《努力を極めた最強はボッチだから転生して一から人生をやり直す》ふむ。この程度か
魔法とは、魔力を糧に力を顕現させる事だ。
込める魔力量や魔力をる能力が高ければ高いほど効果は上昇する。
逆に、込める魔力量がなくる能力が低ければ、効果は激減する。酷い場合は発しなかったり、暴発したりする。
そして、Fクラスは後者に値する者が多い。
無屬魔法《作》。原初の魔法の一つでもあるが、どんな魔法よりも容易に発させる事が出來る単純で純粋な魔法だ。
魔力作とそう変わらないのだからな。
イメージするとすれば、魔力で作り上げた手で対象を摑み上げるようなものだ。
しかし、それに功した者は総勢14名の中でも3名だけであった。
この程度も出來ないとは思いもよらなかった。
と言うのが、オレの想だ。
だが、ループからすれば、そうでもないらしい。
この世に再び舞い戻ったループは、既にこの時代の事を調べ盡くしており、オレよりも詳しい。
それ故に、クラスメイト達の出來栄えに満足気に頷いていた。
「おやぁ?誰が居るのかと思えば、落ちこぼれのFクラス諸君ではないですかぁ」
不意に嘲笑うような聲が聞こえ、そちらへと視線を向ければ、どこかで見た細長い男がいた。
この男の所為で、今の今まで《作》を頑張って努力していたクラスメイト達が集まってきてしまった。
何者かは知らないが、訓練の邪魔をしないでしい。
「うむ。誰であるか?」
どうやら、オレよりも記憶力の良いループですら憶えていない存在のようだ。
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いや、見た事がないだけか?
「だ、誰…だと…?わ、私を忘れたとおっしゃるのですか?稚な思考をお持ちのようですねぇ」
む?やはり、どこかで會ったのか?
「貴様如きを覚えるのに記憶を裂くのは勿無い。今すぐ我が視界から消えろ。邪魔である」
言うと共に、クラスメイトへと視線を戻したループ。
一応は憶えているのだろうが、相手するだけ無駄だと判斷したのだろうな。
「んなっ!?前回だけでなく、今回までも、こ、この私に…っ!私が誰かーー」
「消えろと言ったのが聞こえなかったのであるか?教育の邪魔である。今すぐ、即刻に、生徒達に悪影響を與える前に消えるのである」
「ぐぬぅっ…この私をここまで侮辱するとは……良いでしょう。ですが、貴方が請け負うクラス一人と、私の請け負うクラスの一人が決闘を行い、貴方方が勝てば私達はここから立ち去りましょう」
「うむ。ならば話は早い。イクス。貴様が行け」
ふむ。即斷即決だな。
「では、私の方は…ハエサル君。頼めますか?」
「はーい」
ハエサルと呼ばれた男は、一見すれば、ただ顔が良いだけの育ちの良さ気な男子生徒。
魔力量はそれなりにあるようだが、それだけだ。
チラリとループを橫目で確認するも、特に気にした素振りはなく『さっさと済ませろ』とでも言いたげな視線を送ってきている。
潰せ。と、そう言う事なのだな。
良いだろう。完なきまでに潰してやろうではないか。
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「お前だけが相手で本當に良いのか?全員で掛かって來ても良いのだぞ?」
「ハハ。君は何を言ってるのかな?Fクラスに居るって事は、君は雑魚って烙印を押されてるのと一緒なんだよ?」
「ふむ。お前こそ何を言ってる?相手の力量を測れぬ者に雑魚と呼ばれる謂れはない」
「測れてないのは君の方だよっ!『炎よ!球となりて我が敵を燃やせ!《ファイアーボール》』」
ふむ。ここで話は打ち切りか。
言い終えると同時に、火魔法《火球》を放って來た。
無駄に分かりやすく長い詠唱も付けるとは、さながら避けてくれと言わんばかりだな。
だが、ここで避けては背後で努力しているクラスメイト達に迷が掛かるかもしれぬ。
ループも居るので何かあるとは思えないが、念には念を、だ。
取り敢えず、魔力は殆ど込められてない脆弱な魔法なので、右手でけ止めておく。
ついでに、追加攻撃の破裂を防ぎ、包されていた魔力を四散させて、その場で消滅させる。
これは、魔法の改竄と言われるものだ。
魔法を構築する魔力の深淵を知れば、誰にでも出來る簡単な魔法消去の方法だ。
「なっ!?そ、そんな!?僕の魔法が!?」
「この程度の魔法を消されたぐらいで何を驚く。構造が簡単であり、余りにも稚。消されても當然の結果だ」
「そ、そんな…訳ない…。魔法を消すなんて有り得ない…」
何をブツクサと言っているのだ?
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「何か仕掛けがある筈です。わされてはいけませんよ。ハエサル君」
ふむ。あの痩せ男の言いから察するに、魔法を消す原理を理解しているようだな。
まぁ、當然と言えば當然だろう。
何やら揺が瞳に見え隠れしているが、それは何か別の事だろう。
「そ、そうですよね!バマリス先生!何か仕掛けがある筈っ!『炎よ!球となりて我が敵を燃やせ!』《ファイアーボール》」
何か別の案で來るのかと思いきや、またもや同じ魔法を放って來た。
……バカの一つ覚えか?
もう良い。こんな事に付き合っていては時間の無駄だ。
此奴等はオレの友候補でも何でもない存在である。躊躇いは不必要だろう。
まぁ、詠唱ぐらいはしてやるか。
せめてものけだ。
再度、連続に放たれた《火球》を消し飛ばしてから、即興の魔法詠唱をしてやる。
「不死を貫く混沌の炎よ。妖艶に揺らめく黒き絶を攜え、上空へと舞い上がれ。矮小なる大地を白く染め、歓喜のびを轟かせ、悪魔へとえ。《死神の悪戯ハロス・カキア》」
魔法名を唱え終えると同時に、妖艶に揺らめく黒いオーラを漂わせた白い焔の球が20個出現し、上空へと加速作なしで飛んで行く。
詠唱は、敵に今から何を放つか教えるようなものだ。それに、魔法効率もすこぶる悪い。
オレが本當に詠唱をして魔法を放つとなれば、《火球》の一つも放てないだろう。
なので、詠唱しているような素振りを見せていれば十分な筈だ。
「フッ、アハハハハッ。驚いて損したよ。まさか、魔法作も碌に出來ないなんてね。見た事ない魔法だったけど、當たらなければ意味がないよっ!『炎よ!球となりて我が敵を燃やせ!』《ファイアーボール》」
また《火球》か…。蕓がない。
前回よりも一回り《火球》のサイズが大きくなっているが、それだけだ。
もっと工夫をしなければ簡単に消されると一いつになったら理解すると言うのか。
もう面倒だ。
まだオレの元へは辿り著いてなく、放たれたばかりの《火球》を軽く手を振って消し飛ばす。
この程度で魔法を改竄するのも面倒にじたので、適當に突風を出現させて搔き消してやった。
元々、詠唱なんて煩わしい事は必要なく、無詠唱が一番魔力効率が良いのだ。
「魔法!?でも、どうして!?今、詠唱してなかったよね!?」
「ふむ。何を驚いているかは知らぬが、そろそろ落ちてくるぞ」
指先を空に向けて教えてやる。
そろそろ見えてくる頃だ。
上空から落下してくる黒いオーラを纏い、太のように巨大化した20もの白炎ーー《死神の悪戯ハロス・カキア》がな。
オレの指先を辿ったハエサルは口を半開きにさせて固まってしまった。
その他の者達も同様に、無様な姿を曝け出している。
しかし、だ。
心配しなくとも、ハエサルの背後で傍観している者達も巻き添えにしてやるつもりだ。
「落ちろ」
《死神の悪戯ハロス・カキア》が急加速するタイミングを見計らい、言葉を発する。
「に、逃げ…逃げなきゃ…」
ハエサルが空を見上げながら呟いた。
だが、本能で理解しているのだろう。この魔法からは逃げれない、と。
まぁ、そう言う魔法だからな。
本來、この魔法は、オレが”オルタナ”の名を使っていた時に魔王を倒す際に使用した魔道を魔法に変換したものだ。
まぁ、し改良したつもりが、原來のとは全く別となってしまったがな。
この場から逃げ出す者は一人もいない。
誰もが無様な表を浮かべながら空を見上げ、その場で固まり、または、腰を抜かしている。
そして、程なくして《死神の悪戯ハロス・カキア》は著弾した。
ーーーキィィィィィィンッ!!
耳に劈く甲高い音と共に、まるで世界全てが終わってしまったかと錯覚してしまうように、視界の全てが白一に染められる。
所謂、閃弾だ。
この魔法の付屬的効果とでも言えば良いのだろうか。原來の魔道の名殘りだ。本當に恐ろしいのは、その後の事。
オレは著弾寸前に眼球を守る為に変質させた魔力で眼球を覆う事で魔逃れたが、それ以外はどうなったかは知らぬ。
魔逃れたと言えど、この魔法の一番警戒すべき點を完全に防ぐのに魔力の大部分を割いてしまっているのだ。後は、眼球が焼けるのを防いだだけであり、視界は白一。耳は使いにならない。
この魔法を完全に防げるのは、無限に魔力があるループぐらいだ。
おそらく、Fクラスの皆もループによって守られただろう。
ようやく視界が戻り、まず始めに眼に映ったのは、黒い靄に取り憑かれたAクラスの者達が狂ったようにび、暴れている景だった。
幻覚。
Aクラスの連中が何を見てるのかは知らぬが、近くの者と取っ組み合ったり、一人で泣きんだり、何かから必死に逃げている姿がある。
それこそが、この魔法の本來の姿。
魔法の《閃》に、闇魔法の《幻覚》。その二つを組み合わせた魔法だ。
これを作った時は確か…人間と獣人が戦爭を始め、オレの寢ぐらが戦地になりかけた時だったな。
煩わしくじたので、即興で作ったこの魔法で雙方に手を引かせたのだ。
後々の事は知らないが、戦爭はなくなったので良かったのだろう。
ちなみに、この魔力構造は単純であり、行使する事に関しては簡単だ。魔力量も余り必要としないのでな。
しかし、それを防ぐのは難解だ。追尾やら空間遮斷やらと、嫌らしい程に高能にしたからな。
一度魔法を放たれれば、オレと言えども無差別に與えられる《幻覚》からを守る事に専念しなければならない。
多の視界や聴覚不良は覚悟しなければならないのだ。
まぁ、相手を殺さず、尚且つトラウマを呼び起こし、新たな恐怖を植え付け、完なきまでにプライドをヘシ折ると言う點では完璧すぎる魔法だから使ったのだがな。
それにしても、やはりと言うべきか、今のオレでは完全に防ぎきれずに多の被害を被ってしまった。
一瞬だけだが、オレが前世の最後に自ら命を絶つ原因であったトラウマが垣間見えてしまったのだ。
これからは、巻き添えを食らうのが分かったので、もうし努力を積んでから使うとしよう。
「す、すげぇ…」
「Aクラスを一撃で…それも、全員をなんて…」
「うーん。ちょっと殺り合ってみたいかも」
「イ、イクス君って…一何者…なんだろ…?」
ふむ。Fクラス全員は、やはり無事か。ループに守られたようだ。
しかし、授業そっちのけなのは頂けないな。
「うむ。我を無視すると言うのであるか。良いであろう。貴様等にはより厳しい強育を與えてやるのである」
その後、Aクラスの発狂とFクラスの悲鳴が學院中に響いたのは言うまでもない。
ーーー
俺は、”ラーグノック”ってもんだ。
ちっと人並み以上に勘が良くて、王國の諜報部隊に勧されてよ、そこで働いてんだ。けどよ、ちと問題が起きてヤバイ事になっちまった。
初めは、王國を騒がしてるって噂の”ネコヤナギ”って言う泥棒組織を追ってたんだが、どこをどう間違ったか、今は薄暗い窟に居んだ。
何かの組織の集まりらしいが、詳しい事は知らねぇ。ただ、一つ言えんのがよーー巻き込まれた。
仲間だと勘違いされちまってんだよ。
まぁ、その方が殺されずに済むから良いけどよ…。
窟は松明によって辺りを照らされてはいるが、部が広過ぎて余り意味をしていない。その為、この場に集まった組織の人數は詳しくは分からねぇ。
でも、千は優に超えている事ぐらいは理解できる。かなり大きな組織らしい。
昔から、嫌な予とでも言えば良いのか、蟲の知らせのような覚をじ取れる俺は、ヒョンな事から、こんな巨大な組織に潛り込む事に功してしまった。
してしまったんだ…。
「準備は出來ているか?」
「…順調」
窟の奧。袋小路になっている大きな空間。
組織で神聖視されている巨大な銅像が見下ろす祭壇で、漆黒の神父服を著た大柄な男が隣で膝を著いて頭を垂れるローブを著て姿を隠した子供のような奴と何やら會話をしている。
神父服を著た男は、この組織のナンバー3の地位を持った奴だ。名前は”グルート”。
々な地域で指名手配されている殺人狂だ。
噂では、悪神の力を使うと言われているが、本當かどうかは定かではない。
子供みたいな格をした奴は、分からん。
聲から判斷するにだとは思うが、俺がこの組織に潛り込んでしまってから二年も経ったが、初めて見る。
「どこまで行った?」
「…學院…潛り込んだ」
「まだそこか。まぁ、良い。事を始める」
「………」
ローブの子供が頷くのを確認せずに、グルートは一度だけグルリと周囲を見渡し、銅像を見上げた。
「ああっ!我々を導く神!ディアボロ様!もう暫くお待ち下さい!我等が貴様を必ず生き返らせてみせます!それまで、どうか!どうか、お力添えをお願いします!我等は貴方様の忠実な下僕!貴方様の為にこの命を捧げる所存ございます!の誓いを!!」
「「「の誓いをっ!!」」」
またこれか…。
俺はこれが嫌いだ。
だが、この組織に居る限り、必ず仲間である証拠を示さなければならない。
俺の予が告げてんだ。やらなきゃ地獄を見るだけじゃ済まないってな。
だから、俺も一緒になって短剣で手首に傷を付ける。
溢れ出るが地面に滴り落ち、地面に掘られたを伝って祭壇の周辺へと集まる。そして、どういう原理か、祭壇の上へと登って行く。
あそこにも何かが彫られているみたいだが、祭壇はオレの居る場所よりも高くて見えない。
ただ、千人以上もの人から流されたが一箇所に集まる事で、祭壇の周囲を囲うからが溢れ返っている。
ドサリッと、俺のすぐ隣の男が前のめりに倒れた。
いつもの事だ。今回は俺の隣の奴だっただけで、この儀式のような事をする度に人が何人か死んでいる。
死因は、自ら首筋・・を切ってしまう事だ。
どうしてそこまでする必要があるのかは分からないが、信仰心が高くなくとも自ら首を掻っ捌いて死ぬんだ。
俺も、いつかはこうなっちまうのかな…。
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