《努力を極めた最強はボッチだから転生して一から人生をやり直す》神の塔
教會の中は、昔にった頃と比べて隨分と変貌を遂げていた。
前世の頃は、全てが魔導機によって埋め盡くされ、地下を通る地脈から魔力を塔の上層へと…月へと運ぶパイプが張り巡らされていたものだ。
しかし、今とはなっては、そんな面影すらない。
ただ真っ白に塗り潰された何の効果も付與されていない壁が二階と一階を隔てる天井まで続いているだけだ。
前は、吹き抜けだったのだがな…。
天を貫き、月へと屆く高さを誇った塔で、壁から対面の壁へと桟橋が掛けられており、アレはアレで絶景だった。
壊したオレが言うのもおかしな話だが、非常に殘念だ。
「うわー!すごーい!ひろーい!」
しかし、ミーネは大はしゃぎだ。
リリルも目をキラキラとさせて、視線をあちこちへと向けている。
オレには彼達が何に興味を惹かれているのかサッパリ分からぬ。
確かに、この塔の面積は広い。
外見から見れば円柱に見えるが、実際は円錐狀に建っていた。
正確に言うと、砂時計のような形をしていたのだ。この星と月の丁度、中央辺りで円錐狀の先端同士が合わさり繋がっていた。
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その為、天に近付く程に狹くなるが、ここは地上に面している場所だ。
この街の面積の半分以上は塔が占めていると言っても過言ではないだろうな。
「ふむ。して、ここまで來たが、何をするのだ?」
「知らされてないのですか?今からイクス様は”神の祝福”をけるのです」
ふむ。神の祝福か…。
神と敵対した事のあるオレが、それをけるのか?
なんとも皮なものだ。
「けなければならぬなのか?」
できる事ならば、あんな奴達の手など借りたくないのだがな。
「はい。はい?」
言っている意味が分からないと言った風だな。
ふむ。簡潔に説明するか。
「神なぞに頼りたくないのだ」
「そうは仰られましても、これは10歳になると必然的にけなければならない義務なのです。ですので、申し訳ありませんが、けて下さい」
む。思ったよりも強気に出たな。
それだけ大切な事なのか?
まぁ、良い。
そこまで言うならば、けてやろうではないか。
弱くなったとは言え、神の戯れに付き合うぐらいならば何も問題ない。
「ふむ。分かった」
了承を返してから、軽く視線を周囲に巡らすと、背後の扉から來訪者がオレ達を抜いて一直線にある場所へと向かっているのが確認できた。
扉付近に立っているのはオレ達だけのようだ。
親付きの子供が向かう先は、長蛇の列が出來上がっている場所だ。
奧には何かテントのような簡易の部屋が置かれている。
「では、行きましょう」
そう言って、ラッテンは長蛇の列の方へと足を向けた。
〜〜〜
「ふむ。長いな」
長蛇の列に並んでから、おおよそ1時間は経過している。
しかし、なかなか進まない。
「後しの辛抱でございます」
「ふむ」
今のオレの長では、先が見えぬ。
だから、後どれぐらいなのか分からないのだ。
気配でじ取ろうとしても、この塔では気配察知が狂ってしまって上手く扱えない。
やはり、破壊したと言えど、僅かばかりの塔の機能が生きているようだな。
前世では、これぐらいなど気にも留めなかったのだが…。
しかし、ラッテンが後しと言うからには、そうなのであろう。
しづつだが、近付いているじはするのだ。
なにせ、しづつ進んでいるからな。
そして、もう暫く辛抱していると、ようやく見えてきた。
簡易に造られたし大きめの部屋だ。その前で修道が次にる人を案している。
小部屋から子供が一人出ると、新たに一人ると言った仕組みで、れる人數は合計で3人のようだ。
「では、次の方、どうぞ」
そして、遂にオレ達の順番が回ってきた。
だが、呼ばれたのは一人だけだ。
「ふむ。先に行けばいい」
そんなに急がなくとも、順番は必ず回ってくる。
今更急く必要はないのだ。
だから、先に行きたそうに橫目で俺を見てくる二人に先を譲ってやろうではないか。
「じゃあ、私から行くわ!」
ミーネが意を決したような表で一歩踏み出し、小屋にって行った。
そして、1分も経たないうちに次が呼ばれた。
リリルが先に行きたそうにしていたので、先を施す。
「お優しいのですね」
「ふむ。昔は悪魔だなんだと言われたものだが、そう言われたのは初めてだな」
「昔…ですか?」
「気にするな。子供の戯れ言だ」
「はい。かしこまりました」
ラッテンはし困気味だが、それで納得してもらうしかないだろうな。
とは言え、口をらせてしまったオレが悪いのだがな。
「では、お次の方、どうぞ」
新たに一人出て行き、俺の番が回ってきた。
「では、行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
ラッテンに見送られるがまま、オレは簡易部屋にって行く。
った先は、特にこれと言って特徴的なはない部屋だった。
小部屋の中を三つに隔てる壁があり、一つ一つを部屋にしているようだ。そして、その先に水晶が置いてあるぐらいだ。
しかし、その水晶には見覚えがあるような…。
「こちらでございます」
「ふむ」
空き部屋に居る修道に言われるがまま、オレは三つの、中央の部屋へとる。
「では、こちらの水晶にお手を翳して下さい」
「ふむ」
俺は水晶に手をかざしながら観察する。
見れば見るほどに、オレが知っている魔道に見える。
急遽、神に対抗する必要があったから造った魔道の一つだ。
魔石などに貯蓄された魔力を代償に、力を得ると言ったものなのだが、いかんせん、どれも失敗作で終えた。
その失敗と言うのはだな…。
「あれ?反応しませんね…?壊れているのでしょうか?」
修道が水晶を覗いて確認している。
「々お待ちを」
そう言って、修道は隣の部屋へと向かい、別の水晶を持ってきた。
だが、それもオレには反応しない。
ふむ。どうやら、オレが造った失敗作で間違いなさそうだ。
しかし、なぜここに?
アレは他の者が悪用しないように全て処分した筈なのだが?
「うーん…困りましたね…」
どれも試したが、どうしてもオレには反応しなく、修道が困った表で考え始めた。
…ふむ。
どの道、オレには必要のないものだ。
それに処分し損ねたのだろうを見つけられてしまったのだ。今更処分しても意味がないのだろう。
これ以上、修道を困らせても仕方ない。
「ふむ。では、諦めるか」
「えっ!?そ、それはダメですよっ!」
「む?なぜだ?」
酷い焦りようだな。
何か企みがあるのかと疑ってしまうぞ。
「”神の紋様”がないなんて、そんなの、悲しすぎますよ…」
ホロリと顔を伏せた修道の瞳から一滴の水が溢れた。
ふむ。
……演技ではないようだな。
しかし、なぜだ?
なぜ他人であるオレに同などする?
やはり、教會の奴等の考えは分からぬな。
「ふむ。そんなものなどオレには必要ないと言う事だな」
「で、ですがっ!」
「なに、問題あるまい。そんなものが有ろうが、無かろうが、オレにとっては取るに足らない事だ」
ふむ。どうして哀しむのだ?
オレには理解しがたい反応だ。
「分かりました…。ですが、何か有ればいつでも言ってください。私、いえ、私達一同は、いつでも貴方の味方ですので」
味方…か。
思い返せば、味方や仲間だと主張していた奴等に裏切られた思い出しか無いぞ…。
とは言え、そう言ってくれるのだ。
無下にするのは些か気が引けると言うものだ。
「ふむ。その想いはけ取っておこう」
そんな言葉を殘してオレは部屋を後にした。
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