《努力を極めた最強はボッチだから転生して一から人生をやり直す》初めての◯◯
目を開ければ、天井があった。
知らない天井ではない。記憶によると、何度も見た景。
辺りを見渡して現狀を確認する限り、もう5年もの歳月を共にした子供部屋で寢ていたみたい。
し、が気怠いかな?
「上手く”転生”出來たみたいだね…っと、口調は変えとかないとね…上手く転生できたようだな……ふむ、も付けようか。口癖らしくて良さそうだし、カッコいいもんね」
と、兎に角、今は何年の何月かは知らないけど、窓から外を見る限りだと朝なのは確かだね…いや、確かだ。
朝だと言うのに、外から鬱陶しいぐらいの暑苦しい聲が聞こえてくるが、そこは無視。
それにしても、初めての転生の割には上手くいくものだね。
『魂に封印を掛けてから廻転生のに組み込んだら、まだ魂の宿っていないに勝手に送り込まれる。それだと、魂が封印されたままだから、が魂と馴染んでから封印が解けるように仕掛けをしておく』
僕…いや、オレ自、知識も碌に持っていなかったが、やはり、あの人達…アイツ等の無駄話は役に立つ。
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一度話で聴いただけだったけど、案外出來るものだ。
まぁ、野良研究者の集いみたいなのを盜み聴きしたもので、信憑は薄いものなんけどね。
「さてっと…」
オレはベットから起き上がって太のを背に浴びながら大きく背びをしようとして、吐きそうになる。
このの年齢は5歳だ。
出來る事は限られている。しかし、5歳と言う年齢だからこそ出來る事も限られている。
だからこそ、こんな事でヘコタレてはいけない。
ふむ。まずは、そうだな…。
「友を作ろうか」
馴染と言うものがある。
ご近所付き合いから始まる、アレだ。
多は面倒な事もあるだろうが、友達が出來ると考えれば安いものだ。
とは言え、前世では、友達を作る為に努力した結果、なぜだかは知らないが、皆はオレを怖がって離れていったけど…。
それは兎も角、オレは部屋を出て最短ルートで屋敷の出口へと向かう。
記憶によると、オレはこの辺境の街の領主の息子らしい。
そして、次男坊だ。
オレには兄と姉が居るようだが、二人には會った事がない。
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厳に言うと、醫者と母としか會った記憶しかない。
このは病弱のようで、ずっと床に寢込んでいたみたいだ。
まぁ、”転生”と”ジョブ”の影響だろうが。
でも、そのおで人との面會は醫者と母だけで、ずっと部屋で篭りっきり…。
正直言ってしまうと、5年間を無駄にしている。そんなにも時間があれば、出來うる限り新たな人生を謳歌したと言うのに…。
しかし、病気など魔法一つで治せる筈だが、なぜそれをしなかったのかが疑問だな。
そんな事を考えていると、玄関に辿り著いた。
あまり広くはないが、掃除をこまめにしてるのか小綺麗だ。
手をばせばドアノブを回せる。そこまで來た時に、扉の向こう側から聲が聴こえてきた。
「父さん、そろそろ外に行きたいです」
「ダメだ。まだ素振りしかしてないだろ?今のお前の剣じゃゴブリンにも屆かねぇぞ」
「いつになったら行けますか?」
「お前がもうし長したらだ」
「それ、いつも言ってます…」
話が終わったのか、ドアノブが回されて二人の姿がわとなる。
初の出會いだ。
心が踴っていると言っても過言ではない。
「「あ……っ!?」」
「ん?」
む?なぜかオレの顔を見て驚かれたぞ。
おそらくオレの兄と父になる人なのだろうが、その反応は々酷ではないか?
ふむ。全にえらく汗を掻いてるのを見る限り、激しい素振りでもしてたんだろうな。
「イクスッ!おま、お前っ!いても平気なのかっ!?」
そう言いながら父はオレの両肩をガッシリと摑んだ。
「と、兎に角、部屋まで運ばなきゃっ!」
兄はオレを抱きかかえようとしてくる。
どうしてそこまで焦る必要があるのかサッパリ分からんが、取り敢えずオレは二人の行を手で遮る。
「ふむ。大丈夫だ。何の問題もない」
「ホントか!?ホントなのか!?」
「辛かったら言っても良いんだよ!イクス!」
む?どうして信じてくれないのだ?
まぁ、心配されるってのは悪い気はしないが、初めての事でしこそばゆいな。
「オレは大丈夫だ。だから、近付かないでくれ。汗臭い」
「あぁ、すまない…」
父よ。隨分と落ち込むじゃないか。
「ご、ごめん…」
む?オレは正直に本音を言っただけなのだが、そこまで落ち込む程だったか?
兄は兄で、なんだか申し訳なさそうにしているし…。なんだ、この家族は。
とは言え、とある事で前世の家族に関する記憶が存在しない。
だから、もしかすると、これが普通の反応なのかもしれない。
「ふむ。それより、し外に出たいんだが良いか?」
言ってしまうと、二人が邪魔で通れない。
だが、それを言うと、また二人を落ち込ませてしまうだろうな。
「ああ…」
「ぼ、僕付いてくよ!」
父は落ち込んだままで生返事が帰ってきたが、兄はオレに付いてくるようだ。
わざわざオレの前を歩く事から、道案をする気満々である。
まぁ、その方が助かるがな。
屋敷を後にして、街の景を観察していて思ったのだが『街』と言うよりも『町』だな。
人間の町に來るのは久々だが、魔道や魔導機が一切なくて、ノンビリとした古風な雰囲気だ。
ふむ。髪を攫う微風そよかぜが気持ち良い。
そんな町の大通りを歩いていると、兄が尋ねてきた。
「ねぇ、イクス。本當には大丈夫なの?」
「む?問題ないぞ?」
は何ともない。
特に変な異常も見當たらない。
強いて言うなら、引き出せる魔力の量と力が余りにもなすぎるぐらいだ。
ふむ。し歩くだけでが疲労を訴えかけてくるのが問題だな。
「その、言い辛いんだけどさ、その言葉遣いって、どこで覚えたの…?」
どこでと言われても、ついさっき考えたのだが?
とは口がっても言えないな。前世の記憶があるなんて言えば、混を巻き起こされるかもしれぬし、変人扱いされるかもしれないからな。
……そうだな。恒例のアレでいくか。
「ふむ。本で覚えた」
「そ、そうなんだ」
兄よ。引き攣った笑みなど浮かべるもんではない。想笑いに慣れてない証拠だ。いつかバカにされるぞ。
…ん?
オレと同じぐらいの歳のがいるな。
よしっ、兄よ。紹介してくれ。
是非、オレの友になってくれと紹介してくれ。
「おかあさん!おかあさん!マリアスさまがいるよ!マリアスさまー!」
ふむ。兄よりも先に向こうが気が付いたか。
オレ達の方に向かって手を振ってるが、マリアスとは誰だ?
様と付くからには、隨分と偉い人なんだろうな。
そう思って、振り返ってみるが、町人の姿しかない。
む?どう言う事だ?
訳が分からんぞ。
「ほら、イクスも手を振り返して」
「ん?」
再度、辺りを見渡してみると、町人の殆どがオレ達の方を向いて手を振っていたり、手を挙げたり、頭を下げて挨拶をしていたりしていた。
……ふむ。る程。
要するに、マリアスはオレの兄で、町人がオレ達に手を振ったりするのは領主の威厳と言う奴か。
前世では全く関わりがなかったとは言え、まさか、こんなにも領主とやらが偉い人間だったとはな。
ふむ。知らなかったぞ。
オレは兄マリアスへと視線を向ける。
すると、兄マリアスは町人に手を振り返しながらオレを見てニッコリと微笑みを返した。
ふむ。手を振れば良いんだな。
そう思って、視線を前に転じれば、がオレ達の方へと駆け寄ってきてーー転けた。
見事な転びようだ。そこまで見事なのは初めて見たぞ。
普通なら、転けそうになれば魔法でを立て直すのだが、それが出來ないのか?
まぁ、そんな疑問は置いておこう。
「うえぇぇぇぇんっ!」
が転けたままの制で泣き出したからな。
「立てるか?」
オレはの前まで歩いて行き、手を差しべてやる。
だが、聴く耳を持ってくれない。
ついでに言うと、泣き止んでくれさえしない。
面倒だな…。
「《ヒール》」
こう言うのは、怪我を治せば泣き止むだろう。
痛くて泣くと言う意味が良く分からんが、確かに痛いのは嫌だ。
あの覚は、3000年としぐらいの人生経験のあるオレからしても好きになれなかった。
今更すぎるが、オレの実年齢は3000を優に超えている。強くなるために、そして、誰かに認めてもらうために延命の魔法を行使して生き続けたのだ。
まぁ、結果は最悪だったがな。
詳しい年齢は忘れたが、魔王が倒されて魔導暦に変わるし前からオレは生きてるから、おそらく3800歳ぐらいだろう。
転生で過ぎて行った時間を合わせれば…幾つになるのやら…。いつか機會があれば計算してみるのも悪くない。
のが淡いに包まれたのを確認してから、即座に魔法を解除する。
小さなり傷程度なら、これで治ってるだろう。
む?顔を上げたな。
隨分と泣き腫らした目だ。
だが、痛みが消えたのか、不思議そうな表を浮かべながら涙を拭いて傷跡を確認してる。
ふむ。傷があったのは膝の部分だったか。
てっきり頭を打って脳震盪でも起きたのかと思ってたのだが、違ったのか。
ならば、どうして魔法を使わないんだ?
頭を打って正常な思考が出來ないとなれば、當然ながら魔法を使用するのは困難なはずだが…ふむ。分からんな。
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