《努力を極めた最強はボッチだから転生して一から人生をやり直す》その力は…

「ふむ…」

車両を移し便所を捜していたオレだが、ようやく見つけたその便所を目の前にして、足止めを食らっていた。

「僕と!僕と結婚して下さいっ!」

「いや!俺様と結婚しろ!そうすれば、お前に一切の不自由なく過ごさせてやる!」

「何言ってるのかな?やっぱり、結婚するならボクちゃんしかいないよね?なんたって、ボクちゃんはタラリール家の長男なんだもんね」

いや、僕と。俺と。

などと、煩く騒ぎ立てる子供で便所までの道が埋め盡くされているのだ。

ここは食堂のような場所だが、その先の扉を越えた辺りに便所があるのは標識で確認できている。

だが、こんな所で求婚しているなど迷極まりない話だ。よりにもよって便所までの道を封鎖する形で執り行われているのだからな。

尿意を我慢し続けているオレからすれば、かなり迷だ。

子供のになってからというもの、我慢と言うものが難しくじて仕方がないのだ。正直言うと、今にもらしてしまいそうなのだ。

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「ふむ。通らせてもらうぞ」

無理矢理にでも通らせてもらうしか方法がないな。

そう思い、集団の中に足を踏みれたのだが、

「割り込みしてんじゃねぇよ!」

弾き出されてしまった。

普段ならば、こうも簡単に引き退らないのだが、こればかりは無理な話だ。

しでも気を緩めてしまえば、らしかねないからな。

こうなれば仕方あるまい。

ーー強行突破あるのみだ。

「退け。さもなくば、痛い目を見るぞ」

一応忠告はした。

後は、その忠告を聴かなかった奴の責任だ。

オレは近くに居る者の肩を摑み、軽く足を払って床に叩き付ける。

「ーーグッ!?」

ふむ。何が起きたか理解できていないと言う表だな。

しかし、オレは既に忠告を済ませている。それを素直にけ止め、退かぬからこうなるのだ。

続いて、その次の奴の頭に軽く手を當てて、両足を蹴り飛ばす。

「ーーわっ!?」

グルリと宙を一回転し、背中から床に激突した。

次々とオレの前を阻む者達を投げ倒し、最奧に居た偉そうなを倒すと、遂に便所の扉が見えた。

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そこへ、オレは嬉々としてって行く。

ーーー

つまらないですわ。

「僕と!僕と結婚して下さいっ!」

「いや!俺様と結婚しろ!そうすれば、お前に一切の不自由なく過ごさせてやる!」

「何言ってるのかな?やっぱり、結婚するならボクちゃんしかいないよね?なんたって、ボクちゃんはタラリール家の長男なんだもんね」

ほんと、つまらない人達ですわ。

私がお母様の次に綺麗で可憐なのは理解してますの。けれど、こんな風に言い寄られても、私の中には何も響かないの。

それに、この様な口説き文句なんて、何回も聴かされていて、もう聞き飽きてますの。

在り來たりな口説き方しかできないこの方達では私の退屈を満足させる事が出來ないのは分かりきってますわ。

ああ、つまらないですわ。

そう思っていると、私を口説きに來た者達の最奧の者が変に転けたのが見えましたわ。

まるで、その場で宙返りでもしたかのような転け方…。そんな転け方をする者に、私はしばかり興味を惹かれましたわ。

でも、変な転け方をするのは、彼だけではなかった。

次々と、まるで私の元へと近付くかのように変な転け方をする者達が現れ始めましたの。

さすがにおかしい事に気が付いた時には、既に私に詰め寄っていた男衆は全員が地面に倒れており、彼一人だけ私の前に立っていましたわ。

見た所、平民のような格好で、顔は普通。特徴すべき所と言えば、裾から覗く左手を包帯で隠している事だけですわね。

ですが、彼からは一風変わった雰囲気がありますわね。

「ここまで辿り著くなんて、さすがですわね。貴方を私の婚約候補にれてさしあげてもーー」

ーー宜しいですわよ。と、言おうとしましたわ。

ですけれど、全てを言い切る前に私の視界は一転し、気が付けば天井を見上げていましたの。

強引に腕を引っ張られた所までは理解してるけれど、足首を蹴られたと思った瞬間に私は宙を舞っていましたわ。

言外に私など眼中にないとでも言われたようで腹が立ちますわね。

「なんですのよ…あの方は…」

私は悪態を吐きながら立ち上がりす。

不思議と痛みはじなかったので、普通に立てましたけれど、男達は誰も私に手を貸してくださらないのですね。

私の他にも、彼に何かをされて床に伏せっていた男達も今頃になって立ち上がっていますが、誰もが『何をされたか分からない』と言った表を浮かべていますわ。

「キャァァァァッ!」

そんな時、前の車両から悲鳴が聞こえましたわ。

「全く…次から次へとなんですのよ…」

思った事をそのまま口に出しながら、前の車両へと繋がる扉へと視線を向ければ、そこから十人以上もの悪漢達がゾロゾロと出てきましたわ。

見た所、最近流行りの列車強盜ですわね。

私に詰め寄っていた男達は、見るからに揺をわにして慌てふためいてるけれど、數名は冷靜に私の盾になるかのように前に立ちましたわ。

とは言え、噂には聴いていましたが、ここまでの大所帯とは…。護衛や駅員は何をしてらっしゃるのかしら?

「ケケッ、ガキが群がってやがるぞ」

「殺すなよ。良い金ヅルになる」

「わーってますよ」

トサカ頭の悪漢がリーダーと思わしきスキンヘッドの悪漢と會話してますわ。

このに、私は後部車両へと逃げさせていただこうかしら…。

「っと、逃げれると思ったか?」

「ーーっ!?」

は、速い…っ!

たった一歩私が退がった瞬間には、スキンヘッドの隣に居たトサカ頭の悪漢が私の背後を取っていましたわ。

まさか、ここまでの手練れだなんて、思いもよらなかったですわ…。

これは、非常に不味い狀況ですわね…。

「おっ、上ダマじゃねぇか。こいつぁ、奴隷にしたら高く売れそうだな」

「キャッ」

トサカ頭の悪漢が私の腕を摑み上げ、思わず聲が出てしまいましたわ。このままじゃ、本當に不味いですわ…。

護衛達は本當に何をしてるのかしら。

「おいっ、貴様!その子を離しやがれ!俺が相手してやる!」

私に求婚を申し立てて居た男達のの一人が、腰にぶら下げていた格に不釣り合いな剣を抜いて、果敢に挑み掛かろうとしてますわね…。

ですけれど、彼の実力じゃーー。

「ケッ、ガキが粋がってんじゃねぇぞ、っと!」

「ガッ!?」

文字通り、一蹴りで終わらされてしまいましたわ。

トサカ頭の悪漢は大して力をれてないような軽い蹴りをしていたのに、彼は三メートル程も吹き飛ばされ、床に伏せたままかなくなってしまいましたわ。

死んではない筈ですけれど、かなりダメージは大きいと思いますわね…。

「お父様…お母様…」

助かりたい。そう思いますけれど、私の元に護衛が來ないと言う事は、そう言う事なのでしょう。

護衛達は、私の家で雇っている私兵の中でも選りすぐりの人達で、私を助けに來ないのは何か理由があるのでしょう。

彼等が負けるはずないとは思いますけれど、萬が一と言う事もありますわ。

お父様、お母様…。どうか、ご無事で…。

「ケケケッ、おとーさまー!おかーさまー!助けてー、ってか?ケケケケケッ」

トサカの悪漢は、私を持ち上げ、顔を覗き込むようにして嘲笑ってきましたわ。

もし、私に彼を倒せるだけの力があれば、今すぐにでも毆り倒したく思いますわ。…無理な話だと分かっていますが…。

そんな時、私の視界の端。トイレから私と同じぐらいの歳の子供が…いえ、私を床に寢転ばせた男の子がハンカチで手の水気を拭きながら出てきましたわ。

でも、例え、彼が私にした仕打ちが酷かったとは言え、彼だけは後部車両への扉に一番近い場所に居ますの。

だから、私は聲を出さずに口をかすだけで意図を伝えようとしましたわ。

ーー逃げて。そして、助けを呼んで。

だけど、彼は、始め同様に私の事など全く眼中にれてないようですわ。

ほんと、こんな狀態じゃなければ、毆っているところですわ。

そんな私の気も知らないで、彼は不機嫌そうに顔を歪め、無防にもトサカの悪漢に話し掛けましたわ。

「ふむ。汚い笑い聲だな。便所にまで聞こえてきていたぞ」

完全なバカですわ。

どう見たって、悪人が悪さをしている最中ですのに、わざわざ話し掛けるなんてバカのする行ですわよ。

それに、挑発するかのような口調で言うなんて、無謀ですわ。

子供が大人に敵う訳がないのに、貴方達のような男のその自信はどこから出てくるのでしょう?

「ケケッ、また一人増えやがったな。どうしやす?」

トサカ頭の悪漢はリーダーらしきスキンヘッドの悪漢に決定を委ねましたわ。

それを見ている彼の表は、余計に不機嫌に歪んで行きます。だけど、所詮は子供。彼が何をしようと、大人には勝てない。

「ふむ。貴様が敵と言う事は理解した。して、敵を前に余所見をするとは何事だ?」

気が付けば、私は床に座り込んでいました。

そして、トサカの悪漢は天井に頭を突き刺してブラーンッと力した狀態で宙ぶらりんになっていましたわ。

……何が起きたの?

「フッ、しはやるようだな。……殺れ」

スキンヘッドの悪漢が命令を下すと、殘りの悪漢が彼に向かって剣を、短剣を、棒や斧を手に取り、囲むようにきーー。

ーー全員が床や天井。はたまた壁に頭を突き刺して力しきってましたわ…。

「……は?」

スキンヘッドの悪漢も理解出來てないようですわね。

勿論、私も理解できてませんわ。

なにせ、一瞬の出來事。彼が何をして、どういたのかすら見えませんでしたわ。

「ふむ。雑魚ばかりではないか。この程度でオレに敵うとでも思ったか?」

そう言うと、一歩。ゆるりと踏み出しーーたと思えば、いつの間にかスキンヘッドの悪漢の前に彼は立っていましたわ。

余りにも彼のきが速すぎて、何が何だか理解が追いつかない狀況。だけど、私が一番理解できなかったのは、彼の前にいる悪漢が床に膝を著き、まるで王に頭を下げるかのような格好をしてることですわ。

「何が…」

「頭が高い。頭を下げよ」

悪漢の呟きに聲を被せた彼は、威圧の篭った言葉と共にスキンヘッドの頭を軽く踏み付けた。剎那、ズガンッと床に悪漢の頭が減り込みましたわ。

まるで、夢でも見てるかのような景に、私の開いた口は閉じませんわ。

いえ、私だけではないようですわね。他の、私に詰め寄っていた男衆も、何も言えずに彼を唖然と見つめていますわ。

そんな私達を彼は一瞥し、「ふむ」と言って前の車両へと進んでいきましたわ。

その後、何かが破壊されたような音や誰かのび聲や悲鳴が聴こえてきたものの、新たな悪漢が現れる事なく、私は泣いて謝るお父様とお母様に保護されましたわ。

それにしても……一瞬で悪漢達を倒して私達を救ってくれた王子様のような彼は一何者だったの…?ですわ。

いえ、そうではないですわね。

彼の力。あの不思議な力は、一何だったのかしら?

生憎と彼のきを見る事は葉いませんでしたが、私は將來や結婚などよりも、あの力に強く惹かれましたわ。

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