《努力を極めた最強はボッチだから転生して一から人生をやり直す》急警報
翌日。
本日は、天気も悪く、外に出ようとは思わない程に土砂降りの雨が降っていた。
「ふむ…」
しかし、雲のきで風の流れを見た限りでは、晝を過ぎた辺には止むだろう。
「旦那様。雨降ってる。散歩する?」
ずっとオレの背後を付いてきていたリリルの聲だ。
「ふむ。雨の中で散歩か。悪くはないが、生憎とオレは雨が嫌いだ。それと、オレはイクスだ」
濡れるのは気にしない。オレは雨を防ぐは持っているので、雨の中を歩くのも問題ない。
だが、雨は、オレの嫌な思い出を甦らせるのだ。
……オレが涙を流した日は、決まって雨だったからな。
「旦那様、悲しそう」
オレの表を見たリリルが哀しげな瞳を浮かべて眉を落としてしまった。
なぜ、リリルが悲しむのか分からないが、おそらく、言葉から察するに原因はオレにあるのだろうな。
「なに、問題ない」
そう言ってリリルの頭をでてやると、僅かに顔を上げてオレを見上げた。
「本當?」
「ふむ」
窓を閉めて、リリルに向き直る。
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「これで大丈夫だ」
そう言うと、リリルはオレの顔を確かめるようにジッと見つめた後、下手くそな笑みを浮かべて頷いた。
ふむ。オレに趣味があるとは思えないのだが、その、なんだ。リリルの笑顔が下手くそながらも、とてもしく見えた。
だが、オレの鍛え抜かれた神力は、そんな事で揺るぐ事はないがな。
「ふむ。今日は、この宿でゆっくりしようではないか」
「それじゃあ、私は旦那様と一緒に居る」
「ふむ。オレと居ても退屈なだけだぞ?それと、オレはイクスだ」
「旦那様と一緒に居ると楽しい」
ふむ。オレは旦那様ではなく、イクスなのだがな。
何度言っても変えてくれぬ。
それは兎も角として、オレと居ても本當に退屈で仕方ないと思うのだがな…。
なぜならば、オレは暇になると自を鍛える事しかしないからだ。
しかし、それではいけないのだろうな。
そんなのだから、オレには友が居なかったのだろう。
とは言え、前世では自を鍛えなければ、自を守れなかったので、致し方なかったとも言えぬがな…。
これでは言い訳になるか…。
ふむ。これから改めると言った考えにすべきだな。なにせ、何かに縛られる事のない二度目の人生だ。自由に生きるとしようではないか。
「ふむ…」
しかし、何をしたものか…。
オレは暇を潰す方法など知らないのだ。
前世では、暇などなかったのでな。
「リリルは何かしたい事はあるか?」
「旦那様と一緒」
ふむ。その返答では、オレが何をすべきか分からぬな。
ふむ…………そう、だな。そうするか。
「ならば、【イベントリ】を教えてやろう」
「いべんとり?」
ふむ。
そう言えば、説明をしていなかったな。
「を収納する魔法だ。一度、オレが使ったのを見た事があるだろ?」
「消える魔法?」
ふむ。そんな認識でいたのか。
だが間違いではないな。
「ああ、そうだ。異空間に自分の空間を作り、そこに余分な荷を置いておける。それが収納魔法【イベントリ】だ」
「聞いた事ない」
ふむ。やはり、そうであろうな。
初めて【イベントリ】の魔法を見た時の反応からして、そうだと思っていた。
「ふむ。暇をしているのならば、ラッテンとミーネも呼んでくるがいい。ついでだ。教えてやろう」
オレの言葉に、リリルは一つ頷いて駆けて行った。
ラッテンとミーネを呼びに行ったのだろうな。
オレは窓を開けて、雨雲を見つめる。
未だに雨が止む気配はない。しかし、雲の流れから察するに、晝頃には止む事は確実だ。
こんな豪雨を見ていると、嫌な気持ちしかないが、それでもオレは空を眺める。
そうしていると、唐突に街の鐘が鳴り響いた。
まるで、何かを警戒するかの如く激しく鳴らされている。
「ふむ」
気配を察する限り、この鐘の音を聴いた人々は慌ただしく街を駆け巡っているようだ。
大半は、建の中に篭っているが、殘りは街の外へと避難している。
北側から來る何かに怯え、逃げているようだな。
その何かを確認しようも、今のオレにはこの街の気配をじ取るのが限界で、街の外を把握しきれない。
「イ、イクス様!今すぐに避難します!付いて來てください!」
ふむ。リリルがラッテンとミーネを連れて來たようだが、どうやら彼等の意図は別の所にあるようだ。
三人共、何やら大きな鞄を背負って、今すぐにでも旅に出れそうな格好をしている。
「ふむ…」
ラッテンの慌てた言葉に返答しようとした、その時。オレの気配察知の範囲に大きな気配の反応があった。
「逃げても良いが、これでは意味がないな」
「それは、【イベントリ】の事でしょうか?でしたら、今度、機會がある日に是非お願い致します。ですが、今は逃げる事が先決です。貴方方に何かあれば、私はお父様方に合わせるお顔がありませんっ」
ふむ。隨分と急いでいるようだが、オレの言葉は別の意味で取られたのか?
「イクスっ!」
「ミーネっ!リリルっ!」
そんな時、話題の父達が戻って來た。
顔を真っ赤にしているのは、酔っているからだろうな。
だが、しかし、オレ達の顔を見た瞬間、安堵の表を浮かべた。
「よしっ!逃げるぞ、イクス!」
「ラッテン!馬車を出してくれ!それで逃げるぞ!グランズ達も乗ってくれ!」
「助かる!」
「畏まりました」
ふむ。二人は、慌ててはいるものの頭は冷靜なようで、的確に行、指示をしているようだ。
ラッテンも即座に言われた行をし始めた。
しかし、だな…。
「グォォォォオォォォ!!」
父達が逃げようとしている存在は、既に、街の上空にまで來ているのだ。
「ちっ!もう來たか!俺が足止めする!アーク!息子を頼む!」
「なっ!…わ、分かった!任せろ!」
ふむ。これが、男の熱い友と言うものなのか。
オレの父はアークの言葉を聞き屆けると、満足そうに親指を立てて腰の剣に震える手を當てて宿屋から出て行ってしまった。
「旦那様。裏手に馬車をご用意させていただきました」
「よしっ!ラッテン!三人を頼む!」
「で、ですが…」
ミーネとリリルの表を確認するラッテン。
二人はどこか不安気な表を浮かべているようだ。
「男が友を置いて逃げるなんて、みっともねぇ事が出來る訳ないからな!俺も行く!」
「…畏まりました」
どこか納得いかなさそうに頷いたラッテンだが、それでも良いのか、アークも剣を手に取って宿屋から出て行った。
「ミーネ様、リリル様、イクス様。私が命を賭けてでも、お守り致します」
不安を抱える二人を安心させるかのような言葉で、オレ達の前を先導するラッテン。
「ふむ…」
しかし、だな…。
「イクス様、急いで下さい」
ラッテンよ。心は慌てているものの、冷靜を繕うのは流石とは思うが、そう急かすものではない。
そもそも、この程度ならばオレ一人でも対処可能だ。
「ふむ。オレは用事がある。先に行ってくれ」
「で、ですがっ!」
「オレの心配は無用だ。それと、向かうならば神の塔に向かうと良い。あそこは、頑丈だ」
街の人々を一瞬で恐怖に陥れる存在。それが、オレの想定する魔であるならば、神の塔には敵わぬだろう。
なにせ、あそこは神殺しの塔と呼ばれた場所なのだ。
並大抵の魔では破壊できぬ。
「か、畏まりました…」
渋々と言った風にだが、オレの意図を汲んでくれたようだ。
さて、平穏なる1日は一瞬で崩れ去ってしまったが、なに、問題ない。
オレにとってみれば、些細な事であるからな。
【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、女醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄光のラポルト16」と呼ばれるまで~
【第2章完結済】 連載再開します! ※簡単なあらすじ 人型兵器で戦った僕はその代償で動けなくなってしまう。治すには、醫務室でセーラー服に白衣著たあの子と「あんなこと」しなきゃならない! なんで!? ※あらすじ 「この戦艦を、みんなを、僕が守るんだ!」 14歳の少年が、その思いを胸に戦い、「能力」を使った代償は、ヒロインとの「醫務室での秘め事」だった? 近未來。世界がサジタウイルスという未知の病禍に見舞われて50年後の世界。ここ絋國では「女ばかりが生まれ男性出生率が低い」というウイルスの置き土産に苦しんでいた。あり余る女性達は就職や結婚に難儀し、その社會的価値を喪失してしまう。そんな女性の尊厳が毀損した、生きづらさを抱えた世界。 最新鋭空中戦艦の「ふれあい體験乗艦」に選ばれた1人の男子と15人の女子。全員中學2年生。大人のいない中女子達を守るべく人型兵器で戦う暖斗だが、彼の持つ特殊能力で戦った代償として後遺癥で動けなくなってしまう。そんな彼を醫務室で白セーラーに白衣のコートを羽織り待ち続ける少女、愛依。暖斗の後遺癥を治す為に彼女がその手に持つ物は、なんと!? これは、女性の価値が暴落した世界でそれでも健気に、ひたむきに生きる女性達と、それを見守る1人の男子の物語――。 醫務室で絆を深めるふたり。旅路の果てに、ふたりの見る景色は? * * * 「二択です暖斗くん。わたしに『ほ乳瓶でミルクをもらう』のと、『はい、あ~ん♡』されるのとどっちがいい? どちらか選ばないと後遺癥治らないよ? ふふ」 「うう‥‥愛依。‥‥その設問は卑怯だよ? 『ほ乳瓶』斷固拒否‥‥いやしかし」 ※作者はアホです。「誰もやってない事」が大好きです。 「ベイビーアサルト 第一部」と、「第二部 ベイビーアサルト・マギアス」を同時進行。第一部での伏線を第二部で回収、またはその逆、もあるという、ちょっと特殊な構成です。 【舊題名】ベイビーアサルト~14才の撃墜王(エース)君は15人の同級生(ヒロイン)に、赤ちゃん扱いされたくない!! 「皆を守るんだ!」と戦った代償は、セーラー服に白衣ヒロインとの「強制赤ちゃんプレイ」だった?~ ※カクヨム様にて 1萬文字短編バージョンを掲載中。 題名変更するかもですが「ベイビーアサルト」の文言は必ず殘します。
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