《努力を極めた最強はボッチだから転生して一から人生をやり直す》ふむ。學院長か。
コメントありがとうございます。
その…なんて言うか…凄く元気が出ました!
これからも頑張っていこうと思います!
 
「君がイクス君かい?」
「ふむ。そうだ」
學院長。メーテル・サルバート。
子供のような姿形をしているが、歳は1000を超える高齢者だ。
彼がエルフである事も若い姿を保っている要因だろうが、一番は強い呪いが掛けられている事だな。
魔に好かれでもしたか?
まぁ、良い。
それが、オレの目の前に居るのだ。
因みにだが、オレをここまで案した試験は學院長室前で待機だ。學院長がそう言って追い出した。
今頃は大きな欠でもしているだろう。
「タクルス君から兼ねて話は聞いてるよ。確かに、話に聞くだけなら君みたいな子を落第にするなんて勿無いよね」
外見は人懐っこい笑みを浮かべる子供に見えるが、オレの勘が告げている。間違いなく腹黒だとな。
これは余り隙を見せない方が良いのだろうな。
「だけど、君の実力はハッキリ言ってしまえば、見ただけじゃ分からない」
メーテルは手元の書類を捲って、容を読み上げるかのように話す。
「模擬試験には參加せず、魔法試験は強力な魔法を一発だけ放って魔力切れのため的を一つ殘してリタイア。そして、筆記試験では一番初めに試験場を見つけた優秀者であり、一番點數の悪かった劣等者である」
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言い終わると、卓上から視線を外して、オレの真意を探るかのような眼差しで見つめて問う。
「君は、実力を隠しているのかい?それとも、これが君の本當の実力かい?」
ふむ…。
模擬試験に參加しなかったのではなく、間に合わなかった。魔法試験は、元から魔力が底を著かけていたのを振り絞って使った結果だ。
まぁ、それらはオレの不手際が悪い。
しかし、筆記試験に至っては…點數が悪くなるのが分からない。
全てオレでも答えれるような簡単な問題だったので、全問正解の他にない筈なのだが?
「二つ聞きたい」
「なんだね?」
「魔法試験はリタイア扱いになっているのか?」
「そうだね。魔力切れを起こすと言う事は魔力の配分が出來てない証拠。君は他と違うみたいだけど、普通は魔力切れになれば気絶する。戦闘中に気絶すると言う事は死を意味するから、ルールに従った場合だとリタイアだよ」
ふむ。魔力切れになれば倒れる者が居る事は知っていたが、そうであったのか。
魔力切れでも倒れないように特訓してから戦闘中で空になるまで魔法を使うのが普通の筈なのだが…それを言ってもルールならば仕方のない事なのだろうな。
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「二つ目だ。筆記試験の問題。オレは全て解いたはずだが?」
「ふふっ。君は面白い事を言うんだね」
そう言って、卓上から一枚の紙をオレに見せるように持ち上げた。
「これ、どこの文字だい?僕には暗號にしか見えないのだけど?」
…ふむ。
今の時代に変化した文字を使っただけなのだが…違ったのか?
確かに、オレは字が下手だ。自覚はある。だが、読めない程でもないだろう。
なにせ、オレがループと呼ばれた頃は、オレが書いた本で勉學を學ぶ者が多かったのだからな。
「模擬試験には不參加。魔法試験はリタイア。挙げ句の果てに、筆記試験ではこの回答。……巫山戯ているのかい?」
「至って真面目だが?」
即答してやると、メーテルの眉がピクリとき、何かを噛み殺すかのように引き攣った笑みへと変えた。
「これが君にとって真面目なのかい?だとすると、この解答は真面目に答えたのかい?」
「ああ、そうだ」
「なら、答えれるよね?1問目は、どう言った容で、どう解答したのかを」
ふむ。容易いな。
「問一。『古代歴で魔王を倒した勇者の名を答えろ』答え。『オルタナ』」
オレが何ら戸う事もなく答えたのを、僅かに眉をかして驚きを見せたメーテル。
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だが、それだけでは認めてくれぬようだ。
「じゃあ、2問目は?」
「問二。『問一の者は、何を求めて魔王と戦ったか』答え。『自由と金』だ」
元々、オレについて聞かれているような問題。ならば、解くのは簡単な話だ。
しかし、オレの答えを聞いたメーテルはニヤリと嗤った。
「殘念だったね。ここの答えは『平和』だよ」
してやったり。と言いたげな表で嗤うメーテル。だが、オレはそのような事で苛立ちなど覚えぬ。
逆に心した程だ。
腳された影響がここまで來ていたと言う事にな。
「ふむ。では逆に問うが、平和とは何だ?」
「そりゃあ、戦爭も爭いも魔と言う脅威もなく、皆んなが幸せに暮らせる事だろう?」
「殘念だが、それは違う」
しかし、仕返しをしたいと言う求は生まれるのだ。
オレの答えに、メーテルは目を細めて威圧を醸し出し始めた。
仕返しをされて怒っているのか、オレの判斷力を鈍らせる為なのかは定かではないが、そんなものはオレに通用しない。
「戦爭があるからこそ人は長をする。爭いがあるからこそ、人は學ぶ。魔がいるからこそ、人は生きようとするのだ」
「だけど、それで悲しむ人もいるだろう?君は、その人達を前にしても同じ事を言えるのかい?」
「ああ、言えるとも」
メーテルの言葉に何ら臆す事なくハッキリと答えてやると、威圧を増しながら睨み付け始めた。
「お前は何かを勘違いしてるようだが、人は死ねば廻転生のに組み込まれ、新たな人生を歩むのだ。ただ死ぬだけならば完全に消えるわけではない。魂も、記憶も、な」
「君は…失った事がないからそう言えるんだよ」
メーテルはオレを睨み付けながら噛み殺したような聲で呟いた。
何を思い出しているのかは大の想像がつく。だが、その怒りをオレに向けるのはおかしな話だ。
しかし、その問いはオレに対しても傷跡を抉る行為に等しい。
「本當にないと?そう思うのか?」
メーテルは黙ってオレの言葉に耳を傾けているが、僅かな悲しみと怒りが心の奧底から溢れ出してくる。
それはメーテルに宛てたではない。忘れる事のできないオレへの戒めなのだ。
だが、今のメーテルの言葉にはしばかりの苛立ちを覚えたのは確かだ。
「自惚れるな。オレとて救えなかった命は沢山ある。失ったものも數え切れぬ程にある。だがな、それで悲しむばかりでは、いつまで経っても先へ進めぬではないか」
「………」
何も言えぬ、か。
だが、オレは最後まで言わせてもらうぞ。
「全ての生には魂が宿る。その魂は死ねば廻転生のに組み込まれ、次へと送られる。だからこそ、悲しみに囚われずに送り出してやるのが道理だ」
それが人間でなく、どんな生きであれ、魔力によって魂が穢れてしまった魔でさえも、死ねば魂は浄化されて次へと向かう。
ならば、悲しまずに勇んで送り出してやるのが、せめてもの施しだろう。
前世では、浄化を主とした”廻信者”と言う狂った団が居たが、ソイツ等の考えと似たようなものだ。
ただ、アイツ等の本來の目的は生きとし生きる者の浄化だったがな。
要するに、生きる者の皆殺しだった。
だから、”廻信者”の者達を捜し出して滅ぼしたのだが…今は関係のない話だな。
暫く黙り込んで何かを思い込むかのように視線を落としていたメーテルだったが、ゆっくりと視線をオレへと向けた。
その瞳からは先程までの怒りなどは宿っておらず、悲しそうな。それでいて、何かを悟ったような眼差しを浮かべている。
「君は…本當に15歳かい?」
「ふむ。それは己が目で見て判斷するのだな」
「僕には、君がまるで伽噺に出てくるループ様に見えるよ…。やっぱり、歳をとりすぎたかなぁ…」
ふむ。素晴らしい察力だ。
見事に言い當てたな。
とは言え、メーテルが本當に気が付いているわけではないので言わないでおこう。
その方が、何かと都合が良いだろうしな。
「して、話を戻すが、なぜオレはここに呼ばれたのだ?」
「ああ、そうだったね。…うん、おめでとう。君は合格だよ」
ふむ…?
「掲示板に名はなかったと思うが?」
「そりゃそうだよ。だって、君は本試験には落ちてるんだもん。けど、再試験に合格しているんだ」
再試験…だと?
そんなのがあったのか?
しかし…いつの間に?
オレに気が付かれないようにするなど、自分で言うのも何だが、至難の技だぞ?
「何が何だか分からないって表だね。まぁ、それも無理はないかな?だって、再試験は公にしてない事だしね」
ふむ。
確かに、再試験があると知れば、落ちた者はこぞって再試験をけたがるだろう。
だが、それを知らなければ諦めて帰るしかない。
そう言う事ならば、オレは運が良かったのだろうな。
「一応、教師の誰かに認められる事で合格なんだ。後は、僕と會って話すだけ。そして、君は認められた。タクルス君にね」
タクルス?誰だそれは?
「ああ、そうだったね。君はタクルス君の試験に出てないもんね。模擬試験の試験をしていた人だよ。ほら、君を連れてきた」
「ふむ」
る程。彼奴であったか。
しかし、なぜオレを認めたのだ?
意図が全く読めぬ。
「まぁ、僕と話す理由は再試験者を認めるに値するかを僕が見極める為だけど。ハッキリ言うと…君は素晴らしい!僕の威圧をけ続けても臆す事なく言い返し、逆に僕を丸め込んだんだ!」
なにやら椅子から立ち上がって熱弁し始めたな。
「君の力と魔法はタクルス君から話で聞いただけだけど、教師になってから誰も認めた事のないタクルス君が自慢気に言ってたぐらいだから、本當なんだろうね!神の紋様がないのにスキルを使い、魔法を使う!それも、見た事もない技に、工夫を重ねられた魔法!タクルス君から聞いた時は耳を疑ったけど、実際に君と話して分かったよ!」
「む?」
まさか、オレがループであった事がバレたか?
「君は僕よりも遙かに強い!いや、僕だけじゃない。この學院の教師や生徒全員を含めても、君には絶対に勝てないだろうね!アハハッ!本當に凄いよ!君は!どれだけ君を覗いても底が見えないんだから!」
「ふむ。魔眼持ちか」
これはこれで、面倒だな。
魔眼によっては、真実の姿を見通す目もあるぐらいなのだからな…。
「良く分かったね!そう、僕の片眼は”深淵の魔眼”だよ!やっぱり君は凄いね!」
深淵の魔眼か。
全てのの深淵を覗くと言われる珍しい魔眼だ。
滅多にお目にかかれるではない。
前世のオレですら手にれる事の出來なかった魔眼の一つだ。
しかし、それを持ってしてもオレの正を暴けぬとはな。
オレに転生した影響が殘っているから見抜けぬのか?
「それでさ、ここだけの話なんだけど、君はその力をどうやって手にれたんだい?」
「む?」
「いやいや、悪用しようとかそんな事は考えてないよ。ただね、ちょっと気になっただけだなんだ。別に、君がこの力を使って悪事を働くのを警戒してるわけじゃないよ?」
ふむ。冗談のような口調で、建前と本音を混ぜてくるとはな。
普通の者ならば気が付かぬだろうな。
前者が本音で、後者が建前だ。
メーテルも教える気がない事を知っていて言ってるのだろう。
だがしかし、オレは教えるぞ。
「ふむ。努力だ」
「やっぱり、教えてくれないのかな?」
「む?言っただろう?努力だ。日々死ぬ気で努力して手にれたのだ」
日々怠らずに自らの限界を見據え、その上を目指し続ける。
だからこそ、オレは毎日のように瀕死を経験している。
負荷の多いスキルを多様する事でに死ぬ寸前まで負擔を掛け、周囲の魔力を強引に吸収しながら使い続ける。
人が多い場所では周囲に被害が出るので使用はできないが、今はこれが一番効率が良い特訓方法なのだ。
「アハハッ。冗談…だよね?」
メーテルはオレの言葉を冗談だと思ったようだが、オレは真面目に言っている。
それをじ取ったのか、瞳に不安を載せた。
「今の今までの會話でオレは冗談を一度でも言ったか?」
「えっ……」
ふむ。固まってしまったな。
おそらくだが、オレが強くなる訣を教えたのが予想外だったのだろうな。
「でも…努力って…」
「人は死を目前にすれば、自ずと今以上の力を発揮するものだ。それを繰り返しているだけに過ぎぬ」
初心に帰り、何度も繰り返す。
ただ、それだけだ。
しかし、が慣れてしまうと、効果が薄れてくるものだ。
今のオレのようにな。
「……ししょう…師匠と呼んでもいいかな?…いや、是非にでも呼ばせてしい!」
ガバッと頭を下げて頼まれた。
しかし…なぜ師匠なんだ?
明らかに、オレの見た目は子供だろうに。いや、メーテルも見た目は子供だが、今のオレの年齢に対して遙かに上だ。
神的な年齢に関しては、転生したオレの方が間違いなく上だが、それは新たな人生を歩み直したオレにとっては関係のない事だ。
「嫌かい?それでも、僕は君を師匠と呼ぶけどね」
そう言いながらメーテルは悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「ふむ。師匠と呼ばれるのは初めてだが、問題ない」
「アハッ。やっぱり君は凄いや。もしかすると、本當にループ様の生まれ変わりだったりしてね」
「……ふむ」
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