《努力を極めた最強はボッチだから転生して一から人生をやり直す》ふむ。怠惰なクラスでも育ててみるか

サリア君とリリル君の戦闘中に変化が訪れたのは、突如ともなく者が現れてすぐ。

異國の剣を持ったの子と、髪を縦に巻いた珍しい髪型をしたの子の出現。

確か、二人はSクラスの上位にる子達だね。

異國の剣を持ってる子はアーテル。

まだ子供だけど、冒険者ランクAと言う異例なまでの過去最高の速さで上り詰めた有名なさ。

冒険者ギルド公認で彼に付けられた二つ名は、不可思議でありながらも目にも留まらぬ速度で強力な剣技を使う事から、”閃の剣姫ケンキ”って呼ばれている。

『剣を振れば遠く離れた敵を真っ二つにする』とか『その場から一瞬で離れた場所に移する』とか、々な噂が立っているけど、僕ですら詳しく知らないんだよね。

おそらくギルドが口止めしてるんだと思うんだけど…。

まさか、実際に彼が放った見えざる一撃で周囲に漂う霧を一瞬で真っ二つにしてしまうとは思いもよらなかったね。

もう一人は、珍しい髪型をしたの子。

の類は持ってなく、一見してみれば戦闘をするような子には見えない。

手も綺麗だし、見た所だと傷の一つもなく、戦いを経験しているようには見えないからね。

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だけど、その実、彼も有名人だったりする。

真っ二つにされた霧を何をどうやったのか、地面に捩じ伏せ、消し去る程の実力を見せた彼は、冒険者じゃないけど、アーテル君と同じぐらい有名人で、”絶対の聖”って誰が付けたのか良く分からない二つ名があったりする。

ただね、拳士と言っても彼の攻撃方法は普通の拳士とは違うんだよね。

僕も見た事がなくて噂で聞いただけだけど、彼は異國の技を駆使して敵を倒すらしいんだ。

に近付くと、気が付いたら倒れている狀態になっているらしい。何をされたかなんて、誰も分からないんだって。

それと、もう一つ。彼を驚異的たらしめる力ーー回復魔法。

一説では、伝説の聖の生まれ変わりだと言われる程に回復魔法の扱いに長けているらしい。

だからこそなのか、彼の戦い方は異常と言われている。

傷付く事を恐れずに敵の大群に突っ込んだり、ワザと敵の攻撃に當たりながらも、強烈な反撃を返したりするらしいんだ。

雙方共に攻撃魔法は使えないようだけど、強さで言えば、サリア君とリリル君と張り合えるんじゃないかな?

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あっ、良い事思い付いた!

この四人でパーティーを組ませてみよう!

今までにない程の最強のパーティーになるはずだよね!

それにはまず今のこの現狀から、どうやって仲良くしてもらうかだけど…。

それは、イクス君に任せたら良いかな?

彼なら何とかするだろうからね。

ーーー

ふむ。何やら嫌な予じたな。

まぁ、良い。

些細な予であり、危険なじはしないのでな。

それより、今は目の前で起きている面白そうな事が優先だ。

なにせ、オレの使う技を使って霧を掻っ消したのだからな。

これ程までに愉快な事はない。

一人は食堂で席を同じだった者で、もう一人は三次試験の前にオレとサリアを付けていた者だ。

どこかで會った覚えがあるのだが…さて、どこだったか?

それは兎も角、これは見ものだぞ。

オレが手ずからを教えたサリアと、努力で魔法の真髄に近付いたリリル。そこに、この時代では使える筈のない武を使う二人が現れたのだからな

それは簡単に扱えるでも、手にれれるでもない。

人生と言う一生を武の一つにだけ注ぎ込み、死ぬ思いを繰り返しながら実戦で覚えて行くしかない技なのだ。

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それを考慮するに、彼達は余程の努力をしたに違いない。

「なにが…?霧が晴れた…?」

ミーネは突然霧が晴れた事に驚愕しているようだな。

舞臺に視線を向けてみれば、サリアもリリルも困気味だ。

しかし、者である二人はサリア達が立ち直るのを待とうとはしない。

達は彼達なりにサリアとリリルを他所に戦い始めた。

「ふむ。あの二人、強いな」

それこそ、サリアと同等。いや、全力でぶつかればサリアが勝利を収めるだろうが、その武の真髄を摑んでいれば、サリアにも勝るだろう。

両者共に引かない攻防が繰り広げられている。

刀を扱うの斬撃が飛來し、縦ロールのは、その攻撃を後方へとけ流す。

一歩、一歩と近付く縦ロールに対し、刀のは縦橫無盡に地を、宙を駆け巡る。

どれも決定打に欠ける攻撃だ。

縦ロールに対しては、近付かなければ攻撃できないのだからな。

「貴方を見てたら、驚いてる私がバカみたいじゃないのよ…」

「そう不貞腐れるな。オレも驚いているのだ」

「どの口が言うのよ…」

呆れの混じった溜息を吐きつつ、ミーネは疑の目を向けてきた。

「でも、何か知ってるでしょ?」

「む?知らぬぞ?」

まず『何か』を指す事柄が分からない。

「誤魔化さなくていいから、全部話して」

「…ふむ」

言い逃れは許さないとでも言いたげな強い眼差しだな。

まぁ、話しても問題はないか。

「分かった。知っている事は教えよう」

とは言え、言えない事もある為、る程度ではあるがな。

「刀を扱う者が使っている剣は、俗に刀と呼ばれている武だ。瞬間的なきに主を起き、相手を翻弄させ、敵を一太刀に倒す事に長けた技が多いのだ」

現に、刀のは宙や地を縦橫無盡に駆け巡り、一発一発と強力な攻撃を放っている。

「確かに…そうね…」

ふむ。しの疑いを持っているようだが、納得したようだな。

では、次だ。

「もう一人の変わった髪型をした者は、と言う武を使っている。投げ技や絡め技など、的に思えるが、ベクトルの向きや力點と支點を利用する事によって、自の力を余り必要としない技を使う武だ」

「…貴方、何語を話しているの?途中までは分かったけど、最後の方が全く分からなかったわ…」

ふむ。説明が難しかったのか?

「簡単に言ってしまうと、敵の力を利用して攻撃するのだ」

「初めからそう言ってよね」

フンッと鼻を鳴らして舞臺を注視するミーネ。だが、即座に疑問を孕んだ視線を向けてきた。

「それじゃあ、あの子、どうやって飛んでくる斬撃を弾いてるの?素手よね?怪我するんじゃないの?」

「ふむ。それだけ努力を積んだと言う事だろうな」

「努力って…」

ミーネに呆れられてしまったが、それでも構わぬ。なにせ、これ以上の事は話すつもりがないのでな。

あの二人が使っている技は、過去にオレが悪魔達と戦う為に編み出した武だ。

まぁ、結局のところオレは負けたがな。

節々思うが、たった一人で挑んでいたのが間違いだったのだ。助け合える仲間がいれば負けはしなかった筈なのだ。

……そう言えば、その時から仲間が、友がしいと思っていたのだったな。

懐かしいぞ。

〜〜〜

その後、戦いの場は三つならぬ四つとなり、白熱した戦いが繰り広げられ、勝負は四人同時に倒れた事で引き分けに終えた。

最後の最後。彼達の持ち得る大技を最大威力で放っての相討ちだ。

サリアの裂魔法の篭められた全力の斬撃。

リリルの火、水、風、土で為された霊魔法。

刀のれたを切り裂く大型の斬撃。

縦ロールの大気を凝した衝撃派。

それらが衝突し、激しい衝撃派が舞臺と観客席を隔てる魔法障壁を破り、生徒の大半が行不能となったのは最近の面白い出來事だ。

ちなみにだが、クラスメイトは無傷で守ってやった。

友となる可能のある者達に怪我を負わせる訳にはならないからな。

タクルスならば、生徒全員を守る為にと真正面から衝撃を喰らって醫務室送りにされていた。

その他の教師は防の魔法を展開して生徒を護ったにも関わらず、タクルスはを呈していたのだ。その心意気は見事だが、余りにも無謀だな。

この程度の興で死人など出しては後味が悪いと思ったので、一応だが回復魔法を掛けてやったが、オレの魔力では離れている者には効果が薄く、完全回復までとはいかなかった。

そして、その次の日。

昨日の事もあってか、Fクラスは教師不在で授業は自習時間とは名ばかりの自由時間と化していた。

他のクラスの教師は既に復活しているようだが、タクルスだけは重癥だったようで醫務室から出られないようにされているそうだ。

今朝、宿を出る際にわざわざメーテルが教えに來てくれたのだ。

正直、要らぬ報だった。

オレには関係のない話なのでな。

しかし、教師の居ない教室と言うものは自由極まりないな。各々が好き勝手に行しているのだ。

これでは、生徒をダメな人間へと向かわせてしまっているのと同義だ。

この様な有様になってしまっては、さすがのオレとて捨て置ける狀況ではなくなってくる。

と、言う訳で、早速、今日から行に移すとしよう。善は急げである。

なに、タールクが戻るまでの僅かな時間で、クラスメイト達を戦場・・に出ても死なぬ程度に育てるだけだ。

サリアを特訓した時の経験を存分に生かしたオレ流努力特訓の開始だ。

〜〜〜

全ての準備が整ったのは晝を過ぎてからであった。

だが、何も問題はない。

教育がしばかり遅れただけだ。

それぐらいならば、後で幾らでも取り返せる。

「あ、あの…イクス君…?どうして、そんな事を…?」

「ふむ。このままではマズイとじてな」

「で、でも、それって、僕がする必要…あるの?…」

「ふむ。分からぬか。だが、いつかは分かる話だ。兎に角、やってみるがいい」

「でも…」

「やってみるがいい」

「イ、イクス君…」

「やってみるがいい」

「わ、分かったよ…」

ふむ。分かれば良い。

レミナに話したのは、學校に來ていない者は除外し、現在時點で総勢10名のクラスメイト達の注意を一點に引きける事だ。

彼は臆病なので、手始めとしては丁度良い訓練容だと判斷した。

オドオドとした素振りで立ち上がったレミナは、一度オレに助けを求めるような悲壯にくれた視線を向けたが、目で『行け』と伝えると、諦めて教卓へと向かって行く。

「み、みんな…」

教卓に立ったレミナはクラスメイト一同に向かって聲を掛けたが、自信の無さと恥が相まって、とても小さな聲しか出ていない。

それではダメだ。

レミナが教壇に立った事を不思議に思った者しか気付いていない。

功するまで何度でも挑戦させる。

それが、オレの考える努力だ。

失敗しても、間違えても構わない。最後の最後にでも功させる事が出來てこそ、それこそ努力の果と言うものだ。

なので、全員を振り向かせるまで何度でもやらせる。

レミナが助けを求めるような、それでいてけない視線を向けてくるが、オレは『続けろ』と眼力で訴えかけてやる。

オレの助けがないとじ取ったのか、レミナは瞳を閉じて決心を固めたかのように目を見開いた。

「みんな…っ!」

まだ聲が小さいな。

數人程しか反応していない。

「みんな!」

まだだ。まだ足りない。

「みんなっ!!」

「ったく、ウッセェぞ!ゴラァ!!」

ふむ。全員が振り向いたな。

一名。態度の悪い者が暴な言葉を吐いた所為でレミナがこまってしまったが、今はこれでも良い。上出來だ。

「ふむ。良くやったぞ、レミナ」

オレも教壇に立ち、レミナの頭をでてからクラスメイト達へと視線を向ける。

「よく聞くが良い。怠惰を貪るお前達に朗報だ。本日から、タクルスの代わりとして新たな教師が赴任する事になった。名はーー」

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