闘時の基本的な心構えである。

『みなさーん! 準備は良いですかぁ?カウントダウンいきまーす!!10……9……8……7……』

「いよいよか……どこまで俺は通じるんだ?」

──思わず口角が上がる琥太郎。存外にバトルジャンキーなのかもしれない。

『……4……3……2……1……開始ッ!!』

──開始の合図と共に琥太郎は學生同士が互いに蹴落とし合う、戦場ランク戦へを投じた。

◇◇◇◇◇

──開始5分、早速相手を見つけた。制服のを見る限り、どうやら同じ一年生のようだ。

「お、早速発見。ついてんな」

──そんな琥太郎の聲が聞こえたのか、その一年は突然、手にもったハルバードで攻撃を仕掛けて來た。

「うおっ!?危ねっ!?」

「くっ……!」

──言葉とは裏腹に、難なく重を生かした降り下ろしを回避する。

「いきなりって酷くね?」

「ぐぁ……」

──を左に反らして攻撃を避ける片手間に、相手の首を刀型CCAで跳ねる。

にしても、便利だよなぁ……力だけを削るって。

「……なんか、拍子抜けだなぁ。もっとてこずると思ったんだけどな」

「隙ありッ!!」

「なーんてねっ!」

「うぐっ……」

──気絶した振りを見せて奇襲を仕掛けた一年を振り替える事すらせず、裏拳を顔面に叩き込む琥太郎。

「呼吸音でバレバレだっつぅの。……って聞いてねぇか」

──今度こそ気絶した一年を踏みつけながら移する琥太郎。何気に先程の奇襲をに持っているようだ。そもそも、心臓の呼吸音を聞き分ける琥太郎が異常なのだ。彼が弱いわけではない。

「早速100ポイントゲット~♪さてさて、次なる獲を探しますかな?」

「その必要はないッ!!」

「そいっ」

「ひでぶっ……」

「聲を掛けながら不意討ちをするのって流行ってんのか?」

──サクッと二人目の上段から放たれる斬撃を素で強化した左手でつかみ取り、右手にもった刀型CCAで首を跳ねながら、そんな事を考える。

「おっ、この人二年だったのか。センパイ、あざーっす」

──この人はどうやらDランクのようで、6000ポイントが手にった。

「てか、Dランクなら彩魔で遠くから狙えばよくね?アホなのかな……?」

──そう言いながら、琥太郎は対戦相手を探し求め、移を開始した。

◇◇◇◇◇

「ふぅ……やはり一年の方はまだ彩魔に慣れていないようですね。『水虎すいこ』ッ!」

青の上級魔に分類される『水虎』は素で生した水を虎の用に使役し、敵への攻撃や移手段として使う彩魔です。

本來異彩に目覚め、素を作可能になったばかりの一年生が使える代ではないのですが、私の異彩【水神の加護】の能力、『水神の加護』の補助により扱える、というのが現狀。完全に『水虎』を支配下に置いた訳でもないため、単調な命令しか出せませんが、まだ戦闘に慣れていない一年生に使うには丁度良い練習になるのです。

「きゃっ!?」

相手の子生徒が『水虎』の突進を右へ回避します。

今、私が『水虎』出した命令は、

「相手に突進し、折り返して、もう一度突進」

というもの。

「かはっ……!」

が回避したところに私は蹴りを加え、反対方向へ押し出します。

そして、彼が飛んで行った先には丁度、『水虎』が二度目の突進を行っています。

「きやぁぁぁぁぁ!!」

は『水虎』の突進をまともに喰らい、そのまま吹き飛び、気絶しました。

「ふぅ、終わりました」

私は蹴りを決めた勢のまま、勝利を収めたことを安堵します。

ですが、『水虎』をまだ上手く使いこなせていません。これは要、進ですね。

この時、一瞬の間だけ突風が吹き荒れました。

今の私は蹴り決めた勢のままです。とても無防備なのです。

無防備な私のスカートは、突風に煽られ大きくめくれ上がりました。

「きゃっ!?///」

私は先ほどの戦闘以上の集中力と、速度を持ってしてスカートを押さえます。

「もう!なんだってこのタイミングで突風なんて……はっ!誰かに見られたりしてませんよね?」

そう思い辺りを見回すも、周りに人っ子一人居ません。

よかった。誰かに見られてはいなさそうです。

「ホッ……それにしても、やはりとてつもない広さですね……全校生徒がき回っているのにいまだに一人としか対戦出來ていませんし」

そう、辺りには全く人の影が見當たらないのです。スカートの時は良かったものの、こう人が居なければ戦う事が出來ません。

「これ以上ここにいても仕方がないですね。移しましょうか」

◇◇◇◇◇

ー雅也sideー

「ふむ……一対三か、それも二年生が」

「悪く思うなよ、お前の行を鑑みた結果さ」

そう言いながら、ジリジリと間を詰める三人組。

恥ずかしくないのだろうか? 下卑た笑みを浮かべるコイツらはさっきから近くの茂みに隠れていた連中だ。俺が戦闘で力を消費するのを見計らって出てくるあたり、相當良い格をしているようだ。

「悪くなど思うはずがないだろう。むしろ此方が謝したいくらいだ」

俺は、特に危機を持っていないかのように振る舞いながら、何時でも戦闘にれる準備を整えていた。

「へぇ……軽口を叩く余裕はあるんだ?この人數相手に?」

「當たり前だろう。……餌・が・増・え・た・のだから」

そう言い終わる頃には、俺は相手の一人の懐へ踏み込み、ゲイ・ボルグで相手の鳩尾を貫いていた。

「──は?」

いきなり俺が消えたように見えたのだろう。まぁ、その時點でコイツらの程度は見えいているが。

そう考えている間にも、二人目へ踏み込み、顎を石突きで砕き上げる。

「──うっ……」

「これで、ラスト」

──最後は、遠心力を効かせ、相手の振り向き様に頭を穂先で跳ねた。

◇◇◇◇◇

ーとある子生徒sideー

「よろしくお願いします!」

「は、はぁ……此方こそ……」

「それじゃあいっくよー!」

「は?」

「やーっ!」

気付いたら目の前に居た。

律儀に挨拶をしてきたこの子は、その可らしい、庇護に駆られる小の様な見た目とは裏腹に、とんでもないスピードで迫っていた。

その小さな拳には、バイクグローブに鉄板を取り付けたようなガントレット型CCAが裝備されている。

「殺られる」と、そう思った時にはもう遅かった。

その小さな拳から放たれた一撃は余りにも重く、鋭かった。

「あがぁぉっ!!」

そして、おおよそ淑が出すはずのない聲を出しながら、私は壁にめり込んだ。

ー皐月sideー

「あ!ごめんなさい!やり過ぎちゃた!」 パァァ

うーん。力加減が難しいよぉ……。この裝備はし軽すぎるのかな?でも頑張らないと! 皆に褒めてほしいからね!

よぉ~し!頑張るぞ~!

「次はだぁーれ?」 ニッコリ

「「ひぃぃぃぃぃぃ!!??」」

あれ?何でみんな後ろに下がってるの?

◇◇◇◇◇

ー麗奈sideー

「喰らえぇぇぇぇぇ!!」

片手用直剣型のCCAを雑に振り回す子生徒。彼はどうやらご立腹の様だ。

「お前のっ! ことはっ! 前からなぁっ! 気にらなかったんだよっ!!」

罵倒の言葉と共に繰り出される攻撃を、流れるようなきで回避しながら私は考える。この人、誰だっけ?

「いつもっ! 青山君にっ! ちやほやされてっ! ムカつくんだよぉ!!」

青山? ……誰? そんな人居たっけ?

「……」

「無視するなぁ!!」

の気勢と共に放たれた袈裟斬りを、顎に手をあて、眉間にシワを寄せながら危なげもなく避ける。

さっきから単調な攻撃しかして來ないけど、何かの罠なのだろうか?

「避けるなぁ!!」

だって避けなきゃ痛いじゃん。何を言ってるんだろう?

あれ? そもそも何でこの人の話を聞いてるんだろう? とっとと倒せば良かった。

「ていっ」

「きゅうぅぅ……」 ばたり

小太刀型のCCAを首に突き立てる。

ふぅー、うるさかった。

そういえば琥太郎はどうしてるだろうか?順調に進んでるだろうか。そうだと良いな。

「ん、すっきり」 ドヤァ

琥太郎に會いたいなぁ……やっと會えた。今度は伝え忘れないようにしよう。

◇◇◇◇◇

ー宗sideー

「お前、顔がいいからって調子にのってるらしいな?」

わいに話しかけて來たのは、大柄な正しく"番長"とでも言われそうな、厳つい顔の二年生やった。

「わいですか?」

「お前以外誰がいるッ!!」

「起こらんといて下さいよ、センパイ?」

なんか、めんどくさそーな人やね? わいはこういうタイプの人嫌いやわ。

「うるさいッ!!貴様のような生徒は俺が矯正してやるッ!!」

「いや、話を聞きなはれやぁ……」

こういうタイプの人って何で話を聞かへんのやろ?

「うおおお!!」

そう言うや否や、メリケン型のCCAを著けた右腕を振りかぶり、突進して來よった番長。

せっかちな人やなぁ……絶対に関わり合いになりたくないなぁ。

番長の拳を避けながら、わいは考える。「今日の晩飯何にしよう?」と。

馬鹿らしいと思うかもしれへんが、コレが以外と重要だったりするんよ。気分はパエリアでも、家にある食材はじゃがみたいな時ってあるやろ?──っていうか……。

「危ないで?暴力反対やで、センパイ」 ひょいっ

「ぬぅっ……!?」

人が晩飯の意義について話してるときに攻撃しんといてや。めんどくさいやろ?捌くの。

あ、とういうか、先にこっちを何とかすればエエ んやないか?

「すんまへんね、センパイ」

「ぐうっ……!?」

攻撃を捌かれ、制を崩した番長を縦に真っ二つに叩き斬ると、番長は、巨木が倒れるような音を立て、倒れた。

「まったく、人の話は聞くもんやで?」

まぁ、そう言うわいもあんたの話聞いとらんかったけど。

あ、この人Cランクやったんや。ラッキーやね。

──殘り、12時間。

~現在のランクポイント~

琥太郎:7100P

麗奈:1100P

宗:P9000

澪:1100P

皐月:1200P

雅也:7300P

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